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タグ「ストラクチャ」の記事は以下のとおりです。

地形のfreeobj化

 これまで地形の表現はdikeやwall構文を使ってやりくりするのがほとんどでしたが、freeobj化した伊那大島の崖が当初の予想以上に良い印象でしたので、特徴のある地形は思い切ってfreeobj化することにしました。

ファイル 47-1.jpg  中田切の鉄橋から延々と上り勾配の続く飯田線ですが、伊那福岡を出るとイキナリ28.6‰の下り勾配に突入します。これは小町屋との間に流れる上穂沢川(わぶさわがわ・・・読めないよっ!)が作ったプチ田切地形を、例によって最小限の鉄橋で超えるためです。
 駅を出てすぐにR600がありますが、路線の制限速度が85km/hに抑えられている飯田線では、曲線制限は無いも同義。分岐器制限を抜けるとフルノッチで加速しながら曲線を抜け、上限いっぱいの85km/hで谷底の鉄橋を渡ると、そのまま小町屋の台地に駆け上がります。
 唸るモーター音! 激しく揺れる車内! それまでとは全く違うスピードレンジで爆走する、非常にダイナミックな区間です。

ファイル 47-2.jpg  その駆け下りる感覚を如何に再現できるかが腕の見せどころ・・・なのですが、リニューアル作業を始めた当初のデータを引っ張り出してみると、ご覧の有り様。
 データのタイムスタンプを見ると、ちょうど2年くらい前のもの。誰しも最初は技術的に拙いのは当然ですから仕方のないこととはいえ、今更お披露目するのは非常に気が引けるのですが・・・、失敗作の見本として晒しておきます。当時は精一杯頑張ったつもりなんだけどなぁ・・・。
 “似てる、似てない”以前の問題として、高低差が全く感じられないのが、運転シミュレータとして非常によろしくありませんね(念のため路線データをチェックしましたが、これでちゃんと下り28.6‰になっています)。これは風景のストラクチャを自線に追従させて配置していることが一番の原因ですが、おかげでBVE4以降ではストラクチャとして設置した勾配標以外に、勾配をイメージさせる要素がありません。

 解決策として、ストラクチャを配置する際に、基準座標となる線路インデックスを自線の“0”ではなく“-1”にすると、勾配の中にあってもストラクチャは鉛直になりますから、田畑や建物を階段状に配置してやれば、勾配を感じやすくなります。
 しかし直線区間ではそれだけで対応できますが、曲線区間となると、今度はブロック状に作った汎用ストラクチャの違和感が強く現れます。旧作では直線で作られた田圃のフチを路盤の下に隠すことで、なんとな~く誤魔化していたわけですが、これが表面化してしまうと、ブロックかタイルを並べたような画一的な風景になってしまいます。「某列車で行こう9」の田畑に幻滅された方なら、どれだけ不細工なことになるか、お分かりいただけるでしょうか。

ファイル 47-3.jpg  様々なサイズ・種類の田畑を曲線半径ごとに各種用意する・・・なんてのは非現実的ですから、結局その場所その場所専用の地形ストラクチャを製作するのが、遠そうで、実は一番の近道なのです。
 現在製作中の仕様では、ストラクチャの密度やテクスチャのリアリティが高まったことで、表面上の見栄えが良くなったのも確かな進歩ですが、それよりも何よりも、専用の地形を用意したことで、旧作と比較すると圧倒的な「下ってる感」を演出できたことが、一番の成果です。新旧とも線形はほとんど同じなのに、ちゃんと下っているように見えるのだから不思議なものです。
 風景としても、画角や季節の違い、架線柱が建て替えられたことによる雰囲気の誤差はありますが、それなりに似てると言えるレベルに達することが出来たでしょうか。

ファイル 47-4.jpg  左手の建物群は1994年に開校した「赤穂南小学校」。路線データの95年当時は新築ホヤホヤですね。「その割には汚しが効いてるような?」というツッコミは、テクスチャ素材の関係上ご容赦を。
 私の知る小中学校というのは、全国どこへいっても同じスタイルの、クリーム色に塗られた無機質なコンクリ建築・・・というイメージなのですが、この頃から公立の学校建築も豪勢になりましたね。
 線路はここから小町屋を経て、前回掲載した駒ヶ根駅手前のカーブに至るまで一直線です。実際には20mの短尺レールが独特のジョイント音を奏でる区間なのですが、音を収録して路線データで再現するには、全区間の短尺レール使用箇所を調べないといけませんから、チョット大変ですね。

ファイル 47-5.jpg  今回は大きく3つのブロックに分けてこの区間を再現しました。まず画像左上は手前の棚田部分。線路の曲線に沿うようにカーブしている、今回の肝の部分です。左側へ階段状に田圃が続きますが、視界に入るのは二段目までですので、その土手だけ作って完成です。
 右上は杉林の土台。水分が多く、陰になる部分でもあるので、暗い配色にしています。透過テクスチャを用いて数箇所に配置した下草は、ポリゴンで作った地形がカクカクの直線に見えないよう誤魔化すためのオマジナイ。実際にひとつ前の画像をご覧いただければ、その効果がお分かりいただけるかと思います。
 左下は学校部分全体。位置合わせが楽なよう、校舎なども含めて一体にしています。本当はもっと複雑な形状をしているのですが、遠景でしか見えない部分はザックリ省略しています。また、手前の体育館と線路側のフェンスの間にはプールがあるのですが、こちらもフェンスに隠れてほとんど見えませんので省略しました。
 右下は杉林に並べた汎用ストラクチャ。線路際の防風林などに以前から使用しているものです。透過テクスチャの輪郭に関する問題の影響を最小限にすべく、木々には高解像度のテクスチャを使用していますから、できるだけ汎用品を使って重複読み込みによるメモリ・リソースの浪費を抑えるようにしました。
 とはいえ、これだけだと「同じ木が並んでる感」が否めませんので、最前列だけでも単体の樹木ストラクチャを数パターン用意してランダムに並べたほうが、より自然な風景になりますね。

 図らずも過去作品の拙さを目の当たりにしましたが、それだけこの2年間で色々な技術が身に付いたのだと、前向きに解釈したいところです。しかし、どんな技術職でも一人前(その道を極める・・・のではなく、最低限ひととおりの作業を一人でこなせるようになる程度)になるには3年かかると言います。データ弄りを始めて今で2年半くらいでしょうか。それも仕事の合間の飛び飛びの時間ですから、延べ時間としては1年にも満たないレベルですね。
 まだまだ知らない技法や、思い付いていないアイデアがゴロゴロ転がっているのでしょうから、更に2年後の自分がどんなデータを作っているかを考えると、チョット楽しみ。

・・・いや、足踏みしてるかも知れないけど。

Yポイント完成

 先日より製作していました両開き分岐器が完成しました。参考になるか分かりませんが、テクスチャの製作過程を解説してみます。

ファイル 43-1.jpg  前回掲載したのはレールだけの状態でしたが、道床を作り、レールにテクスチャを貼りました。道床を含め頂点は、Illustrator上で作図したものから頂点座標を読み取り、それを適宜四捨五入してテキストエディタで打ち込みます。レールは全長25mですので、長手方向は分かりやすく2.5m刻みで。ただし直線部やカーブの緩いところは間引いて、作業時間と頂点数を軽減しています。
 中央に一列並んだ8つの頂点は一見不必要に思えますが、テクスチャの貼り付け位置を微調整するのに便利なのです。

ファイル 43-2.jpg  前回も書きましたように、現在の飯田線内では木枕木の両開き分岐が撮影できませんでしたので、関西本線で撮影した写真からテクスチャを起こします。
 撮影は走行中の車内から。要求解像度・レンズによる歪み・合焦範囲を考えると写真1枚でテクスチャを作るのは難しく、数枚に分割して撮影し、あとで合成します。高速シャッターで連写できるカメラなら1つのポイントで材料を揃えることが出来そうですが、生憎ウチのエントリー機ではデータ書き込みのタイムラグで追いつきません。数カ所で撮影した素材の中から影の方向や開通方向、色味などを吟味して、使いやすそうな写真を3枚選びました。

ファイル 43-3.jpg  それぞれ切り接ぎしても目立たないところで切り出して並べ、大雑把に遠近の歪みを修整したところです。直線レールが含まれていれば、レールを平行にすれば全体の遠近も自ずと適正になるのですが、両開きの場合は基準になる場所がありませんので、まずは勘で適当に・・・。レール踏面は最終的に錆色で塗りつぶしますが、この段階では位置合わせの基準にするため、銀色のまま残しておきます。

ファイル 43-4.jpg  ゴチャゴチャして見難くなっていますが、先述のIllustratorで書き起こした略図を画像上にペーストし、図上のレールを基準に画像の位置合わせを行います。画像全体を変形させただけでは完全に合致しませんので、部分的に選択しては変形させ、少しずつ近付けて行きます。
 画像データは何度も変形を繰り返すと確実に画質が劣化しますので、車両テクスチャの製作と同様、できるだけ高い解像度で作業し、最後に適正サイズに縮小するようにしましょう。

ファイル 43-5.jpg  テクスチャの調整が完了したら、モデリングデータに貼り付けます。3Dモデルもテクスチャも同じ図を元に作っていますから、この時点で大きな誤差は出ないはずです。
 しかし、それでも画像のようにレールの位置が微妙にズレていたりしますね。頂点に対してのテクスチャ貼り付け位置を微調整して近付けますが、どうしても調整できない場所が出てきます。例えば開通側(左)手前のレール周辺を見ると、左のレールに対してテクスチャが外側に寄っていますので、もう少し内に入れたいところですが、そうすると既にズレている右側レールのテクスチャが更に大きくズレることになってしまいます。アチラを立てればコチラが立たず・・・。

ファイル 43-6.jpg  これ以上csvデータ上で貼り付け位置を調整するのは無理ですので、次はテクスチャ画像を弄っていきます。コピー&ペーストや変形ツールを使い、レールの位置を微妙に移動させ、少し動かしてはviewerで変化を確認・・・を繰り返し、ジワジワと現物合わせ。
 同時にレール下部と犬釘の表現を描き込んだり、日光の向きを考えつつ影を描き込んだり、諸々のディテールを加えます。時々路線データに組み込んだ状態でもチェックし、周囲のレールやcrackと比較して、画像の明度・彩度・コントラストも調整しておきましょう。地味な部分ですが、影の濃さが周囲と違うだけでも違和感が発生し、トーンカーブをちょびっと動かすだけでも印象が変わるのは怖いですね。

ファイル 43-7.jpg  数時間の作業を経てようやく完成。色調、立体感ともに破綻無く纏まっていると思います。
 ガードレールの間にあるつっかえ棒の様なものは、ゲージストラット。列車通過時の横圧により軌間が狂うのを防止する、まぁ突っ張り棒のようなものです。分岐角の大きな急曲線の分岐器によく装備されており、飯田線ではかなりの確率で見ることが出来ます。前作の片開き分岐器ではこれを立体化していましたが、目立たないので今回はテクスチャの表現に留めました。
 私個人の問題ですが、ストラクチャ単体を睨むようにして作り込んでいると、「木を見て森を見ず」というか、むしろ葉っぱの葉脈すら探すように気にしてしまうきらいがありますので、時々路線に組み込んで全体を眺め、目立つところ・目立たないところの妥協ポイントを探るよう心掛けなくてはなりません。

ファイル 43-8.jpg  製作のきっかけとなった伊那大島駅の辰野方に配置しました。周辺との馴染み具合も良好で、前作片開きより良い出来になったかな、と思います。
 ツッコミを入れられないうちに注釈しておきますと、前方左側にポツンと置いた転轍機は、脱線器(安全側線を配置するスペースが無い場合に代用とする設備)を動かすためのモノ。脱線器本体は資料を集め損なったので後日製作します。もうひとつ、25‰の勾配標が立っていますが、本来は腕が外側(右側)に向いていなくてはいけません。今まで本線左側の標識ばかりでしたので、まだストラクチャを作っていないのです。

 次の上片桐も伊那大島によく似た配線で、この分岐器が活躍してくれそうです。ただしこちらは近年になって駅舎が建て替えられてしまい、更に駅前のアサノセメントのサイロ群も解体されてしまいましたので、七久保の油槽所と同様、限られた資料で風景を再現するのに時間がかかりそうです。駅間は距離はあるものの、ほとんどが林の中ですので、駅周辺さえ完成すれば開通も早いのでは?と思っているのですが、どうなりますことやら・・・。

Yポイント製作中

ファイル 40-1.jpg  独特の電留線をご覧になれば、ピンと来る方もいらっしゃるでしょうか? 七久保からぐぐっと南下しまして伊那大島駅です。「いずれは飯田を起点にしたい」なんて言いながらも、七久保からの距離・駅数を考えると気が遠くなりそうで、くじけないために線路だけでも・・・と、とりあえずココまで引っ張りました。
 前方の崖と、その上の料理屋でも作れば一目瞭然なんですが、そのあたりはマァ追々に。

 以前から作業中の駒ヶ根駅構内の配線を再現するには両開き分岐器、いわゆるYポイントが必要なのですが、なかなか面倒で製作をズルズルと引き延ばしていました。しかし、伊那大島、そして次の上片桐の線形を整えていると、どうしても両開きが必要になり、重い腰を上げての製作開始です。

ファイル 40-2.jpg  基本的には以前作った片開き8番と同じ造りですが、だんだん慣れてきたのか構文は微妙に洗練され、形状も少し凝っています。ウィング、ノーズといったクロッシング部は、レールを組立てた形態を意識して製作し、微妙な曲げや面取りも再現しました。
 作り分けが解りやすいように"setcolor"で着色してみましたが、"CreateMeshBuilder"は2つだけ。つまり白いところ全部でひとくくり、茶色いところ全部でもうひとくくりです。
 これはテクスチャ画像の重複読み込みを徹底して排除するため。テクスチャは同じファイル名であっても"LoadTexture"の回数分だけ読み込まれますから、各部レールをいくつもの"CreateMeshBuilder"で分割してしまうと、同じ画像を何度も読み込み、余分にメモリを消費することになります。
 ひとつの面やオブジェクトに対してテクスチャ画像を作るのではなく、テクスチャ画像1枚に対して1つの"CreateMeshBuilder"を作る、常に逆順で考えるクセを付けておくと、見た目は複雑でも、効率の良いデータになるはずです。
 ひとくくり中の頂点数が数百になると頭がこんがらがりそうですが、まぁ・・・ある程度は慣れます。
 先日の119系などを自分で見返してみると、「アホなことやってるなぁ・・・」なんて思うこともありますが、あれくらいの作業量をこなしているうちに、空間把握力や効率の良い頂点の組み方などが自然と身に付いてきますから、全くの無駄にはなっていないと思います。

ファイル 40-3.jpg  前作片開き同様、トングレール先端は厚みを持たせてペラペラ感を軽減させました。立体による造形はここまでで、これから先はテクスチャのお仕事になります。
 余談ですが、飯田線内の分岐器の多くは合成樹脂製の枕木(レンガ色のやつです)に交換されていまして、木製枕木のテクスチャ素材を撮影できる機会が減ってきました。特に両開き分岐器ともなれば全体数も多くなく、撮影できる範囲では適当なものを見つけられませんでした。
 代替として両開き分岐器の多い関西本線に何度か乗り、見晴らしの良いキハ120の前面窓から駅前後の分岐器を撮りまくりました。クロッシング部は全てマンガン鋼の鋳物が使われていましたが、欲しいのは枕木部だけですので、ちょっとした画像処理で使えそうです。

ファイル 40-4.jpg  最後の写真はリアル伊那大島。313系の先頭助手席側から撮影しましたので、スクリーンショットとは微妙に角度が異なりますが、偶然にも件の分岐器をほぼ真正面から捉えています。
 こうして見ると6:4くらいの振り分けにも見えますが、この写真からの判別は難しいですね。例えそうであっても、ストラクチャをそれぞれ作り分けるのは大変ですから、余程偏った振り分け率でない限りは、両開きとして扱ってしまいます。

 スクリーンショットでは左手前方向に2本の側線がありますが、現在では撤去されています。かつて左側には上屋付きの貨物ホームがありましたが、櫛形ホームの間は砂利で埋められ、上屋も解体撤去されています。
 しかしこの貨物ホームに入るにはジグザグにポイントを渡らなければならず(119系の停車している線はこの先すぐで行き止まり)、地形の制約がある中、無理矢理作った感じです。鉄道が物資輸送を担っていた時代は、街の生活のためにそこまでしたのですね。

電柱でござる!

 架線柱の記事でも書いた記憶がありますが、日本の空というのは電線だらけで見苦しいものですね。しかし、見苦しかろうが汚かろうが、それもまた「日本らしさ」のひとつであるわけで、データ上でも再現してみたいなぁ・・・と、運転シミュレータの本筋から逸れたところばかりに力を注いで、正統派ユーザーの方から「無駄に処理が重くなる」と、お叱りを受けてしまいそうな今日この頃です。

 電線はともかく電柱に関しては、過去の画像や動画にあるように、それらしく再現していましたが、これが何故か嘘クサイ。そもそも電柱や電線なんてものは、毎日のように目にしている割には「正確に描いてみろ」と言われると難しいもので、これを機会に“正しい電柱と電線”をお勉強しながら、新しいオブジェクトを作ることにしました。

ファイル 31-1.jpg  ポールのストラクチャ・テクスチャは影を除き従来のままですが、ビームや碍子の取り付け位置は、実際の法則に従って修正しました。
 最上段に3本並んでいるのが6600Vの高圧配電線で、これは接近するだけでも危険な電圧ですので、例外なく最上段になります。
 中段には200Vの低圧線が敷設されていますが、動力線と電灯線に分かれています。必ずしも・・・ではありませんが、上段に2本の低圧動力線、下段に3本の低圧電灯線が配置されており、動力線は工場のモーターに適した三相三線の交流ですが、3本のうち1本は電灯線と共用しているため2本だけです。電灯線は一般家庭で使用する単相三線で、3本のうちどの2本を使用するかで100V・200Vを使い分けられます(最近はエコのせいか減りましたが、ちょっと前のエアコンは200Vが多かったですね)。
 余談ですが、都市計画で住居専用区域に指定されている場所や農村では、動力線を見かける機会は少ないかもしれません。もっとも、伊那谷の集落はどこも工場だらけですので、必須と考えて良いと思います。
 そして、最下段の太い線は電話線。一本一本は細い電話線ですが、交換局までは各戸の線が集まって束になりますから、かなりの太さになっています。

ファイル 31-2.jpg  以上が最低限の組み合わせになりますが、シンプルな電線・電柱だけでは寂しいので、アクセントに柱上トランスを持つ電柱も作ってみました。
 最近のトランスはポリバケツみたいなスマートな外観ですが、一昔前は物々しい冷却フィンが印象的で、風景画を描く時も良いアクセントになったものです。
 電話線に付いている黒い箱は、各戸の電話線を分岐・集約するクロージャーというもの。これも街を眺めていると至る所にぶら下がっています。ちなみに光ケーブルのクロージャーはライトグレーなので、ご近所に光ケーブルが引かれているかの判断材料になりますね。

 ポールとトランスは円筒状のオブジェクトですが、ビームや碍子は平板に小さなテクスチャを貼っただけですので、見た目の割に軽量です。クロージャーに至ってはcube構文で超手抜き。電線類は一部省略していますが、雰囲気は十分出ていると思います。細かい電線に透過テクスチャを使うと楽そうですが、メモリ使用量が増える、アンチエイリアシングをかけると遠景で消滅してしまう、そしていつもの縁の透過不良といった問題がありますので、地道に頂点を打ち、テクスチャも貼らず色指定のみで仕上げました。

ファイル 31-3.jpg  完成した電柱を七久保駅周辺に建てたところ、手前味噌になってしまいますが、予想を遥かに上回る「日本臭さ」に大満足です。やはり何でも作る前にしっかり観察し、構造を学んでから取りかからないと、説得力のあるもの、もしくは自然に見えるものは作れない、ということでしょうか。
 観察といえば、実際の電柱は右や左に傾いているものが多く、直立している方が珍しいくらいです。むしろ整然と並んでいると違和感が激しく、データ上でもバラバラに傾けたいところなのですが、今のところBVEの構文にはオブジェクトを傾斜させるパラメータがありません。ですので苦肉の策として、左右に傾いたものも含め、数パターンのオブジェクトを作り分け、それらをランダムに並べて自然に見せるようにしています。


 いい加減路線データを先に進めなくてはならないのですが、こういった「理想の風景」を再現するためのオブジェクト造りが楽しくて、ついつい寄り道してしまいます。とりあえずこの勢いで、横方向や交差部などの電柱・電線類を一式作ってしまうつもりですが、高圧鉄塔のストラクチャも作り直したくて、先日から資料を集めているなど、まだまだやること山積です。小町屋は遠いなぁ・・・。

杉林の表現に目覚める

ファイル 23-2.jpg   初夏から夏にかけて現地や近所で樹木や森林の写真を撮りまくりましたので、そのあたりの再リニューアルを進めています。最新版の動画でお気付きの方がいらっしゃるかもしれませんが、線路際の雑木林のストラクチャは陰影表現の強化や下部に盛り土を再現するなど、初期のものより少しディテールアップしています。

ファイル 23-3.jpg

 それに対して杉林のストラクチャはドコをどう改良すべきか方向性がまとまらず、リニューアル当初のままで動画を投稿しましたが、ようやく盛り土と下草の再現、陰影による立体感と遠近感の表現、テクスチャ解像度の向上という線で落ち着きました。
 右の画像は上段が従来のもの、下段が新作ストラクチャに置き換えたもの。道床~地面~下草の繋ぎをどうすれば自然に見えるか、線路際や近所の林道などで似たようなシチュエーションを観察して考察・再現しました。あとはアクセントに低木を散らせば、より豊かな表情になるのではないかと思います。

ファイル 23-4.jpg  そもそも従来の杉ストラクチャは陰影をどの角度で付けるか悩んだ挙句に決めかねて、ほとんど影を付けることなく完成させたものでしたから、いささか立体感に欠けるところがありました。と言うのも、この路線データは通学ラッシュが落ち着いた後の午前中をイメージして製作していますが、西から東へ走る下り列車から前方を見れば、日光は概ね右から左へ当たることになります。ということは樹木単体のオブジェクトですと左側に影ができるわけですが、森や林といった集合体になると並び立つ樹木がお互いに生成する影も加わるので、複合するとどんな影になるのか解釈が難しくなってきます。
 最初に挙げた比較画像を例に解説しますと、線路の右側に並ぶ杉林に対して右から左へ日光が当たるという原則を当てはめると、線路側の面が影になり、旧ストラクチャもわずかにその傾向で陰影を付けていました。しかし、よくよく考えてみるとこの杉林、それなりに幅のある防風林ですから奥、つまり右側に行くほど暗くなるという解釈もできます。

ファイル 23-5.jpg  試行錯誤した結果、木々の重なりが作り出す影を優先して表現することとし、樹木の中央部に影を設けるという、単体の樹木では有り得ない絵面になりました。おかげで暗い部分の手前に比較的明るい末端の葉が浮き上がるように見えるため、基本的には板オブジェクト同然ながらも随分と立体的に見えるようになりました。
 Zバッファに起因する縁の透過不良防止と、針葉樹らしい刺々しい葉の輪郭を表現するため、葉の部分のテクスチャは512×1024ピクセルという巨大画像になっています。ただし、影を中心に持ってきた副産物として、テクスチャを左右反転させて使うことが出来るようになったため、2枚のテクスチャで4種類の樹木を作成し、メモリ使用量を少しでも減らすよう努めています。幹はほとんど目立たないので4本とも同じテクスチャで、こちらも多少のメモリ削減に。

ファイル 23-6.jpg  出来上がった杉林のストラクチャですが、そのまま並べただけでは道路脇の並木のように幹の向こうがスカスカに透けて見えてしまい、奥行きや暗がりの迫力が感じられません。そこで、模型で言う背景パネルのようなモノを作り、盛り土・下草を表現したオブジェクトと一体化させています。
 かなり暗めの色合いに設定していますので画像では分かりにくいかもしれませんが、背景部には杉林のテクスチャを貼り、奥行きを感じさせるようにしています。下草の部分も、線路に近い手前は明るく、奥に行くに従って暗くなるようにテクスチャを作ります。
 最後は実際に路線データに配置し、全体の色合い・明暗のバランスを調整しますが、これが簡単なようで難しい。幹の部分は枝や葉の陰になりますから少し暗い目にしますが、しかし背景よりはわずかに明るくして浮かび上がるように、逆に背景のテクスチャを暗くしすぎるとディテールが潰れて見えなくなってしまうので明るすぎず暗すぎず・・・と。他にも架線柱に張った電線類を引き立たせるにはどれくらいの明るさが良いか、線路や道床との繋ぎは自然か、他の木々や周囲の風景とのバランスは取れているか・・・エトセトラエトセトラ、ありとあらゆる要素が密接に関係するので、トーンカーブをチョイと動かすだけでも「アチラを立てればコチラが立たず」といった具合で苦労させられます。

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