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サンライズ出雲で食堂車ゴッコ

  • 2018/01/10 23:00
  • カテゴリー:旅行

20180130235612.jpg お正月休みはかねてから乗りたかったサンライズ出雲91号に乗ってきました。サンライズ自体は何度か乗っていますが、いかんせん夜行列車にしては乗車時間が短く、夜が明けてからの景色を楽しむ余裕があまりないのが不満です。

 出雲91/92号は盆、年末年始の多客期に予備編成を用いて運転される臨時便で、91号が東京発の下り出雲市行きとなりますが、他の定期列車の合間を縫って走るため定期サンライズより3時間長くかかって約15時間弱の長時間乗車が楽しめます。東京駅を発車するのは定期サンライズより少し遅い22:21ですが、定期サンライズの発車する22時の直前に隣のホームへ入線するため、この時期だけはサンライズ2本の並びが見られるのも貴重ですね。

20180130235627.jpg 雑魚寝に近いノビノビ座席以外は全室個室寝台のサンライズ、2階のシングルを10時打ちで確保して乗車しました。人によって好みは様々ですが、私はこの湾曲した窓から眺める夜景や星空が大好きなので2階オンリー、シングルデラックスの広さには憧れるものの景色オタクとしては窓に面していない机は不要なので過剰な贅沢、かといってソロはシングルとさほど値段が変わらないのに狭すぎ…ということで、いつもシングル一択です。

 熟慮するべきは左右どちら側の景色を見たいのか、また小テーブルが進行方向前側にあるのはどの部屋か。特に後者は背もたれに体を委ねて景色を眺める時の快適性が大きく変わってくるので、ネット上に散らばっている詳細な座席表などをよくよく調べて指定しなくてはいけません。

20180202114251.jpg 定期サンライズの乗車時間が短いことは先に触れましたが、そのため寝台以外の設備はシャワーブースとミニサロン、ドリンクの自動販売機のみと最小限です。ミニサロンもあまり長居を想定した調度にはなっておらず、かつての寝台特急にあったロビーカーや食堂車ほどの居住性はありません。

 下りのサンライズ瀬戸/出雲は東京発が22時ちょうど。これは夕食を済ませて乗る時間になります。上りの瀬戸は高松発が21:26で、これもうどんを食べてから乗車する時刻。唯一出雲の上りは出雲市発が18:51なので駅弁なりコンビニ飯なり持ち込む必要があるでしょう。1日に走る定期サンライズ4本のうち供食が必要なのはこの1本だけですので仕方のないことですが、寝台特急に乗って食堂車が無いのは何とも寂しいものです。

 というわけで、前置きが長くなりましたが今回は「サンライズで温かい洋食を食べる」を目標に、無いものは作るの精神で食堂車ゴッコを楽しみます。

20180130235644.jpg 舞台は個室の小テーブル、幅40cm/奥行30cm程度の限られたスペースに食器を並べます。ランチョンマットと皿は100円均一ショップのプラスチック製、グラスはちょっと値が張りましたがこれも傷が付きにくいプラ製、カトラリーもメッキ仕上げのプラ製です。

 メインディッシュはステーキ…と行きたいところですが焼いて時間の経ったものを美味しくいただくのは難しいので、デパ地下のハンバーグで妥協。しかし電子レンジも無いサンライズの車内ではこれを温かい状態で食べるのが難しい。火気は厳禁、大容量の電気も使用禁止ですから、ここは非常時やキャンプで使う加熱材を試してみます。

20180130235715.jpg 専用の耐熱袋に石灰を主とした発熱材と水を入れると化学変化で高温になる便利グッズですが、紐を引けば加熱する「あっちっち駅弁」と同じシステムのものです。パッケージングは異なりますが原理は同じなので車内でも問題なかろうと、さっそく水を投入。すぐに加熱が始まりますが、発生した蒸気が袋の通気穴から吹き出すのでタオル等を巻いておくと、火災報知器(装備されている?)の反応や窓の曇りを防げる上に熱が籠もって加熱が促進されるのでオススメです。

20180130235722.jpg 東京駅周辺のスーパーやデパ地下で仕入れたサラダやソーセージ、パンなどの食材をそれっぽくお皿に盛り付け…、最後に熱々になったハンバーグを乗せたら完成です!

 先行の列車が詰まっているため相模湾に沿ってゆっくり進むこの日のサンライズ。客車列車ほどの風情はありませんが、穏やかな走行音をバックに、街の灯りと月明かりに照らされた水面を眺めつつ、温かい食事を楽しむ時間はまさに寝台特急の食堂車。ベッドの上に胡座をかいて…という苦しい姿勢なのは残念ポイントですが、十分以上に満喫できました。

20180210151633.jpg 営業時間の縛りもなく、気ままに食事を楽しむことができました。あとは眠気の限界が来るまで夜の景色を楽しんで寝るだけ…なのですが、その前に加熱パックの残り水の処分と皿洗いもセルフサービスなのがツライところ。加熱剤の残り水は「人に害はないけど飲用しないように」とのことです。皿洗いは車内の水道を詰まらせないよう、ウェットティッシュなどで出来るだけ拭き取ってから洗いましょう。

 寝台特急に乗って寝るなんてモッタイナイ! 本来の役割との矛盾を感じますが、娯楽としての乗車ですから起きていられる限りは夜景を眺めていたいものです。照明を消して室内を真っ暗にすると外の明かりが鮮明に見えて感激しますが、これも個室寝台ならではの楽しみ。未乗車の方は是非とも体験いただきたいと思います。

 夜明けは明石海峡あたり、伯備線に入ると特急やくもを優先させるため長時間停車を繰り返しつつ13時17分に出雲市着、昼食時すらまだ車内というのんびりダイヤなので、昨晩の食材の残りを消化しながら約15時間の旅を終えました。

 夜景を眺めながら列車内で食事…というのも「出来る範囲のちょっとした贅沢」の範囲で考えると、定期トワイライトエクスプレスの廃止後は難しくなりました。食器や食材の準備は面倒かつ荷物が増えるデメリットもありますが、やってみるとナカナカ楽しい遊びでしたので皆様も是非どうぞ~。

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