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119系ストラクチャを作る3

ファイル 51-1.jpg  パンタも出来たことだし、放置していた右側面の床下機器と、クーラーやベンチレーターの土台といった屋上のディテール作りを進めました。BVE上ではまず見ることの無い真横から・・・、実に模型的。  床下の大部分を抵抗器が占領する反対面は非常に迫力がありますが、こちら側は細切れの機器がズラリと並び、これはこれで不揃い感が楽しいものです。  模型といえば、BVE用ストラクチャとして、日々CGで車両を作っていると、模型のガニ股(Nゲージ・HOゲージ問わず、軌間が標準軌程度に設定されているため、本来狭軌の国鉄型は不恰好になるのです)が我慢できなくなるという副作用が・・・。気付けば長いこと触っていません。 ファイル 51-2.jpg  手前の円筒はMG、中央ドア下のルーバーが突出しているのが断流器。凝った造形はその2点だけで、あとは単純な箱型です。各機器の寸法(特に奥行き)はかなりテキトー。しかし、「国鉄型電車=重そう」というイメージは再現できたかと思います。  2両目に配置したクハの床下は、まだテクスチャ1枚のままです。製作している間は、機器を個別に再現しても1枚板と見た目が変わらなかったらどうしよう・・・なんて思いましたが、比べて見るとそれなりに成果が現れている模様で、ひと安心です。 ファイル 51-3.jpg  押し込み型ベンチレーターは、先頭だけが大型で、メッシュの張り方、屋根への固定方法も他と違うので修正。クーラーの土台は大面積を水平に盛り上げた大袈裟なもの。おそらく屋根の梁から梁へ渡すように掛け、強度を確保しているのではないかと想像しています。  実のところ、このあたりのディテールは交換列車として配置しても、運転台からはまず見えません。伊那大島の電留線のように、自線より低い位置に配置したときに、辛うじて見えるかどうか、といったところです。まぁ、動作が重いようなら削るもよし、PCスペックに余裕があるのなら、あって困るものでも無いでしょう。 ファイル 51-4.jpg  パンタ周りの配管は、横からも目立つ高圧引込み線のみ再現しました。特に一段高いヒューズ箱への架線は印象的。拡大して見るとカクカクな程度の作り込みですが、まぁ必要十分でしょう。避雷器は“cylinder”のポン置き。テクスチャに使える写真があったはずなのですが、どこかに紛れてしまいましたので、見つけ次第置き換える予定です。  いつものことですが、影が自動生成されないBVEでは各々オブジェクトが浮いてしまうので、屋根板に直接影を描き込んでいます。見えないところですが・・・せっかくなので自己満足で。 ファイル 51-5.jpg  まだ屋根まわりだけですが、クハの改装も進めましたので、編成としての一体感が出ました。  こうして置いてみると、風景の中に列車があり、列車の周りに風景があり・・・、それぞれを作り込むことで互いに引き立てあい、活き活きとした表情を見せてくれます。今は駅に停車中の姿しか再現できませんが、将来のバージョンでコイツが交換列車として動くかもしれない・・・と思うとワクワクしてしまいますね。  ところで、誤解されないように書いておきますと、私は別に風景至上主義というわけではありませんで、グリーンマットの路線データでも何かしら拘って作られたものは、繰り返し楽しくプレイさせていただいております。  ただ、シビアなダイヤに合わせて全神経を運転に注ぐような都市部の路線ではなく、飯田線をはじめとしたローカル線の場合は、それらしい雰囲気を演出するため、もしくはゆったりとした運転に飽きさせないためのメリハリとして、いくらかの風景が欲しくなるのです。  最初のうちは、とりあえずそれらしい風景が付けば、細かいことは気にしない・・・、なんて思っていたのですが、何度か現地を訪れているうちに考え方が変わってきました。例えば、運転には何の関係も無いものですが、ホームの片隅に設けられた花壇や植え込み。見れば側に老人会や婦人会などの札が立てられています。利用客も少なく、待合室がポツンとあるだけの無人駅でも、地域住民の方によって手入れがされているというのは、少なからず感動するものです。  そうした「一見どうでもいいもの」をアレコレ仕込んで、最終的には沿線住民の息遣いが感じられるような、雰囲気満載の路線データになればいいなぁ・・・と思っています。

PS23 パンタグラフ 2

ファイル 50-1.jpg  あれから下半身を作りこんで完成となりました。台枠内側の主バネ覆いや下げシリンダなどは、運転台からの視点ではほとんど見えませんので、モノが大きい割には頂点を減らして労力を削いでいます。逆に四隅の碍子は位置的にも色彩的にも目を引きますので、頂点をふんだんに奢って滑らかに造形しています。  省略している箇所もアレコレありますが、ディテールに特徴のある部分は再現できたと満足しています。頂点数はパンタ台も含めて1200余。現時点から数年内の3Dゲーム対応PCのスペックからすると、程良い重さに仕上がっていると思います(ただしX形式に変換・BVE5を想定)。 ファイル 50-4.jpg ▼ 画像をドラッグすると移動、クリックで拡大表示を終了します。 集電舟の復元バネについては結局詳細不明のままで、(ものすごくテキトーに)舟支え装置だけ作りました。台枠外に配置されたイコライザは本型式の特徴。パンタグラフは今まであまり興味のない分野でしたが、その気になって見ると地元阪急電車のパンタにも、同様の構造を持つものがありました。  真ん中の円盤はお馴染み東洋電機のエンブレム。これは10角形にテクスチャを貼ったものですが、これくらいのサイズですとほぼ円形に見えますね。 ファイル 50-2.jpg  屋根板のテクスチャ画像にそれらしく影を描き込み、パンタグラフを載せてみました。寸法的にも色彩的にも浮き沈み無く、自然に合わさってくれました。  車両ストラクチャ全体としては、絶賛放置プレイ中の床下機器や、ベンチレーター/エアコンの台座が未着手ですが、一番面倒な台車とパンタが完成したので、あとは路線製作の気分転換にチョコチョコ作っていけば、そのうち仕上がるでしょう。 ファイル 50-3.jpg  作り込んだのはいいけれど、「ソレ運転してて見えるのん?」というのは重要な問題です。というわけで、コンバータにかけてIM0.6で実際に運転してみました。縮小画像ではイメージが掴みにくいので1920x1200で運転し、飯島駅での交換列車とすれ違うところでスクリーンショットを撮影、右上の960x600を原寸で切り出しました。  首振りも使わず、運転中の視点そのままで撮りましたが、パンタは結構鮮明に見えていますね。BVEプレイヤーはほとんどが電車好きの方でしょうから、無意識のうちに電車に視線が向くというもの。これだけハッキリと描画されるのなら、細かく作り込んでも損はありませんね。 ■パンタグラフのデータは、チェック後Readmeファイルを整え、後日素材として配布します。     ★画面サイズと解像度(駄文)  頂点数にしろテクスチャ解像度にしろ、どのくらいの品質が求められるかは画面サイズ/解像度によって大きく異なります。PCディスプレイは年々大型化しており、飯田線のリメイクを始めた当初は大型の部類であった24インチも今や標準クラス。ハイエンドは27~30インチとなっています。  実は実物大の画面サイズでBVEをプレイするのが最終目標なのですが・・・、何をもって実物大とするかは、運転台の窓サイズ=画面サイズと考えています。パノラミックウィンドウを備える169系や115系では困りますが、119系を例にすれば窓幅がだいたい80cmくらいでしょうか。そのうち右端の10~20cmは時刻表灯(スタフ挿し)で隠れますから、時刻表灯を物理的に画面外へ分離してしまえば、画面幅が65~70cmくらいあれば、おおよそ実物大と言えそうです。  インチ数にすると30インチでギリギリ、欲を言えば32~36インチくらい欲しいところですが、フルHDのテレビ用パネルを流用した安価なモデルでは、ドットピッチが荒すぎて遠方の標識類が判読しにくくなります。高解像度のPC専用ディスプレイとなると、私の知る限り民生品では今のところ30インチが最大で、解像度は2560x1600と、フルHDの三割り増し程度。このまま順当に大型化すれば、近い将来、36インチが発売される頃には、横解像度が4000前後の製品が登場する可能性すらありますね。  私は家庭用ゲーム機というのを所有したことは無いのですが、PCゲーム暦はそれなりに長く、使用するディスプレイも14→15→17→19→今のワイド24インチと順々に大型化してきました。画面が大きくなるのは確かに良いことなのですが、同時に愕然とするのが、それまで小さな画面で遊んでいたソフトの描画の粗さです。小さな画面では緻密に見えたポリゴンやテクスチャも、そのまま画面が大きくなるとカクカク・ボヤボヤになってしまい、これならいっそウィンドウモードでプレイした方がマシかも・・・などということもありました。現在主流のゲームはグラフィック設定の自由度が高くなっていますから、そうした問題も少なくなっていますが、製作時の品質=プレイ時の品質で固定されるBVEでは、昔の記憶がトラウマのように蘇るというものです。  長々と書きましたが、結局何を言いたいのかというと、将来の高解像度化に備えて、少し過剰なくらいの品質を維持したいということです。建物にしろ車両にしろ、「こんなもんに時間をかけて、アホちゃうか」というツッコミもあろうかと思いますが、路線データ全線が開通する頃になって陳腐化してしまうような品質では泣くに泣けませんので、今のうちから出来るだけのことはしておきたいのです。  3Dオブジェクトの品質や製作法については、また別の悩みの種があるのですが・・・、それはまた別の機会に書こうと思います。

PS23 パンタグラフ 1

 久々に車両ストラクチャのお話です。しばらく放置していた119系ですが、そろそろ進めないとなぁ・・・ということで、台車に引き続き面倒な部分の製作です。  「119系ストラクチャを作る」では仮のパンタグラフを載せていましたが、あれは“cylinder”構文をメインに用い、PS16型を模した作りになっていました。飯田線の119系には狭小限界用に改良されたPS23型が搭載されていましたが、パーツとしての汎用性を重視してPS16を作ろうか・・・と考えていたのです。  しかし、PS16とPS23、実物の写真をじっくり比較してみるとかなりの違いが明らかになり、119系にPS16を載せるのは抵抗を感じるようになってしまいました。 ファイル 49-1.jpg  画像上段がPS16、下段がPS23です。集電舟の形状は各々バリエーションがあるので端折るとして、PS16に比べPS23は主軸の位置が低く、イコライザーの設置位置が台枠内から台枠外へ・・・、そしてなによりPS16では突き合さるように接合された上枠と下枠が、PS23では互い違いになるよう接合されているのが最大の特徴です。  もうひとつ写真から読み取れる違いとして、PS16には集電舟下に片側4本1組の復元バネがありますが、スプリングの無いPS23がどうやって架線への追従性を保持しているのか、私の知識不足で分かりません。  ちなみに後発のPS24(PS23同様、上枠・下枠が互い違いに配された狭小限界用・・・中央線の201系など)には、PS16同様のスプリングが見られます。はてはて? ファイル 49-2.jpg  一部構造に理解できないところがあるのでスッキリしませんが、とりあえず解る範囲でモデリングしました。集電舟下部を除けば、上半身の造形が一応完了したところです。  "cylinder"構文が全て悪いわけでは無いのですが、やはりパーツ数が多くなると"translate"や"rotate"が山盛りになって、スマートとは言えません。先日製作したDT33台車同様、パーツとして完結させたいので、頂点を手打ちして“CreateMeshBuilder”ひとつにまとめました。  枠は六角断面としましたが、これをX/Yの両軸でナナメに傾けて設置しなくてはならないので、座標の計算が非常に面倒。というか、計算は苦手なので、先に簡単な図面を起こして、あとは作りながら微調整しましたが、こういう作業はモデリングソフトの方が効率よく作業できそうですね。  しかし、3Dモデリングソフトなんて、15年近く前にちょろっと触っただけで、今となっては使えるソフトもありません。今更勉強し直すのも面倒だなぁ・・・と、二の足を踏んでいます。 ファイル 49-3.jpg  上面、前面から見ると、互い違いに組まれた上枠/下枠の位置関係がわかりやすいですね。とはいえ、図面はおろか、真上から見下ろした写真も手持ちがありませんので、正確かどうかは自信ありません。自信が無いついでに、全体の寸法も、見つけた資料は碍子間距離だけで、あとは写真からトレースした自前の図面から読んだ数値ですので、あんまりアテにはなりませんね。まぁ、BVEストラクチャとしては、「だいたい」雰囲気が掴めていればOKでしょう。  お次は下半身、台枠部分の製作ですね。PS16なら台枠・碍子・バネを簡単に作れば完成かと思いますが、PS23の場合は先述のイコライザが台枠外に露出しているので省略するわけにもいかず、もう少し手がかかりそうです。そのあたりはまた次回に・・・。

伊那福岡再考

ファイル 48-1.jpg  小町屋、駒ヶ根に引き続き、「できるだけ実際の景色をそのまま立体化する」をテーマに、伊那福岡駅周辺を作り直しました。以前も書いたような気がしますが、伊那福岡のセメントサイロをリアルにしたかったというのが、路線データのリニューアルを始めたきっかけで、その頃から数えて実に4度目のサイロ製作です。細かなディテールの変更や追加はあるかもしれませんが、大まかにはこれが完成形・・・と思いたいところ。  動画「その4.9」に登場した3代目ストラクチャも、そこそこイイ線行ってたと思うのですが、実はアレ、実物の1.5倍くらいのサイズだったのです。大きいモノをより大きく見せて迫力を出そうという意図だったので、ある程度わかってやっていたことなのですが、周辺の作り込みが進んでくると、他のストラクチャとのサイズ比や、土地面積のバランスがおかしくなってしまうので、ほぼリアルサイズで作り直しました。ただ、まんま実寸だと余りに迫力不足でしたので、一割程度大きめに作っています。  こうした表現上のデフォルメは、実写録画映像のシミュレータではできないことですね。例えば、誰でも知っているようなランドマーク的な建築物を、今回の様に少し大きく作って目立たせるとか、実際は角度的に運転席からほとんど見えないのだけれど、少し線路に寄せて配置してみるとか、本来は手前にある木々や住宅が邪魔して見えにくいのだけれど、それらを少し端折って目立たせる・・・といった「嘘」は、好き嫌いがあると思いますが、楽しみを演出する上でアリだと思います。  とはいえどの程度までの嘘が許容されるかは難しいところで、またもや「某列車で行こう9」を引き合いに出して申し訳ありませんが、全体的にリアルな造形の中で、一部のオブジェクトのサイズだけを2倍にまで大きくして「デフォルメ表現だ」と言い張るのは、いささかセンスが無さ過ぎるというものです。 ファイル 48-2.jpg  最初の画像は国道153号(三州街道)の跨線橋からズームしたイメージ、そして今度は線路脇の生活道から仰ぎ見る感じで。  奥の金属製サイロの横には四角い塔状のバケットエレベータ(籠を複数装着した輪状のチェーンやベルトを縦置きにし、粉粒体を上下に移動させる装置・・・スキー場のリフトを天地に配置した感じ)が設置されていますが、ゴテゴテしたディテールと朽ちっぷりがいい味出してます。  実はこの塔、調子に乗って作り込んだものの、遠景で頂部が少し見えるのと、手前のコンクリ製サイロ横を通過するときに、塔体が一瞬見える程度というシャイっぷりが非常に残念・・・。マァ作る前から分かっていたことですが、これはほとんど個人的趣味の領域です。  おどろおどろしいほどのコンクリートの染みや、塗装が剥がれ落ちて錆が浮き放題の鉄部。「不気味」「汚い」と評されるだろう朽ち加減ですが、私としてはまるで年輪のように、幾年の時間を重ねてきたことによる美しさを感じさせられます。 ファイル 48-3.jpg  これまで作ったサイロは円形を作るのが億劫だったため、円周の長さで板状に作ってから「金太郎飴」で丸める・・・という手法を取っていました。それはそれで別に良いのですが、転落防止柵も板状に一体で作ってから丸めていたため、中央部はともかく両サイドは面を横から見る角度になり、ペラペラで視認できなくなる欠点がありました。  今回はサイロ本体も含め頂点手打ちで作りましたが、本来パイプで組まれている柵を平板で表現しているのは従来と変わりありません。ただし、縦方向のパイプを作るときに、全ての面が正面を向くように座標打ちしましたから、両サイドのパイプも消滅せず描画されるようになりました(基本的には「伊那大島駅2」で解説した手法と同じ)。  各パイプに陰影や浮き錆を表現したテクスチャを貼ることも検討しましたが、実際の視点ではあまりに細く、アンチエイリアシングのかかり具合によってはギラギラと明滅して描画される可能性があるので、ソリッドのままとしました。また、明るい空をバックにシルエットを描く程度の表現を期待していますので、実際の色よりも少し濃い目の配色にしています。 ファイル 48-4.jpg  住友セメントから更に駅寄りの鉄工所も、汎用ストラクチャを廃し、実写ベースの専用ストラクチャに置き換えました。実はこちらを先に作ったのですが、手前のサイロがデカ過ぎて本来のタイミングで見えない・・・というわけで、サイロ群の再製作となったのです。  こちらも負けず劣らずの荒れっぷり。しかも度々増改築を繰り返したような構造の複雑さ、節操の無い建材のチョイスが魅力的で、創作意欲をそそられます。多少のアレンジはありますが、基本的にそのまま立体化しています。 ファイル 48-5.jpg  相変わらず、運転台から見える範囲+αしか作っていません。資材置き場と思われる赤いトタン屋根は、こうして上から見ると余りに適当なテクスチャですが・・・運転台の高さから見ると、上の画像のようにちゃんと見えるのがアラ不思議。このあたりの「テクスチャ芸」も、色々とコツが掴めて来たように思います。  灰色のスレート屋根は、本来線路側の張り出し部に合わせて用意したものですが、母屋の屋根にも使い回してメモリ消費量を軽減しています。というのも、運転台からの視点だと母屋の屋根はほとんど見えないはず・・・なのですが、もしかすると運転台の高さによっては見えてしまうかも・・・?という微妙な具合なのです。まぁ、テキトーに塞いどきゃ良いかな?という程度。  トタン、スレートといった波板類は縞々模様の画像にしたくなるものですが、ああいったパターン画像は、浅い角度から見るとモアレ(画像のドットと画面のドットが競合して意図しないパターンが描画される現象)の発生源になりますので、解像度を落とす、コントラストを落とす、いっそ波板表現はやめる・・・などの試行錯誤が必要です。画像単体ではなく、運転台からの視点で最適に描画される画像を作り出すように心掛けましょう。 ファイル 48-6.jpg  余談になりますが、サイロの画像に登場したので柵のお話です。今回から汎用ストラクチャのコンクリ柵を、新しいものに置き換えました。以前から使っていたストラクチャも立体化したものでしたが、均一な並びの支柱があまりに画一的で実感的で無いため、新規に作り直しました。  新ストラクチャに求めるものは、何かにつけて持論を展開している「グニャグニャ感」。支柱の角度や高さをそれぞれ微妙に変化させ、アングル材もそれに沿わすように曲げつつ設置しました。また1枚の画像を使い回していた支柱のテクスチャも、今回は10パターン以上用意し、ランダムに貼り付けました。 ファイル 48-7.jpg  旧作のストラクチャも横方向から眺める分には、さほど違和感が無かったのですが、運転台の視点から見ると問題は顕著に現れます。  同じ形で同じ高さの支柱が等間隔で並び、その上同じテクスチャを貼っているので、支柱が重なって見える角度ですと連続したパターン画像のようになってしまいます。  119系電車を立体化する際にも書きましたが、「テクスチャ1枚の板ストラクチャより見劣りするのであれば、立体化などしないほうがマシ」、というのを地で行ってる感じですね。例えば、mackoy氏謹製の京成線に於ける線路際の古枕木柵、あれは実に見事なテクスチャ芸ですね。中途半端な立体ストラクチャより、余程見栄えがするというものです。  というわけで、やるのならばテッテー的に、新作は一本一本微調整しながら作りました。まだどこか自然さが不自然?なので、満足し切れていないのですが、とりあえず連続パターンからは脱出できたのでヨシとします。  テクスチャを差別化したことにより、画像ファイルの容量増加が懸念されますので、1本あたりの画素数は減らしました。旧作より少しボヤケて見えますが、まぁ・・・走行中に見る分にはこれで必要十分でしょう。

地形のfreeobj化

 これまで地形の表現はdikeやwall構文を使ってやりくりするのがほとんどでしたが、freeobj化した伊那大島の崖が当初の予想以上に良い印象でしたので、特徴のある地形は思い切ってfreeobj化することにしました。 ファイル 47-1.jpg  中田切の鉄橋から延々と上り勾配の続く飯田線ですが、伊那福岡を出るとイキナリ28.6‰の下り勾配に突入します。これは小町屋との間に流れる上穂沢川(わぶさわがわ・・・読めないよっ!)が作ったプチ田切地形を、例によって最小限の鉄橋で超えるためです。  駅を出てすぐにR600がありますが、路線の制限速度が85km/hに抑えられている飯田線では、曲線制限は無いも同義。分岐器制限を抜けるとフルノッチで加速しながら曲線を抜け、上限いっぱいの85km/hで谷底の鉄橋を渡ると、そのまま小町屋の台地に駆け上がります。  唸るモーター音! 激しく揺れる車内! それまでとは全く違うスピードレンジで爆走する、非常にダイナミックな区間です。 ファイル 47-2.jpg  その駆け下りる感覚を如何に再現できるかが腕の見せどころ・・・なのですが、リニューアル作業を始めた当初のデータを引っ張り出してみると、ご覧の有り様。  データのタイムスタンプを見ると、ちょうど2年くらい前のもの。誰しも最初は技術的に拙いのは当然ですから仕方のないこととはいえ、今更お披露目するのは非常に気が引けるのですが・・・、失敗作の見本として晒しておきます。当時は精一杯頑張ったつもりなんだけどなぁ・・・。  “似てる、似てない”以前の問題として、高低差が全く感じられないのが、運転シミュレータとして非常によろしくありませんね(念のため路線データをチェックしましたが、これでちゃんと下り28.6‰になっています)。これは風景のストラクチャを自線に追従させて配置していることが一番の原因ですが、おかげでBVE4以降ではストラクチャとして設置した勾配標以外に、勾配をイメージさせる要素がありません。  解決策として、ストラクチャを配置する際に、基準座標となる線路インデックスを自線の“0”ではなく“-1”にすると、勾配の中にあってもストラクチャは鉛直になりますから、田畑や建物を階段状に配置してやれば、勾配を感じやすくなります。  しかし直線区間ではそれだけで対応できますが、曲線区間となると、今度はブロック状に作った汎用ストラクチャの違和感が強く現れます。旧作では直線で作られた田圃のフチを路盤の下に隠すことで、なんとな~く誤魔化していたわけですが、これが表面化してしまうと、ブロックかタイルを並べたような画一的な風景になってしまいます。「某列車で行こう9」の田畑に幻滅された方なら、どれだけ不細工なことになるか、お分かりいただけるでしょうか。 ファイル 47-3.jpg  様々なサイズ・種類の田畑を曲線半径ごとに各種用意する・・・なんてのは非現実的ですから、結局その場所その場所専用の地形ストラクチャを製作するのが、遠そうで、実は一番の近道なのです。  現在製作中の仕様では、ストラクチャの密度やテクスチャのリアリティが高まったことで、表面上の見栄えが良くなったのも確かな進歩ですが、それよりも何よりも、専用の地形を用意したことで、旧作と比較すると圧倒的な「下ってる感」を演出できたことが、一番の成果です。新旧とも線形はほとんど同じなのに、ちゃんと下っているように見えるのだから不思議なものです。  風景としても、画角や季節の違い、架線柱が建て替えられたことによる雰囲気の誤差はありますが、それなりに似てると言えるレベルに達することが出来たでしょうか。 ファイル 47-4.jpg  左手の建物群は1994年に開校した「赤穂南小学校」。路線データの95年当時は新築ホヤホヤですね。「その割には汚しが効いてるような?」というツッコミは、テクスチャ素材の関係上ご容赦を。  私の知る小中学校というのは、全国どこへいっても同じスタイルの、クリーム色に塗られた無機質なコンクリ建築・・・というイメージなのですが、この頃から公立の学校建築も豪勢になりましたね。  線路はここから小町屋を経て、前回掲載した駒ヶ根駅手前のカーブに至るまで一直線です。実際には20mの短尺レールが独特のジョイント音を奏でる区間なのですが、音を収録して路線データで再現するには、全区間の短尺レール使用箇所を調べないといけませんから、チョット大変ですね。 ファイル 47-5.jpg  今回は大きく3つのブロックに分けてこの区間を再現しました。まず画像左上は手前の棚田部分。線路の曲線に沿うようにカーブしている、今回の肝の部分です。左側へ階段状に田圃が続きますが、視界に入るのは二段目までですので、その土手だけ作って完成です。  右上は杉林の土台。水分が多く、陰になる部分でもあるので、暗い配色にしています。透過テクスチャを用いて数箇所に配置した下草は、ポリゴンで作った地形がカクカクの直線に見えないよう誤魔化すためのオマジナイ。実際にひとつ前の画像をご覧いただければ、その効果がお分かりいただけるかと思います。  左下は学校部分全体。位置合わせが楽なよう、校舎なども含めて一体にしています。本当はもっと複雑な形状をしているのですが、遠景でしか見えない部分はザックリ省略しています。また、手前の体育館と線路側のフェンスの間にはプールがあるのですが、こちらもフェンスに隠れてほとんど見えませんので省略しました。  右下は杉林に並べた汎用ストラクチャ。線路際の防風林などに以前から使用しているものです。透過テクスチャの輪郭に関する問題の影響を最小限にすべく、木々には高解像度のテクスチャを使用していますから、できるだけ汎用品を使って重複読み込みによるメモリ・リソースの浪費を抑えるようにしました。  とはいえ、これだけだと「同じ木が並んでる感」が否めませんので、最前列だけでも単体の樹木ストラクチャを数パターン用意してランダムに並べたほうが、より自然な風景になりますね。  図らずも過去作品の拙さを目の当たりにしましたが、それだけこの2年間で色々な技術が身に付いたのだと、前向きに解釈したいところです。しかし、どんな技術職でも一人前(その道を極める・・・のではなく、最低限ひととおりの作業を一人でこなせるようになる程度)になるには3年かかると言います。データ弄りを始めて今で2年半くらいでしょうか。それも仕事の合間の飛び飛びの時間ですから、延べ時間としては1年にも満たないレベルですね。  まだまだ知らない技法や、思い付いていないアイデアがゴロゴロ転がっているのでしょうから、更に2年後の自分がどんなデータを作っているかを考えると、チョット楽しみ。 ・・・いや、足踏みしてるかも知れないけど。

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