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天井周りのディテール強化

  • 2017/05/03 16:00
  • カテゴリー:運転台

 2016年後半から今年にかけて、運転台の天井をディテールアップしました。twitterに随時投稿していたもののマトメですが、記録として記事化しておきます。

 ■直通予備引きスイッチ

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  基本は単純な箱ですから2tのプラ板を5mmプラ角棒で裏打ちして箱組しています。上部のヒンジは見えないので省略、ツマミは鍋フタや引き出しのツマミに用いる汎用品を塗装して装着しました。プラ板の厚みは過去1mm厚を多用していましたが、接着剤や塗料の溶剤に負けて反り・歪みが発生することがあるので現在は2mm厚を使用しています。特に仕上げが艶ありだと僅かな反りも光線が歪んで目立つので、コストアップにはなりますが剛性を確保するようにしています。

20170503111125.jpg 各種銘板の原稿はPCで作ります。新型の電車に装備されている機器類の銘板は実物もPC上で所定のフォントを使用して作成されているためコピーするのが楽ですが、昔のものは工程が違うため描き起こすしかありません。

 近似のPCフォントで代用すると縦長・横長に変形させた文字(長体・平体という)を使用する時に違和感が大きくなります。旧来の製法では文字が縦長であろうが横長であろうが縦横の線幅は均一ですが(上)、PCフォントを変形させたものはその倍率によって線幅が変わってしまいます(下)。

 写真を元に文字の中心線をトレースして線画を描き起こすことで変形させても太さが変わらない文字原稿を作成しています。面倒ではありますがいずれにしてもPCフォントには無い特徴的な書体ですから、目立つ部分だけでも描き起こすと雰囲気はグッと良くなります。

20170503212025.jpg 国鉄標準の灰緑色で塗装しますが市販の塗料で近似する製品がありませんので調色します。各種数値や実物塗料を元に調色するやり方もありますが、実車部品も塗料の個体差や褪色具合によって微妙な違いがあるため感覚で作っています。黒1:白1:緑2を基本とし、あとは合わせたい部品の色、または自分の理想の色になるまで塗料を加減して調整します。

20170503111134.jpg 塗装は艶ありで仕上げますが、綺麗な艶を出すには塗料が垂れる寸前までコッテリ吹き付けるのがコツです。しかしそれだと調色した貴重な塗料を大量に消費しますので、色ムラの無い程度にサッと塗装し、後からクリアをコッテリ吹き付けるという手法で艶を出しています。

 銀色のツマミは適当な廃部品からもぎ取ったもの。最後に印刷した銘板(詳細後述)を両面テープで貼り付け、丸頭の釘を四隅に打って完成です。

 

■NFB盤

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 運転室右上にズラッと並んだNFB(ブレーカー)群、メカメカしさの演出に効果の大きい部品ですが、形式指定で手に入れるのはなかなか難しいものです。それ以前に拙作の運転台は高運転台の足元から30cmほどを省略して全体を低く作っていますので、出入口の高さ確保のためNFB盤も短縮する必要があります。写真資料から寸法を読みつつアレンジを施して自作していきます。

 傾斜面があるため補強に三角プラ棒を併用していること以外は引きスイッチ箱と同様、2mmプラ板と角棒の組み合わせで製作。ブレーカー本体は複製品のダミーで軽量化する案もありましたが、将来的にモニタや音響、照明機器のスイッチとして活用したいので実車用のモノを集めました。

 銘板は数が多いため原則として類似する機械彫刻用標準書体を使用し、先述の長体・平体やフォントに無い文字(これが結構ある)は写真からトレースして描き起こしました。これをレーザープリンターで銀色のラベルシールに印刷し、薄手のプラ板に貼り付け切り出せば完成です。表面保護として艶ありのトップコートを吹き付けましたがこれは艶が均一になり失敗でした。銀色のラベル地と艶消しトナーの文字でツヤ感が違うほうが立体的であったと思います。

 

■信号炎管

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 ほぼ緑色一色の運転室にあって一際アクセントになるのは金色の信号炎管。正確にはその収納容器ですが、保安装置に連動してエア駆動で着火させる構造になっています。実物部品はあまり流通せず、あったところでかなりの重量物ですからアクリルパイプで軽量なレプリカを自作します。

 写真と資料から寸法を割り出してPCで作図、アクリルパイプを綺麗にカットするのは結構な手間なので最初から寸法を指定してカット済みの材料を購入しました。あとはプラ板、プラ棒、パテをアレコレしてそれらしく造形、丸いモノなのでどの角度から見ても破綻しないように気をつけながら作業します。ベース部の実物は半円状に割ったものを2つ合わせてネジ止めしていますが、素材的に強度確保を考慮して一体とし、割れ目の部分だけそれらしく造形して再現しました。

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  ローレットの入ったリングはNC彫刻機でスジ彫したプラ板を貼り付けました。市販の模様入りプラ板でも構いませんがサイズが小さい&値段が結構高い…ということで自作。 ハンドルは実物を観察したところ雑い鋳物を平面だけグラインダーで整えて製造しているように見えましたので、溶きパテを点描のように盛って凹凸を表現、赤い塗料をコッテリ吹き付けるとナカナカそれらしい鋳物感になりました。

20170503144235.jpg ステンレスの筒部は糊付きのステンレス泊を巻き、真鍮(砲金?)の部分はメッキ調スプレーを吹き付けました。塗膜の強度が低い…というか表面を粉っぽくすることで金属的な輝きを模している塗料なので剥げやすいのが難点ですが、手で触る部分では無いので良しとしましょう。

 基部のブラケットに経年の汚れを塗装で施し、玉とヒモ、これまでと同様の手法で作成した銘板を貼り付けて一応の完成です。本来は胴からエアの配管が伸びているので運転室全体の進捗に合わせて追加工事を行います。他にも検査済サインの入った封印テープなどペタペタ雑く貼ってやると一層雰囲気が出そうですね。

 

 ■天井蛍光灯

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  これまでずっと四角い穴に蛍光灯スタンドを突っ込んだだけで些かみっともなかったのですが、ようやく蛍光灯ユニットも製作。こちらはプラ板だけでは歪みに対する強度が足りないので、MDFで作った箱にプラ板を貼り付けて化粧する流れとしました。そんなに難しい形状ではありませんが、凹みのR部をパテ盛り整形しなくてはいけない箇所が多く手がかかります。

 蛍光灯ソケットは実車と同じデザインの物が手に入らなかったので比較的形状の似ている物をチョイス、蛍光灯本体は安物のLEDランプを使用しましたが、いずれ調光回路を組み込みBVEの”CabIlluminance”と連動して環境光を明暗させる目論見です。

 

■ベンチレーター

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  天井に設けられた換気口を再現しますが、ユルくカーブした羽根の再現が難易度高め。プラ板を力や熱で曲げてみるものの、なかなか均一には曲がってくれません。というわけで元から曲がったモノを探すしか…と選んだのは大径の雨樋。これを短冊状に切って角を丸め、プライマー処理、サフ吹きを経てアルミ色に塗装しました。

 アルミ製と思われる枠をプラ板・プラ棒で作り、羽根はプラ丸棒を接着して穴に通しました。実物では開閉を調整するツマミが前方に付きますが、クロムメッキ風の仕上げをどう処理するか悩んで手を付けていません。余力があればいずれ追加工作します。

 

20170503153724.jpg その他細かな工作・修正を施し、諸々の機材を装着して天井周りは実車に近いゴチャゴチャ感となりました。BVEで運転しているぶんにはほとんど目をやることのない範囲ですが、込み入った機械に囲まれて運転しているというだけで臨場感はアップします。

 長くかかりましたが天井はこれで一段落とし、次は乗務員室ドア周りのモールや蝶番の再現、車掌弁など左壁面のディテール工作に移ります。

 

2016運転オフ終了しました

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5回目となりましたBve大阪運転オフ会、5/28~29に開催し盛況のうちに終了しました。参加された皆様、スタッフの皆様お疲れさまでした。全体のレポートは運営公式ブログに譲りますが、機材担当としてざっとレポートしていきます。

今年は例年通りの拙作119系運転室に加え、阪急電車をモチーフにした汎用T字ワンハンドルマスコン、更に持ち込みで京急の右手ワンハンドル運転台、DD51ディーゼル機関車運転台も登場し、市販コントローラー無しの総勢4台がフル稼働しました。台数はともかく、これだけ多種多様なシミュレータが一堂に揃うのは博物館施設でもなかなか無いのではないかと思います。

 

20160608142632.jpg京急800形の実物マスコンを使用した右手ワンハンドルコントローラーはすずはる氏の作品。ゆにこん氏との共同作業により、各種メーターや保安機器類がリアルに動作します。

モチーフの車輌をリアルに再現するのではなく、汎用性と実物部品の動作に主眼を置いて楽しく賑やかに遊ぼうというコンセプトがひしひしと伝わってきます。2枚装備された液晶ディスプレイはさほど大きなものではないのですが、視界の端まで周辺を黒壁で覆うことにより実際よりも広く見せているのは面白い工夫です。

20160608143319.jpg実物マスコン部のカバーは持ってこられていましたが、終始外しっぱなしの内部が見える状態での運転となりました。運転操作によりガチャガチャ動くカムが見られるため鉄道博物館的な楽しみ方ができており、順番待ちのプレイヤーも苦にならなかったのではないかと思います。機構部が大きく右に張り出したこの型式ならではの試みですね。

路線データは京急線のほか、虎鉄氏の新京成線も運転されていました。

 

20160608143740.jpgお次は存在感抜群、〆鯖氏制作のDD51ディーゼル機関車運転台。日本中探しても一般人が触れられるディーゼル機関車のシミュレータは他にありません。

今回登場した4台の中で一番アナログな見た目の運転台ですが、フタを明けてみれば機械工作はもとよりマイコン、プログラミング、3Dプリンタなど新しい技術がふんだんに盛り込まれています。一人で完結、それも1年弱で作ってしまうわけですから恐ろしい…。

20160608144621.jpgノッチ操作は意外と簡単な機関車ですが、自弁・単弁の使い分けが必要なブレーキ操作は難易度が高く、初めてだと説明を聞きながらでもアワアワしてしまい上手に停めることができません。それでも2日目ともなればアドバイスがなくてもスイスイ運転できる参加者が次々と現れ驚かされました。

都路各停氏制作の山陰本線に加え、さかしん氏制作の大阪臨港線、カタラン氏制作の上越南線など、専用に用意された路線も大活躍でした。

 

20160608150446.jpgここから私事になりますが、去年より箱型になった119系運転室と、新規製作の阪急風T字ワンハンドルマスコンの2台を出展しました。

119系運転室は内部についてはあまり去年と変更が無く力不足を感じましたが、客室との仕切壁を中心に外装の化粧を進めることができたので、広間に設置すると随分と見栄えがするようになりました。

20160608151005.jpgこうして大勢が集まる催しだと順番待ち兼観客の皆様にどうやって楽しんでもらうかが課題になるわけですが、窓越しにかぶりついて乗り鉄気分を味わっていただけたらな、というのが私なりの回答です。

同じ鉄道系の展示会でも鉄道模型のジオラマだと見てる人みんなが平等に楽しめるのですが、シミュレータというのは運転している本人と周囲の観客で楽しさの度合いが大きく違ってくるので、そのあたりの対策を常々考えて運営しないといけない難しさがあります。

 

20160608151553.jpgT字ワンハンドルマスコンはあくまで汎用ということで、ノッチ段数・ボタン配置の設定次第で東西各種路線の運転ができるようになっていますが、全体の雰囲気は阪急7000系あたりをモチーフとしています。

意外とこのタイプのちゃんとしたコントローラーがゲーム用/模型用含め市販で存在しなかったことと、地元阪急のBVEデータが充実してきたこともあって制作に乗り出しましたが、実物部品を一切使わずにどの程度のものが出来るか、また一般家庭に置くことが出来る運転装置の限界を探る目的も兼ねています。

20160608152032.jpg基本構造はハンドルも含めてMDFを主としたオール木製。デスク部分は多少寸法をアレンジし壁の厚みも含めて横幅約80cmとコンパクトに仕上げていますが、操作部分は基本的に原寸大。操作感も実車に近いものとなっているはずです。

データはL53氏原作、すずはる氏ほか多くの方によるBVE5リニューアル版の阪急各路線を使用、私としても馴染みのある地元路線で見ているだけで楽しめました。

コントローラーは製作が間に合わなかった装飾等の追加工作を進めていますので、完成させたら作り方を掲載する予定です。他のコントローラーにも応用できるアイデアをビシバシ公開していきますので、一家に一台を目指してがんばりましょう。

 

20160608153004.jpg運転機材ではありませんが、今年からパブリックビューイングとでも称しましょうか、雑談席からでも運転風景が見えるよう大型モニタを設置しました。これも上述した「順番待ちの方にどうやって楽しんでもらうか」のうちですが、特に119系は箱型になったことにより後ろから観られる人数が限られますので、それなりの効果を示していたように思います。

20160608153213.jpgまたNTさんの持ち込み企画として、初心者向けの路線データ制作講座が開かれました。公式ページの解説だけでは難解なデータ制作ですが、画面に加えてリアルタイムに添えられる解説がわかりやすく制作の間口が広がったように思います。全体の手間暇、難易度からすればホンの少しのきっかけかもしれませんが、これを機に挑戦される方が増えると嬉しいですね。

せっかく用意した設備ですので、なにか活かすことの出来る企画をお持ちの方がいらっしゃいましたら今後も活用してくださいませ。

 

20160608153900.jpg機材の話ではありませんが、今年は夕食会に「淡路屋」の駅弁が登場しました。前年は新幹線でお馴染みスジャータのアイスクリームやトワイライトエクスプレスのカレーが登場しましたが、さすがにトワの旬も過ぎましたし、代わって新たな鉄道イベントらしいネタで楽しめませていただきました。

商品によってはボリューム不足を感じることもありますが、選択肢が豊富なこと、神戸の駅弁屋ということもあって肉メニューがよりどりみどりで概ね好評でした。私はヒモを引っ張ると熱々になるステーキ弁当と、もうひとつ穴子と出汁巻玉子の弁当を夜食用にいただきました。

 

20160608154405.jpg最後にデータ制作の進捗をちょっとだけ。運転会に参加された方は以前動画でUPしていた頃の路線データと随分変わっているのをご覧いただけたと思いますが、今年は細々と手を入れました。そもそも自分の中で路線データの製作段階を1.ポリゴンの近景 2.書き割りの中遠景 3.背景画像の遠景 の3つに分類していたのですが、このうち1の段階を延々と繰り返していたので奥行きや全体の地形感の不足が常に不満でした。

20160608154708.jpg飯田線北部は下り列車の場合、左手に中央アルプス、右手に天竜川を望み、その河岸段丘に貼りつくように走っているため常に左高右低の傾斜の中を走ることになります。そうした地域ならではの地形の特徴、そして奥行きの表現が、ようやく2,3の段階にも手を付けたことでそれらしく見えてくるようになってきました。

まだ更新の追いついていないところも多く、部分部分でポッカリ空白のある状態で出展したためお恥ずかしいところもありましたが、だんだん材料は揃ってきたので全域にわたっての置き換え・追加、そして南北への延伸に力を入れていきたいと思います。

 

来年は新規の機材は出さず、現状の機材・データのクオリティアップに努めるつもりですが、持ち込み含めどんな姿になるか楽しみです。では皆様、また来年お会いしましょう!

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2016年Bve大阪運転オフ会

20160424003914.jpg 今年も「Bve大阪運転オフ会」の参加申し込み受付が始まりました。2012年に大阪市内、中崎町の小さなテナントビルの空き部屋を借りて始めたこの催しもアッという間に第五回、今や50畳の広間に70人のBveユーザーが集まる規模にまでなりました。

 そもそもの起こりは、作者とプレイヤー、ベテランとビギナー、そういう暗黙の区分のせいでネット上の交流が絶たれていたBveユーザーを混ぜこぜにして、一箇所で楽しく遊べる場を作りたいということでした。

 いわゆる飲み会スタイルのオフ会だと、どうしても話題が制作に偏りがちですし、常連の輪の中に新規参加の方が飛び込んでいくのはなかなかハードルが高いものです。

 その点、運転台があれば運転するだけでも楽しめますし、人の運転を見ながらワイワイやっているうちに気の合うプレイヤー仲間が見つかることもあります。制作側もPCを持ち込んで技術交換などをしていると、プレイヤーから見た制作の苦労、作者から見たプレイヤーの楽しみ方、双方見えてくるもので、会場の雰囲気を見ていると成果はそれなりに表れているように思います。

 大規模になった今では委員会の皆さんに運営していただき、私はあくまでスタッフの一員として参加、発言しているこの会ですが、こうした当初の方針は堅持するようお願いしていますので、初めての方、プレイ専門の方もお気軽にご参加ください。

 

 もうひとつ、私自身がモノを「作るのが好き」なだけで、作った後のことは考えていないというか、むしろ完成が見えてくると飽きてくるタイプなので、皆さんに使って遊んでもらう機会が定期的にあればモチベーションの維持にもなりますし、次回に向けて拡張・グレードアップの繰り返しで終わりのない遊びを続けることができるのです。

 

 そんなわけで持ちつ持たれつ、今年も気合を入れて参加者の皆さまをお待ちしています。お申し込みは運営委員会のページから。お陰様で既に多くの方に申し込みいただいていますので、検討中の方はお急ぎ下さいね!

たまには虫でも食べてみませんか?


20151123204657.jpg 決まった区間を同じ季節に何度も何度も取材していると、いくら素晴らしい沿線風景でも旅行気分は無くなり「出張」感覚になってしまいます。そうしたマンネリ化をいかに抑えるか?という話を作者同士でもよくしますが、やはり沿線の温泉と食事は外せません。特に食事は「この店の○○が美味い」といった隠れた名店から「この地域でしか食べられない」いわゆるご当地グルメもあり、一日中取材で歩き疲れた体には何とも食欲のそそられる話です。

 ソースかつ丼やローメンといった伊那谷のご当地(B級)グルメはこれまでも触れましたが、今回はちょっと毛色の違う伊那谷を代表するご当地グルメ、その名も「昆虫食」をご紹介しましょう。

 

■イナゴ

20151123154247.jpg まずは入門編、「イナゴ」の佃煮から。全国広く昔から食べられていたのでイナゴと呼べば食べ物っぽいですが、要するにバッタ。稲に付く害虫でもあることから水田のある地域で大量に駆除・捕獲されるわけですが、タンパク源に乏しい内陸部では割と普通に食されていました。私の住む大阪府下でも半世紀くらい前なら山間部の農村地帯で摂って食べたという話をよく聞きます。

 山岳路線のイメージがある飯田線ですが、飯田以北は広い河岸段丘を活かした水田地帯をのんびり走るため、沿線では広範囲でイナゴを食すことができます。味付けは大抵が砂糖・醤油で佃煮にしたもの。自宅で調理される方からは素揚げが美味いという話も聞いたことがありますが、店頭で見たことはありません。

20151123205939.jpg 見た目と味はまんま小エビの佃煮。見ようによってはグロテスクかもしれませんが、エビだって「食べ物」だと認識しているから平気なだけで冷静に見るとなかなかグロいモノ。殻の食感、上アゴに刺さる脚の不快感もエビそのものです。味の癖も無いのでご飯のお供に、酒の肴に普通にアリです。

 

■蜂の子

20151123154248.jpg 少しハードルは上がりますが、こちらも比較的全国広い地域で食される蜂の子。蜂と言っても色々ありますが主にクロスズメバチの幼虫を佃煮にしていただきます。

 クロスズメバチは地中に巣を作る土蜂なので、まず巣を探し出して狩る必要があります。その方法は成虫に綿を取り付けて追跡するという危険かつ原始的なもの。安全のために駆除したハチの巣から蜜を採るのとは事情が異なりますね。古くはやはり内陸部の貴重なタンパク源として、近代になってからは高級珍味として、また健康食品や精力剤といった側面もあり、ビジネスとして成立しているからこそ、手間と危険を冒してまで採る価値があるのでしょう。

20151123205938.jpg 見た目が蛆虫そのものなのがちょっとアレ…ですが、まぁサイズが10~15mm程度と小さく、味は少々癖のある煮豆といった感じなので比較的抵抗なく食べられるのではないかと思います。

 余談ですが小鉢を平らげた後で周囲の人から「テンション高くない?」とか言われましたので、やはり元気になる効果があるのかもしれません。

 

■ざざむし

20151123154249.jpg さてここからちょっとハードになりますよ、食感と見た目が。ザザムシというのは虫の名前ではなく、カワゲラやトビケラといった水生生物の幼虫を食用として調理した時の総称、言ってみればお料理の名前ですね。

 このざざむしは昆虫食の中でも天竜川流域、その中でも伊那市周辺の極々限られた地域でしか食べることのできない、まさにご当地グルメ。

 漁業としては「ざざ虫踏み」と呼ばれる手法で効率よく採られていますが、漁協で管理されており許可が必要です。水の綺麗な河原でしか採れないため、水質の変化や護岸工事の影響で取れ高は減少、土産店や居酒屋でも目にする機会が減っている貴重なもので、値段も高く「高級珍味」として扱われています。

20151123205940.jpg 成虫は細長い蛾といった風貌のトビケラですが、食べるのはその幼虫。河原の石をひっくり返すと細長く節のある芋虫状の幼虫が張り付いているとのこと。調理は相変わらず砂糖醤油の佃煮ですが(結局なんでも濃い味にしないと食えないんじゃないかという疑惑が…)、ジャリっとした硬い食感と独特の苦みがあり好き嫌いが分かれそうです。何かに例えるのは難しいですが、強いて言えば癖のある煮干しの甘露煮でしょうか?

 

■蚕蛾のサナギ

20151123154246.jpg 蚕蛾。おかいこ様。その成虫の風貌は愛らしく、繭からは美しい絹糸が紡がれる蚕ですが…なんだかんだ言っても「ガ」です。サナギは見た目まんま幼虫、それでもってサイズは小指ほどになるのでかなり迫力があって…グロい。国内昆虫食としてはラスボス級です。

 蚕蛾というのは実は結構儚い生き物で、そもそもは生糸を採るため人の手によって生み出されました。成虫は羽も口も退化してしまい、たとえ野に放っても捕食されるか落ちて死ぬか、野生では生きることのできない品種なのです。

 絹糸はこの蚕蛾が成虫になる前の段階、サナギが作った繭をサナギごと茹でてほぐれたところを紡ぎあわせて糸にするのですが、中のサナギは当然熱で死んでしまいます。この残ったサナギは大抵飼料として再利用されるのですが、伊那谷や群馬県の一部などで食用としたのがこのサナギです。

 こうして書いてみると人間の業の深さというか、美と金を追求する裏にこんな犠牲があったのか…などと思ってしまいますが、見た目はともかくそういう悲しい生き物の命をありがたくいただきましょう。

20151123154250.jpg グニッとした食感に微妙な粉っぽさ、何とも言えぬエグ味と匂い。正直なところ個人的にはさほど美味いとも思えず…、タンパク不足を補う補助食品的な立ち位置以上にはなれない気がします。そもそも養蚕が盛んだった時期は「廃品」としてサナギが大量に発生したので原価も安かったわけです。今となっては「高級珍味」といった肩書も見受けられますが実際の価格はかなり安く、そういう触れ込みにすることによってビジネスを維持している、とうのが実情ではないかと思います。

 ちなみにサナギになってからの時期によって食感が違い、上記のものは時間の経った成虫に近いモノ、逆にサナギになりたてのものは比較的柔らかく、若干クリーミーな感じがします。

 

 以上紹介しましたイナゴ・蜂の子・ざざむし・サナギ。日本全国探しても4種類もの昆虫を一度に味わえる地域は南信州の伊那谷だけなのです。道の駅の物産コーナーや駅前の土産物店はもちろんのこと、居酒屋、なんとそのへんのスーパーにすら昆虫食が売られていますので、飯田線で旅行された際は是非とも伊那市、駒ヶ根市あたりでお試しください。

運転台から運転室へ(前編)

  • 2015/07/02 17:30
  • カテゴリー:運転台

 6月の大阪運転オフ会も無事に終了してひと段落つきました。運転会のレポートは公式ブログに掲載されると思いますのでそちらに譲りますが、機材担当としては作り込みきれず不満の残るところが多々ありましたので、気の早い話ですが来年に向けて制作作業を再開しております。

 その運転台関係に焦点を当てた記事は3年以上前に書いたきりで、以後はTwitterやイベント報告に散在している状態ですので、これを機に2015年仕様をまとめてご紹介しておきます。詳細記事は長くなりますが、今現在運転台を作られている方、これから作ろうという方のヒントになる部分もあると思いますので、興味のある方はお読み下さい。

 

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 モデルは1983年から2012年までの30年間、飯田線を走り続けた119系電車。その運転台を可能な限り忠実に、また原寸大で再現しています。

 過去記事や動画で紹介していた状態と比較すると、窓上~天井の拡張、また左側には乗務員室扉を増設、設置スペースの都合でデフォルメ・短縮していた右側の壁もリアルサイズに修正しています。

 画面は車窓表示にフルHDの液晶TVを3台、それに加え情報表示用のサブモニタが1台、メーターユニットに埋め込んだモニタが2台となり、計6台の液晶モニタを使用しています。いずれは4K液晶を3台…といった夢も広がりますが費用面はもちろん、それ以前の問題として4K×3台の環境でを安定してBVEを描画できるPCが現時点で存在しないため、技術の進歩を待つしかありません。

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 壁や扉、天井部分の増設は新たな設置場所――内輪では「保線小屋」と呼んでいますが――、自宅裏庭に木造の小屋を確保できたため、規模・重量の制約が大きく緩和されたことが功を奏しています。

 これまで何度か本職の運転士に実車とどこが違うか?を聞かせてもらっていたのですが、「こんな感じなんだけど密室感が足りない」とのことですので、これで大きな不満は潰せたのではないかと思います。

 またソフト面ではPC・BVEとの連携において、車両データ制作をお願いしているRock_On氏による各種プラグイン、プログラム類のおかげで飛躍的に精密・高精度、また自由度の高い制御が実現していることにも触れつつ、以下に各部の詳細を記していきます。

 

■メカ的な改良部分

20150701135110.jpg 製作初期のブレーキ弁は接点と切替スイッチを使用したもの、その次が多数のカムを使用して段数を増やしたものへと改良してきましたが、BVE本体の仕様上どうしても段の取りこぼしが発生して精度が良くないため、アナログジョイスティック化することになりました。

 7台のゲームパッドからのボタン信号をキーに読み替えていた従来のシステムは、各USB機器の認識順序を絶対指定できないwindowsの作りそのものの問題もあって設置・設定が非常に煩雑でしたが、今回はUSBケーブル1本で接続して制御はBVEの入力プラグインによるため大変簡便になりました。

20150701135115.jpg ハンドルの回転角をギアで調整して可変抵抗を回し、ジョイスティックコントローラー基板へ送ります。使用した基板は英国LeoBodnar社製のBU0836というもので、アナログ8軸、ボタン32個+ハットスイッチが入力可能という極めて汎用性の高いコントローラーです。

 ドライバ不要でwindowsの汎用ゲームコントローラーとして認識するため非常に扱いやすい。はじめは市販のジョイスティックを分解して基板だけを流用するつもりでしたが、こちらのほうが精度も汎用性も圧倒的に高いため乗り換えました。

 BVEでの認識はRock_On氏製作の入力プラグインにて行いますが、今のところブレーキ弁のセルフラップ帯を0.5度刻みにした160段設定で安定動作しています。高精度な可変抵抗を使用していますが、それでも微弱なチャタリングが発生するため、チャタ分の不安定な動作を拾わないようにプラグイン側で調整・設定可能なスグレモノ。

 マスコンの力行・抑速ハンドル、レバーサハンドルも同様にアナログ軸で拾うように改良。全てがUSB1本で賄えるというのは夢のようです。プラグインは更に安定性と汎用性を高めるよう改良中のようですので、いずれこれが公の場に出ればハードルの高かった自作コントローラーも飛躍的に作りやすくなるでしょう。今後に期待です。

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 メーター表示用の液晶モニタは当初HD解像度(1366x768)の物を使用していましたが、視野角が極端に狭いのがクセモノでした。そもそもメーターの寸法に合致する15.6インチというサイズに選択肢が殆ど無く苦肉の選択だったわけですが、時代が進んでフルHD(1920x1080)解像度かつ広視野角のIPS液晶パネルが手に入るようになりましたので交換です。運転士の座高の変化はもちろん、撮影のために極端に上から、下から見ても白く飛んだり黒く潰れたりすることは無くなりました。LGのLP156WF4-SLB1を大陸製の怪しげなコントローラー基板M.NT68676で駆動させていますが、画質・安定性ともに良好です。

 メーター用モニタの描画はBVEを動かすメインPCではなく、別に用意したサブPCが行います。メインPCのBVEプラグインから各種情報をLANに投げ、サブPCに用意したパネル専用のプログラムを用いて描画する方式。これによりメインPCの負荷を下げBVEのフレームレートを維持しています。プラグインおよび描画プログラムはもちろんRock_On氏の作品。ありがたや~ありがたや。

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 現在BVE5.6では各種情報表示の自由度が上がり、各項目をマウスでドラッグすることで移動出来るようになりました。またsetting/Preferences.xmlをテキストエディタで編集することで各々のフォントサイズを変更することも可能となり、これらを応用して情報表示用サブモニタを設置しました。

 イベント等で初見の方が運転する場合は補助表示があったほうが良いのですが、かといって運転画面の中に本来無いものを持ち込むのはシミュレータとして抵抗があります。後付TIMSのような案もありましたが、やはり119系には無かったものですから、こうして基本視界の範囲外である左ドア外側に設置するのが妥協案となりました。

 またBVE本体の機能である停止位置目標のバーは表示を大きく見やすくした上で左モニタの左端に設定、これにより停車時の運転士は窓から外を覗き込みながらブレーキ操作を行いますので、観客として見ていてもリアリティを感じるようになりました。

 

後編は主に筐体の工作についてです。

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