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カテゴリー「データ制作」の記事は以下のとおりです。

杉林の表現に目覚める

ファイル 23-2.jpg   初夏から夏にかけて現地や近所で樹木や森林の写真を撮りまくりましたので、そのあたりの再リニューアルを進めています。最新版の動画でお気付きの方がいらっしゃるかもしれませんが、線路際の雑木林のストラクチャは陰影表現の強化や下部に盛り土を再現するなど、初期のものより少しディテールアップしています。 ファイル 23-3.jpg  それに対して杉林のストラクチャはドコをどう改良すべきか方向性がまとまらず、リニューアル当初のままで動画を投稿しましたが、ようやく盛り土と下草の再現、陰影による立体感と遠近感の表現、テクスチャ解像度の向上という線で落ち着きました。  右の画像は上段が従来のもの、下段が新作ストラクチャに置き換えたもの。道床~地面~下草の繋ぎをどうすれば自然に見えるか、線路際や近所の林道などで似たようなシチュエーションを観察して考察・再現しました。あとはアクセントに低木を散らせば、より豊かな表情になるのではないかと思います。 ファイル 23-4.jpg  そもそも従来の杉ストラクチャは陰影をどの角度で付けるか悩んだ挙句に決めかねて、ほとんど影を付けることなく完成させたものでしたから、いささか立体感に欠けるところがありました。と言うのも、この路線データは通学ラッシュが落ち着いた後の午前中をイメージして製作していますが、西から東へ走る下り列車から前方を見れば、日光は概ね右から左へ当たることになります。ということは樹木単体のオブジェクトですと左側に影ができるわけですが、森や林といった集合体になると並び立つ樹木がお互いに生成する影も加わるので、複合するとどんな影になるのか解釈が難しくなってきます。  最初に挙げた比較画像を例に解説しますと、線路の右側に並ぶ杉林に対して右から左へ日光が当たるという原則を当てはめると、線路側の面が影になり、旧ストラクチャもわずかにその傾向で陰影を付けていました。しかし、よくよく考えてみるとこの杉林、それなりに幅のある防風林ですから奥、つまり右側に行くほど暗くなるという解釈もできます。 ファイル 23-5.jpg  試行錯誤した結果、木々の重なりが作り出す影を優先して表現することとし、樹木の中央部に影を設けるという、単体の樹木では有り得ない絵面になりました。おかげで暗い部分の手前に比較的明るい末端の葉が浮き上がるように見えるため、基本的には板オブジェクト同然ながらも随分と立体的に見えるようになりました。  Zバッファに起因する縁の透過不良防止と、針葉樹らしい刺々しい葉の輪郭を表現するため、葉の部分のテクスチャは512×1024ピクセルという巨大画像になっています。ただし、影を中心に持ってきた副産物として、テクスチャを左右反転させて使うことが出来るようになったため、2枚のテクスチャで4種類の樹木を作成し、メモリ使用量を少しでも減らすよう努めています。幹はほとんど目立たないので4本とも同じテクスチャで、こちらも多少のメモリ削減に。 ファイル 23-6.jpg  出来上がった杉林のストラクチャですが、そのまま並べただけでは道路脇の並木のように幹の向こうがスカスカに透けて見えてしまい、奥行きや暗がりの迫力が感じられません。そこで、模型で言う背景パネルのようなモノを作り、盛り土・下草を表現したオブジェクトと一体化させています。  かなり暗めの色合いに設定していますので画像では分かりにくいかもしれませんが、背景部には杉林のテクスチャを貼り、奥行きを感じさせるようにしています。下草の部分も、線路に近い手前は明るく、奥に行くに従って暗くなるようにテクスチャを作ります。  最後は実際に路線データに配置し、全体の色合い・明暗のバランスを調整しますが、これが簡単なようで難しい。幹の部分は枝や葉の陰になりますから少し暗い目にしますが、しかし背景よりはわずかに明るくして浮かび上がるように、逆に背景のテクスチャを暗くしすぎるとディテールが潰れて見えなくなってしまうので明るすぎず暗すぎず・・・と。他にも架線柱に張った電線類を引き立たせるにはどれくらいの明るさが良いか、線路や道床との繋ぎは自然か、他の木々や周囲の風景とのバランスは取れているか・・・エトセトラエトセトラ、ありとあらゆる要素が密接に関係するので、トーンカーブをチョイと動かすだけでも「アチラを立てればコチラが立たず」といった具合で苦労させられます。

DT33完成しました

ファイル 19-1.jpg  細部の調整に手間取りましたが、ようやくDT33が完成しました。前回のスクリーンショットを自分で見直しながら「なんだかDT33というよりDT21 に見えるような・・・?」と悩んでいたのですが、どうやら枕バネがひとまわり大きかったようで、そのせいで全体が寸足らずに見えていたようです。大きいと言ってもほんの数センチの誤差なのですが、それが与える印象の違いにビックリしつつ修正しました。車輪、車軸、歯車箱も新たに作り込みましたが、ほとんど見えないであろうモーターは省略しました。 ファイル 19-2.jpg  端梁の無い台車は前から見ると少し間が抜けて見えるので好きではなかったのですが、車輪の踏面にもテクスチャを貼りましたので、少しは引き締まって見えますね。さらに排障器やジャンパ栓を作り込めば、より精悍に見えるでしょうか。  台車以外は相変わらずRON'S BVEさん製作のストラクチャをベースに、テクスチャを貼り替えて使用させていただいております。お陰様で楽をさせていただき、そのぶん路線データの製作に専念できていたのですが、実車への思い入れが強くなってきたことと、車両ストラクチャで技術的に試してみたいことが色々出てきましたので、いずれ自作に置き換えてみようと思います。  良い気分転換になったので、しばらくは路線データの製作に戻ろうと思いますが、合間をみてクハ用のDT21T、それから169系用にDT32/TR69 を作る予定です。精密化のノウハウはある程度蓄積されましたので、次回はより少ない頂点数で再現できるよう探ってみます。  DT33台車はフリーストラクチャとしてアップしています。以前アップしたタキ45000と一緒に、別コーナーとして独立させましたので、上部タイトルバナー下のメニューからどうぞ。添付のreadmeを最後までお読みになり、用法・用量を守って正しくお使いください?

DT33を本気で作ってみた

ファイル 18-1.jpg  鬱陶しい天気が続いていますが、梅雨の合間の曇り日こそ写真撮影に出掛けましょう。「天気が悪いのに写真?」と思われるかもしれませんが、テクスチャ素材を撮るには日光による影が出来にくい曇天日が最適です。特にフィルムカメラに比べてダイナミックレンジの狭いデジタルカメラは「白飛び・黒潰れ」が発生しやすいので、コントラストが低くなる曇天時の方がディテールを欠くことなく撮影できます。  退院して間もないため飯田方面への遠征取材は体力的にできませんが、近場で調達できるモノもありますから、できる範囲で撮り歩いています。先日は119 系電車と装備が近しい105系を撮影するため和歌山線へ行ってきました。メインは台車と床下機器の資料集めだったのですが、晴れの日なら影で真っ黒に潰れてしまう床下も、曇天のおかげで鮮明に撮影できました。  車体には見向きもせずに足回りばかり撮っている私が不審だったのでしょう、待機中の運転士さんが「何撮ってはりますのん?」と話しかけてこられました。幸い気さくな方でしばし国鉄車談義にお付き合いいただきましたが、「和歌山はゴミ箱みたいなモンですわ」とのお言葉には笑ってしまいました。しかし「私らにはアナログで運転しやすいですよ、まだまだ使えます」とも。日常的に利用する立場なら綺麗な新車も嬉しいのですが、味のある国鉄車も末永く頑張ってもらいたいものですね。  停車中の電車は片側の床下がホームで隠れて見えませんので、一駅だけでは素材が集まらず、和歌山、橋本、五条と渡り歩いて約500枚。台車と床下機器ばかり、角度を変え露出を変えこれでもかと撮りましたが、それでも帰宅して整理していると「なんでココが鮮明に写ってる画像が一枚も無いの!?」なんてことも多々あります。 ファイル 18-2.jpg  精密な車両ストラクチャを作る上で一番のネックはやはり台車まわりでしょう。横から見ての形状が複雑なので、1枚~数枚の透過テクスチャを用いて表現するのが一般的ですが、交換列車として自線の隣に配置してみると、ほぼ前方から、少しナナメ横から見おろすようなアングルになり、台車の厚みや丸みを表現していないと違和感を感じてしまいます。ですから台車を細かく立体化してみることにしました。手間がかかりすぎるので以前から避けてきた部分ですが、ようやく重い腰を上げての製作開始です。  正直なところ、手間と効果のバランス考えると「何が何でも立体化したい!」というわけでも無かったのですが、“丸みのあるモノを限られた頂点数で立体化する”練習をしなくては・・・と常々思っていましたので、ちょうど良い題材でもあったのです。 ファイル 18-3.jpg  例えば、車輪でも何でも構いませんが丸い物を表現する場合、比較的解像度の高い透過テクスチャを使用すれば滑らかな曲線の表現が可能ですが、厚みの表現ができません。また、環境によっては黒縁や透過不良といった問題も未解決です。これを頂点組みの立体オブジェクトに置き換えるわけですが、例えば円形を作る時に頂点数4、つまり四角形のオブジェクトでは当然ながら円には見えません。少し増やして6角形でも、まだまだ円とは程遠い。しかし8角形、10角形にもなれば(オブジェクトのサイズにもよりますが)だんだん円に見えてきます。20角形ともなれば、余程アップにして見ない限り完全な円に見えることでしょう。つまり3DCG上の円というのは頂点数の多い多角形ということになります。  とはいえ作る手間、動作時の負荷を考えると、どこまでも頂点数を増やして良いものではありませんから、如何に少ない頂点数で曲線・曲面に見せるか、というバランス取りが重要になります。  また、以前の記事でデッキガーダー橋の枕木部分について、立体化するよりもテクスチャに描き込んだ方がリアルに見える場合もあることを書きました。ですから製作時は「どこまでテクスチャで表現してどこから立体化するか、立体化する場合は曲面の分割数をどれくらいにするか」・・・、映像作品用の3DCGと違い、リアルタイムレンダリングによるゲーム用3DCGは、常にそういった妥協点の探り合いが必要になるわけです。 ファイル 18-4.jpg  作り方は簡単なオブジェクトと全く同様、地道に頂点を打ってはテクスチャを貼る・・・という作業が延々と続くだけですので、詳しい製作過程は割愛しますが、試行錯誤しながら3日間かけて台車の片面がやっとこさ完成しました。とりあえず“横から見ても前から見てもナナメから見ても立体に見える”という目標は達成したと思います。  しかし、妥協点、バランスの取り方を探るという点においては大失敗かな・・・。製作前は漠然と頂点数500くらいで台車ひとつ作れたら・・・なんて思っていたのですが、片面が完成した現時点での頂点数が553、これから反対側を作り、更に内側のブレーキ装置や車輪、車軸や歯車箱などを作り込んでいけば台車一つで1300~1500くらいの頂点数になってしまいそうです。ポリゴン数=面の数=AddFaceの数と解釈して間違いなければ、片面で230ポリゴンになるので、最終的には台車ひとつで500~600ポリゴンになるでしょう。この数字はオブジェクトひとつで数千~数万ポリゴンと言われる昨今の3D ゲーム情勢から考えれば屁でもない数ですが、BVEという枠の中で考えると、もう少し何とかならんかったのか・・・とも思います。 ファイル 18-5.jpg  動画のコメントなどで「作り込みが細かい」といったお褒めをいただいて悪い気はしませんし、細かく作り込むよう心がけている面もあります。ただ、その細かさが本当に必要な部分なのか、もしくはもっと簡略化しても同程度の見た目を維持できるのではないか?という疑念が常にあります。正直に言ってしまうと、私はそうした適度な省略や妥協といったものが極めて下手、というよりセンスが無いんだろうなぁ・・・と、これはBVEに限らず昔から痛感させられていることです。  省略するセンスがないからリアルに見せようと思うと時間をかけて作り込むしかないわけで、その重いデータを海外製ゲーム基準のPCスペックでぶん回しているだけ・・・、こうして書くと何とも芸のないことです。もちろん表面上の仕上がりについては自身で満足できるモノが出来るようになってきましたので、あまり自分で卑下するようなことも無いのですが、人それぞれ常に悩みながら作っているということです。 ファイル 18-6.jpg  実物のDT33は103系や119系をはじめ、兄貴分であるDT21ファミリーも含めると国鉄通勤・近郊型電車、気動車、果ては一部の私鉄でも採用され、全国どこへ行っても見ることができる(できた)標準的な台車です。子供の頃は優等列車至上主義でコイルバネの台車に興味は持てず、その次は懐古主義で旧国・旧客の大柄な台車に惹かれたため、これまで真面目に観察する機会も無かったのですが、なかなかどうして格好良い台車ではありませんか。斜め上から見おろした時に見える枕バネのふくよかな出っ張りなんてタマリマセンね。 ファイル 18-7.jpg  それなりのPCスペックでないと負荷がかかりすぎると思うので需要があるかはわかりませんが、完成したら台車単体で素材として配布する予定です。最初からひとつのパーツであることを意識して作りましたので、CreateMeshBuilderは一つだけ。Translate構文ひとつで全体が移動するので、車体に合わせて位置を調整するのが楽チンです。デメリットはパーツ単位で削除しての軽量化や改造ががほぼ不可能なこと。  他形式が欲しい方はご自身で作っていただくしかありませんが、データ内に実物のパーツ名を(正確じゃないかもしれませんが)コメントアウトで記入していますので、「この部分はどうやって作ってるんだろう?」といった感じで参考にしていただけると良いのではないかと思います。  テクスチャは各パーツの画像を集合体にしたものが1枚だけです。まだ空白部がありますが、車輪やブレーキ装置などの画像を放り込みます。上の119系に組み込んだ画像では、車体の明度と合わせるためにSetcolorで少し暗めにしていますが、元のテクスチャは応用が利くように明るく・彩度も高めに設定しています。載せる車体の色あいに合わせて調整して下さい。  データ配布時のガイドラインはまだ考えていませんが、こういうのが一番メンドクサイですね。飯田線のデータも一時的であれ永続的であれ、複数の方のデータをお借りして成り立っているからには、こちらもそれにお応えして「好きなように使って下さい」と言いたいところなんですが、昨今のBVE界を見ていると、時間をかけて作った愛着のあるデータを「どんな使い方をされても」黙っていられるほど私の心も広くないわけで、何らかの制限は必要だろうと思います。  個人々々で組み込んで遊んでいただく分には何の問題も無いわけですが、例えば自作の車体に組み込んでストラクチャを配布する場合などの二次配布の可否、条件とか、そのあたりが悩みどころです。

架線の偏位とエアセクション

 架線のストラクチャについてはリニューアル当初から一貫してBVEとしては標準的なモノを使い続けてきましたが、そろそろ周囲とのバランスで誤魔化しがきかなくなってきたので少し精密な物に置き換えました。今回は細かい部分の話題が多いため、一部を除きスクリーンショットはBVE5(試験版)のフルスクリーンで撮っています。低速回線の方は画像の読み込みに時間がかかるかもしれませんがご容赦下さいませ。 ファイル 15-5.jpg  直線区間ではほとんど分かりませんが、吊架線をカテナリー曲線風にしてみました。本当のカテナリー曲線(紐の両端を手に持って自然に垂らした時に出来る曲線)は計算が非常に難しいので適当に数値を弄って曲線化していますが、直線のままよりは見栄えのする物になったと思います。しかし、これで25mと 50mの前半・後半と、3種類のオブジェクトを25mおきに手動で配置しなくてはならなくなり、延伸の度に必要な工程数はかなり増えてしまいました。  また、ハンガー(吊架線からトロリ線を釣っている部品)も針金をクネクネ曲げたような簡単な造りですが、運転台から見て精密に見える程度に再現しました。テクスチャは貼らず、面の色を2色使って光の当たるところ・当たらないところを造り分けています。 ファイル 15-1.jpg  BVEユーザーの方なら直線区間の架線がジグザグに張られているのはご存じと思いますが、BVEでコレを再現するのは結構面倒。しかし先のカテナリー曲線の再現のため、いずれにせよ25mごとに架線を設置する必要があり、ならばついでに・・・と、ジグザグ偏位も再現することにしました。  左右の許容値は会社・路線によって違うようですが、あまり小さくては面白味がありませんので一般的に最大とされる±20cmに設定しました。架線を配置する数値としては、左寄りの-0.2m位置からスタートしたとして+0.46度振ってやると、25m前方で自線の中央である0.0m位置に移動します。次に0.0m位置からまた+0.46度振ってやるとその次の25m前方、始点から50mで+0.2m位置、つまり右寄りに移動します。今度は0.2m位置から逆に-0.46度振り、次の0.0m位置から-0.46度振ると、始点から100m位置で再び-0.2m位置、つまり左側に戻ってきます。曲線の前後や架線柱間隔の変わる場所で辻褄を合わすのに苦労することはあるものの、基本はこの繰り返しですので特に難しくはありません。ただ、25m毎に作業が必要ですので非常に面倒というだけです。  ちなみに今回はfreeobj構文で架線オブジェクトを配置をしています。rail構文でも構いませんが、連続する曲線部を除けばどちらにしても25m 毎の作業が必要であることと、制作に使用してるBVE4環境では使用可能なrailインデックスが15しかないため、そのうちの1つを占有してしまうのが嫌ということでfreeobj構文を使うことにしたのです。  ジグザグ偏位を再現すると架線柱の振れ止め/曲線引き装置や懸垂碍子の位置も左右に振り分けなくてはならなくなり、その修正作業に合わせて架線柱も一斉に改良しました。画像は省きますが、ポールの円柱化(コンクリート製の物に関しては頭部を丸めた)、ポールのテクスチャを数種類に分ける、ビームのテクスチャを陰影のあるものに変更、ポールにビームの影を付ける・・・などなど。 ファイル 15-2.jpg  で、その勢いのまま架線の張力調整装置も造りました。大層な名前ですが、要はオモリの数で架線を引く力を調整するだけの機械です。私のまわりではコレを「ターンバックル」と呼んで通じるのですが、最近は言わないのかな・・・と動画のコメントを見て思ったり。ちなみに線材の弛みを取る装置を総称してターンバックルと呼びます。  滑車の再現は面倒なので透過テクスチャで何とかしようと思っていたのですが、実際に作って配置してみると、運転席からはほぼ断面方向から見ることになるため、ペラペラの板オブジェクトではおかしなことになってしまいました。中が抜けているためcylinder構文も使えず、仕方なく座標を打ってモデリング。テクスチャは陰影を表現するだけの簡単なモノを貼り付けてヤッツケました。 ファイル 15-3.jpg  そうそう、動画のコメントで「cylinder構文にもテクスチャ貼れるよ」と教えていただいたので、コンクリート製のウェイトはその手法を試してみました。どの座標順に貼り付けられていくかの定義が分かってしまえばナルホドこれは楽チンですね。形状の複雑ではない円柱状のパーツは今後この方式で行くかもしれません。他のパーツは適当に座標組みし、細かな物ですからテクスチャも貼らずに色指定だけして完成です。  架線柱は専用の物を用意せず、従来の物に合体させて使うことにしました。画像は飯島駅を出て上下線が合流した部分の架線の末端ですが、ゴチャゴチャ感が出て良い感じです。テクスチャを貼らずに手抜きしたところも、これくらいのサイズ、かつ一瞬で画面外へ移動していくオブジェクトなのでそれほど気にならないと思います。 ファイル 15-4.jpg  先日「リアル化スパイラル」のお話をしましたが、今がまさにその状態で、架線まわりをリアルにしてしまうと張力調整装置を配置するにも理にかなった配置をしないと不自然になってしまい、ポンと置いて完了!では済まされそうにありません。  今まで架線の細部なんて気にも留めなかったのですが、架線の起点・終点の構造を撮り溜めた写真から推察し、2本の架線が並走するエアセクションを再現ました。画像は飯島~田切間のエアセクションですが、新しい架線が右側からスタートして寄り添い、1スパン分並走して従来の架線は左に逸れて張力調整装置に繋がります。物理的に接続されず空気を絶縁体としているから「エア」セクションなのですね。架線柱のビームに取り付けられた紅白の標識は「電車線区分標」。またエアセクションの架線はハンガーにオレンジ色の保護カバーが装着され、他と区別されています。  しかし飯田線のエアセクションを見ていると、この電車線区分標とオレンジ保護カバーのセットが装着されている所と無いところがあるのです。データ上でもこの違いを再現していますが、違いの意味がよく分かりません。き電区間の変わる(担当変電所が変わる)所のみ標識と保護カバーを付けているのではないか?と勝手に想像しているのですが、確証はありません(き電区間が変わらないエアセクション直下なら停車しても大丈夫なのかな? ←エアセクション中で停車>ノッチ投入すると微妙な電圧差で短絡し、架線が焼け落ちると言われます)。  いずれにせよ変電所の概念のないBVEでは情景パーツとしてしか意味を成しませんが、それでも右へ左へ流れる架線を見ているとナカナカ楽しいものですね。静止画ではピンと来ませんが、BVE5の次期開発中版が配布されたら新しい動画を作る予定ですので、そちらでお楽しみいただければと思います。  それから、リニューアル当初からgaku氏の製作された複数のオブジェクトをそのまま使わせていただいてきましたが、日々自作オブジェクトへの置き換えが進み、ようやく残すところ片手で数えられるくらいになりました。実は路線データの方も修正漏れを修正するのが面倒だったため一度書き直しており、近いうちに完全自作路線と言える日が来そうです。だからどうだということは無いのですが、データ配布へ向けての最低限の下準備と言うことで・・・。

デッキガーダー橋と架線柱

ファイル 14-1.jpg  鉄道模型や絵画の中で列車を引き立てるアクセントとして重宝するのが鉄橋やトンネルです。童謡『汽車ぽっぽ』の中でも「鉄橋だ♪」「トンネルだ♪」などと歌われているわけですが、風景の境目であったり、音の変化であったり、はたまたその構造物そのもののインパクトであったり、何かとワクワクさせられるアイテムですね。飯田線の飯田以北のトンネルは意外なことに伊那上郷~元善光寺間の一ヵ所しかありませんが、鉄橋については天竜川に注ぎ込む数々の支流を越える必要があるため、随所に架けられています。  ただ残念なのは全てガーダー橋であるため、絵的にはトラス橋ほどのインパクトがありません。これが模型や絵画なら横からの構図で楽しめるのですが、生憎 BVEは運転席の視点が基本ですから、枕木の見た目が少し変わる程度の変化しか感じられません。唯一の楽しみは鋼材が振動して発する轟音ですが、前後に急曲線が多いため30~40km/h程度のノロノロ運転になり、run音の特性上あまり轟音とは言えないノイズ混じりのサウンドになってしまうのが残念です。 ファイル 14-2.jpg  さて、鉄橋のストラクチャでレール部をどの程度作り込むかは以前より悩みの種になっていました。オーソドックスに行くなら枕木部を透過テクスチャでベタッと置いて、レールとガードレール、場合によっては渡り板も別パーツ化といったところでしょうか。しかし、枕木をテクスチャ1枚の平面で表現すると厚みが感じられず、特にノコギリ状に見えるべき右端に違和感を感じてしまいます。  なら枕木を1本1本座標で立体化すればリアルに見えるのかというと、そう単純な話でもなく、枕木表面の突起物(橋桁と枕木を固定するボルトの頭や、犬釘に相当するロール型バネやボルト類)、つまり運転台の視点から見た時に、枕木の前縁から前方へハミ出して見えるオブジェクトを立体的に描くには、一枚板でテクスチャをベタッと貼り付けた方がリアルに見えることもあるのです。 ファイル 14-3.jpg  そこで今回は折衷案、というか足して2で割らない、立体オブジェクトと板オブジェクト両方の要素を併せ持つ構造にしてみました。ワイヤフレーム表示にした画像をご覧いただければ一目瞭然ですが、基本的には枕木を全て立体化し、それぞれにテクスチャを貼り付けています。おかげで枕木両端部の立体感はバッチリ。また、上の画像で枕木左端をご覧いただければ分かりやすいかと思いますが、せっかくバラしたのだから枕木の長さを各々微妙に変えて、よりリアリティのある仕上がりを求めました。左側の手すりや通路の踏み板も例によって例のごとく寸法を微妙に変化させてグニャグニャ感を出していますが、皆様もう飽きられたと思うので詳細は割愛します。 ファイル 14-4.jpg  次は突起物類の処理です。この鉄橋では枕木のズレを防止するアングル材(けい材)が左右に取り付けられていますが、これより内側は板一枚にテクスチャをベタ貼りしたものを重ねて配置しています。文章で説明するのは難しいですが、上方から見おろした右の画像をご覧になれば、その構造をお分かりいただけるかと思います。これにより、ボルト類の突起などを表情豊かに描くことが出来ます。当然このように真上から見おろしてしまうと抜けているところと抜けていないところが出来てしまい違和感がありまくりですが、運転台からの視点に限って言えば、枕木の厚みがあるため下が抜けて見えることはあり得ず、問題にはなりません。  ちなみに、立体化した枕木の上面とテクスチャをベタ貼りした板オブジェクトを同じ高さに設定してしまうと、重複したテクスチャがチラチラと交互に表示されて鬱陶しいので、板オブジェクトの方を1cm浮かせて置いています。ミリ単位の差でもチラツキを押さえることはできますが、少し離れたところから見るとチラツキが再発することがありますので、少し余裕を持たせた方が良いでしょう。 ファイル 14-5.jpg  橋梁部の架線柱については以前の動画内でも座標による立体化に拘って・・・と紹介していましたが、手間をかけた割には実物の無骨なディテールを表現しきれておらず、喉に刺さった魚の小骨のようにずっと引っかかっていました。なので鉄橋のストラクチャ製作に合わせて全面的に再リニューアル。どうせ時間をかけるならと、やれることは全部やって当初想い描いていた理想のディテールを追求しました。  前作の至らなかった点は、全体的に鉄骨が細く貧弱だったのと、テクスチャにメリハリが無くリベットも再現していなかったこと。そのあたりを踏まえ、現地取材で得た詳細な写真から各部のディテールを検討し、完全新規に製作しました。 ファイル 14-6.jpg  例によってこちらもワイヤフレーム表示です。実は今回、リベットなどのディテールが複雑なため透過テクスチャを用いての製作も検討したのですが、解像度をかなり高めに設定してもαチャンネルとアンチエイリアスの兼ね合いで理想の描画品質を得ることが出来ませんでした。というわけで従来通り頂点を打って面を作り、それぞれにテクスチャを貼り付けていきました。小さなテクスチャでも輪郭がシャープに抜けて描画されるので、手間はかかりますがデータ容量と品質を考慮するならコレがベストなのではないかと思います。 ファイル 14-7.jpg  気合いを持続できず何回かに分けて製作しましたが、ようやく鉄橋まわり一式の再リニューアルが完了しました。時間はかかったものの、おかげで今の自分に出来るベストなモノが完成したと思います。  いくら低速とはいえ鉄橋を通過するのはわずか数秒間、しかもリベットなどのディテールが見て取れるのはホンの一瞬ですから自己満足に過ぎないと言われればその通りなのですが、しかしその瞬間が全体の印象に与える影響も馬鹿に出来ないモノではないでしょうか。  余談になってしまいますが、皆様は自分の満足するモノって作れていらっしゃるでしょうか? BVEに限らず仕事でも他の趣味でも何でも構いませんが、胸を張って「良い出来だ」と人に言えるほどのモノはなかなか作ることが出来ません。当然スキルは人それぞれですから世界を相手に言えるような人は希有でしょうが、少なくとも今の自分にできる最高の仕事・・・というのは誰にでも出来るはず・・・なんですが、それでも自己評価100点満点というのはナカナカ難しいモノです。  よくエライ人が「自己満足じゃダメだ」なんて仰ってるのを聞きますが、作った本人すら満足できない程度のモノで他人が満足してくれるわけもなく、自己満足こそが至高だというのが私の持論です。自己満足はダメと言うお方、エライ割には自身の仕事に対する満足レベルを随分低い水準に設定されていらっしゃるのだなぁ・・・なんて、少し悪意を含んだ解釈をしてしまったりもするのですが、兎にも角にも私個人は常に自己満足追求派でありたいと思っています。(まぁ、それではご飯が食べられなくなっちゃうのですが、その話はまた別の機会に・・・) ファイル 14-8.jpg  えらく逸れてしまいましたが、ぐるっと廻って冒頭のお話。長々と書きましたが、つまりは面白味のないガーダー橋もここまでやればそれなりのインパクトを与えることが出来るんじゃないか、と言うことです。せっかく鉄橋があるのにそこでワクワクしないというのは負けた気がしますので何とか打破したかったわけですが、ようやくこれで落ち着けそうです。  サウンド面での改善は難しいところですが、「いかにも轟音がしそう」という視覚イメージは細部を作り込むことによって再現可能と思います。そもそも、ほとんど音のしない鉄道模型や、音とは無縁の絵画であっても、轟音が伝わってくる作品というのは少なくありません。同じようにBVEのストラクチャも精密に作り込むことで重量や振動を視覚的に感じさせ、実際に鳴っているサウンドよりもリアルで重厚な音に脳内補正して感じることが出来るのではないかと考えています。

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