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2017年の記事は以下のとおりです。

福寿舎 電車運転マルシェ

20180129155354.jpg 私の地元、大阪と京都の中間に位置する高槻市は城下町かつ宿場町ということで古い町並みが多く残っていたのですが、住みにくさや耐震性の問題を抱えて随分と数を減らしてしまいました。そんな中、阪急高槻市駅徒歩圏に元酒屋の町家を改装したシェアアトリエ「福寿舎」が誕生しました。京都では古民家カフェ、アトリエなどよく聞く話ですが、地元でこういった試みが始まったのは嬉しい限りです。

 着物、アクセサリー、陶芸、刺繍etc…、手作り系のアトリエ(小店舗)が複数入居する母屋とは別に、かつての蔵を改装したイベントスペースもあり音楽や朗読会など定期的な催しも行われているのですが、他にも何か人を集めるネタは無いだろうか?とご相談をいただき、ちょっとした鉄道イベントを開催することになりました。

20180129155403.jpg 会期は10月28~29日の2日間、10月上旬の毎年恒例「大阪運転オフ会」と同月開催ということで準備時間が限られ、なんとかギリギリ間に合わせる形になったのですが…、あいにく当日は季節遅れの台風が直撃。搬入時から空を見てはヒヤヒヤする展開となりました。

 開店休業だったらどうしようか…と心配しましたが、当日は悪天候にもかかわらずご近所の老若男女をはじめ、関東地方など遠方からのお客様も複数いらっしゃいました。ちょうどJR吹田工場の一般公開日と重なっていたのが奏功したようですね、午後になると工場見学を済ませた方が多数流れてきてくれました。

20180129155410.jpg 会場となった蔵にいつもの119系型運転室と阪急風汎用ワンハンドル運転台を持ち込みまして、音の干渉を防ぐため間隔を開けて設置。会場諸経費と人員整理のため入口の受付で時間毎の整理券を200円で購入してそれぞれ運転していただくシステムになりました。

 考えてみれば明確に運転1回につき幾ら、という有料システムは初めてで(伊那市のイベントでは企画展の入場料という扱いでした)、それもまた集客にどう影響するか気になっていたのですが、ありがたいことに悪天候の中で人が絶えなかったのを見ると杞憂だったようです。

20180129155417.jpg 今回は鉄道系に限らず何かしらイベントの度に福寿舎にリピートして場を賑やかしてくれる方を優先して募集するべきかな…、という考えのもと、情報の伝達範囲が広くなる当ブログでは告知していませんでした。「知っていたら行きたかったのに!」という方には大変申し訳ありません。大阪運転オフ会や自宅で不定期開催している"ぷち運転会"など、マニア向け運転会でお待ちしていますので是非ご参加下さいませ。

 そんなこんなでどう見ても鉄じゃない人、女性グループ、ご近所さんといった方も多くいらして福寿舎の「人の集まる場を作る」ことに少しは貢献できたかな?と思います。せっかく地元高槻市にこうした場が出来たのですから、末永く盛り上がって欲しいと願っています。

 

20180129155424.jpg 皆様ご存知のようにBVEを基本とした当シミュレータはゲーム機のように誰でも簡単に操作できるような親切設計ではありません。今回のように一般の方を対象とした運転体験会では私が付きっきりで解説しないといけないわけですが、今回はなんと国鉄・JRで指導運転士をしていらしたOBの方が教官を買って出て下さいまして、楽ができる上に適切な指導と貴重なお話を生で聞かせていただき大変良い機会となりました。

 後日談で「訓練所のシミュレータより正確に再現されている」とのお言葉をいただきました。これはBVE本体制作のmackoyさん、車両データ制作のRock_Onさんお二方の技術と情熱の賜物ですが、BVE作者の皆様もこのプラットフォームに自信を持って制作に励んでいきましょう!

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 ワンハンドル運転台はL53さん原作、すずはるさん他改修のBVE5版、阪急京都線の使用・改造を許可いただきまして、長岡京~高槻市の線路周りのストラクチャを自作のものに更新して体験運転用データとしました。

 改修版阪急のデータは他列車や保安装置といった「シカケ」の追加がメインでしたが、今回は私も来場者もよく知る地元沿線ですので、主に見た目の部分で改修させていただきました。こちらの運転指導には関東から遠路はるばるハンドルネーム「電磁直通ブレーキ」さんが参戦してくれまして、前日には実際に京都線に乗車して実地研修して来てくれる熱の入れようでした。

 

20180129155441.jpg さらにもう一つ。今回は私と同じく高槻市在住でHOゲージ(16番…念のため)の移動レイアウトを製作してイベント出展をされている「じゃりちゃん鉄道」さんにもご参加いただきまして、シミュレータと模型の運転コラボが実現しました。

 こちらは母屋の広間を会場としましたが、百貨店等のイベントに比べスペースが限られるため、今回用にギリギリまでプランを縮小して持ち込んでいただきました。会場下見では十分広い広間に見えたのですが…、改めて1/80編成モノのデカさを認識させられました。

20180129155449.jpg 擬似的に中から見るシミュレータと外から客観的に見る模型は全く考え方の違う趣味ですが、そこは同じ鉄道という土台があってのもの。双方の趣味人が行ったり来たりで異文化交流したり、順番待ちで間の持たないお子さん方は時間まで模型を眺めに行ったりしていました。

 特に個人の趣味としてのシミュレータ制作はまだまだ歴の浅い遊びですから、比較的年齢層の高い模型派の方には新鮮に映ったことでしょうし、意外と楽しんでいただけたと思います。逆に若年層はHOゲージの走行を手の届く距離で見る機会は限られていますし、Nゲージとは違った迫力を楽しんでいただけたことと思います。

 

 そんなこんなで、ちょっと面白いことをやって高槻市を盛り上げよう!というイベントは無事に終了しました。福寿舎の社長さんも楽しんでくださいまして、もしかしたらまた1年後にでも開催されるかもしれません。その時はこちらでも告知しますね。

 

 最後にこれまでご協力頂きました皆様をご紹介いたします。

HOゲージレイアウト出展

  • じゃりちゃん鉄道

 

飯田線シミュレーター

  • 119系車両データ製作:Rock_On
  • 各種プラグイン製作:Rock_On
  • 筐体製作:BVE飯田保線区
  • 路線データ製作:BVE飯田保線区

 

阪急線シミュレーター

  • 路線データ製作:L53/すずはる/ゆにこん/BVE飯田保線区
  • 阪急7000系車両データ製作:J9
  • メーター画面表示用パネル製作:BnTk
  • 500系新幹線3Dデータ製作:BVE 東海道・山陽新幹線
  • 各種プラグイン製作:Rock_On
  • 筐体製作:BVE飯田保線区

 

総本山

  • Bve trainsim制作:mackoy

 

以上、敬称略。

皆様のご協力、誠にありがとうございます。今後ともお付き合いの程よろしくお願い致します。

大阪運転オフ会2017

今年もBVE運転オフ会に119系型と阪急風の2台の運転台を出展します。開催は10/8~10/9の二日間。詳細は運転会公式の申し込みページをご覧ください。 データの持込については119系型運転台に対応する路線データのみとさせていただきます(阪急風への持ち込みは調整時間が取れないため来年以降の課題とします) 対応させる車両データはRock_onさんの119系、103系、113系、115系からご指定ください。   データ持込は事前申し込み制となります。希望される方は9月25日までに当方へメールにてご連絡ください。データのフィッティング・試運転等ありますので対応できる数に限りがあります。作業量に限界が来たところで打ち切りますのでご了承くださいませ。 また他のDD51、225系運転台へのデータ持込は各作者さんにお問い合わせをお願いします。

天井周りのディテール強化

  • 2017/05/03 16:00
  • カテゴリー:運転台

 2016年後半から今年にかけて、運転台の天井をディテールアップしました。twitterに随時投稿していたもののマトメですが、記録として記事化しておきます。

■直通予備引きスイッチ

20170503110956.jpg20170503111014.jpg20170503111039.jpg20170503111054.jpg       

 基本は単純な箱ですから2tのプラ板を5mmプラ角棒で裏打ちして箱組しています。上部のヒンジは見えないので省略、ツマミは鍋フタや引き出しのツマミに用いる汎用品を塗装して装着しました。プラ板の厚みは過去1mm厚を多用していましたが、接着剤や塗料の溶剤に負けて反り・歪みが発生することがあるので現在は2mm厚を使用しています。特に仕上げが艶ありだと僅かな反りも光線が歪んで目立つので、コストアップにはなりますが剛性を確保するようにしています。

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 各種銘板の原稿はPCで作ります。新型の電車に装備されている機器類の銘板は実物もPC上で所定のフォントを使用して作成されているためコピーするのが楽ですが、昔のものは工程が違うため描き起こすしかありません。

 近似のPCフォントで代用すると縦長・横長に変形させた文字(長体・平体という)を使用する時に違和感が大きくなります。旧来の製法では文字が縦長であろうが横長であろうが縦横の線幅は均一ですが(上)、PCフォントを変形させたものはその倍率によって線幅が変わってしまいます(下)。

 写真を元に文字の中心線をトレースして線画を描き起こすことで変形させても太さが変わらない文字原稿を作成しています。面倒ではありますがいずれにしてもPCフォントには無い特徴的な書体ですから、目立つ部分だけでも描き起こすと雰囲気はグッと良くなります。

20170503212025.jpg 国鉄標準の灰緑色で塗装しますが市販の塗料で近似する製品がありませんので調色します。各種数値や実物塗料を元に調色するやり方もありますが、実車部品も塗料の個体差や褪色具合によって微妙な違いがあるため感覚で作っています。黒1:白1:緑2を基本とし、あとは合わせたい部品の色、または自分の理想の色になるまで塗料を加減して調整します。

20170503111134.jpg 塗装は艶ありで仕上げますが、綺麗な艶を出すには塗料が垂れる寸前までコッテリ吹き付けるのがコツです。しかしそれだと調色した貴重な塗料を大量に消費しますので、色ムラの無い程度にサッと塗装し、後からクリアをコッテリ吹き付けるという手法で艶を出しています。

 銀色のツマミは適当な廃部品からもぎ取ったもの。最後に印刷した銘板(詳細後述)を両面テープで貼り付け、丸頭の釘を四隅に打って完成です。

■NFB盤

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 運転室右上にズラッと並んだNFB(ブレーカー)群、メカメカしさの演出に効果の大きい部品ですが、形式指定で手に入れるのはなかなか難しいものです。それ以前に拙作の運転台は高運転台の足元から30cmほどを省略して全体を低く作っていますので、出入口の高さ確保のためNFB盤も短縮する必要があります。写真資料から寸法を読みつつアレンジを施して自作していきます。

 傾斜面があるため補強に三角プラ棒を併用していること以外は引きスイッチ箱と同様、2mmプラ板と角棒の組み合わせで製作。ブレーカー本体は複製品のダミーで軽量化する案もありましたが、将来的にモニタや音響、照明機器のスイッチとして活用したいので実車用のモノを集めました。

 銘板は数が多いため原則として類似する機械彫刻用標準書体を使用し、先述の長体・平体やフォントに無い文字(これが結構ある)は写真からトレースして描き起こしました。これをレーザープリンターで銀色のラベルシールに印刷し、薄手のプラ板に貼り付け切り出せば完成です。表面保護として艶ありのトップコートを吹き付けましたがこれは艶が均一になり失敗でした。銀色のラベル地と艶消しトナーの文字でツヤ感が違うほうが立体的であったと思います。

■信号炎管

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 ほぼ緑色一色の運転室にあって一際アクセントになるのは金色の信号炎管。正確にはその収納容器ですが、保安装置に連動してエア駆動で着火させる構造になっています。実物部品はあまり流通せず、あったところでかなりの重量物ですからアクリルパイプで軽量なレプリカを自作します。

 写真と資料から寸法を割り出してPCで作図、アクリルパイプを綺麗にカットするのは結構な手間なので最初から寸法を指定してカット済みの材料を購入しました。あとはプラ板、プラ棒、パテをアレコレしてそれらしく造形、丸いモノなのでどの角度から見ても破綻しないように気をつけながら作業します。ベース部の実物は半円状に割ったものを2つ合わせてネジ止めしていますが、素材的に強度確保を考慮して一体とし、割れ目の部分だけそれらしく造形して再現しました。

20170503143548.jpg20170503143600.jpg20170503143612.jpg20170503143624.jpg   

 ローレットの入ったリングはNC彫刻機でスジ彫したプラ板を貼り付けました。市販の模様入りプラ板でも構いませんがサイズが小さい&値段が結構高い…ということで自作。 ハンドルは実物を観察したところ雑い鋳物を平面だけグラインダーで整えて製造しているように見えましたので、溶きパテを点描のように盛って凹凸を表現、赤い塗料をコッテリ吹き付けるとナカナカそれらしい鋳物感になりました。 20170503144235.jpg

 ステンレスの筒部は糊付きのステンレス泊を巻き、真鍮(砲金?)の部分はメッキ調スプレーを吹き付けました。塗膜の強度が低い…というか表面を粉っぽくすることで金属的な輝きを模している塗料なので剥げやすいのが難点ですが、手で触る部分では無いので良しとしましょう。

 基部のブラケットに経年の汚れを塗装で施し、玉とヒモ、これまでと同様の手法で作成した銘板を貼り付けて一応の完成です。本来は胴からエアの配管が伸びているので運転室全体の進捗に合わせて追加工事を行います。他にも検査済サインの入った封印テープなどペタペタ雑く貼ってやると一層雰囲気が出そうですね。

 ■天井蛍光灯

20170503150149.jpg20170503150159.jpg20170503150210.jpg20170503150220.jpg   

 これまでずっと四角い穴に蛍光灯スタンドを突っ込んだだけで些かみっともなかったのですが、ようやく蛍光灯ユニットも製作。こちらはプラ板だけでは歪みに対する強度が足りないので、MDFで作った箱にプラ板を貼り付けて化粧する流れとしました。そんなに難しい形状ではありませんが、凹みのR部をパテ盛り整形しなくてはいけない箇所が多く手がかかります。

 蛍光灯ソケットは実車と同じデザインの物が手に入らなかったので比較的形状の似ている物をチョイス、蛍光灯本体は安物のLEDランプを使用しましたが、いずれ調光回路を組み込みBVEの”CabIlluminance”と連動して環境光を明暗させる目論見です。

 ■ベンチレーター

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 天井に設けられた換気口を再現しますが、ユルくカーブした羽根の再現が難易度高め。プラ板を力や熱で曲げてみるものの、なかなか均一には曲がってくれません。というわけで元から曲がったモノを探すしか…と選んだのは大径の雨樋。これを短冊状に切って角を丸め、プライマー処理、サフ吹きを経てアルミ色に塗装しました。

 アルミ製と思われる枠をプラ板・プラ棒で作り、羽根はプラ丸棒を接着して穴に通しました。実物では開閉を調整するツマミが前方に付きますが、クロムメッキ風の仕上げをどう処理するか悩んで手を付けていません。余力があればいずれ追加工作します。

20170503153724.jpg その他細かな工作・修正を施し、諸々の機材を装着して天井周りは実車に近いゴチャゴチャ感となりました。BVEで運転しているぶんにはほとんど目をやることのない範囲ですが、込み入った機械に囲まれて運転しているというだけで臨場感はアップします。

 長くかかりましたが天井はこれで一段落とし、次は乗務員室ドア周りのモールや蝶番の再現、車掌弁など左壁面のディテール工作に移ります。  

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