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戸閉め知らせ灯

 皆様お久しぶりです。前回書きましたメーター用サブモニタに被せる筐体を作っておりますが、今回は戸閉め知らせ灯について解説しておきます。3月上旬の大阪オフ会でもそんな話題がチラッと聞こえてきましたが、他の方とのお話中でしたのでスルーしてしまいました。 ファイル 57-1.jpg  前回記事・動画中には無かった戸閉め灯ですが、ランプがあるはずの中央部はモニタがありませんので当然のこと。ですから画面上で描画するのではなく、実際にLEDを駆動させて再現します。  まずはパネルデータ上で裏方役の戸閉め灯を設置、圧力計の角に置いた白い四角がソレです。ドア開で黒、閉で白としています。 ファイル 57-2.jpg  プラグインやマイコンを自在に操れる方は凄いなぁ・・・といつも感心させられるのですが、残念ながら私にはチンプンカンプンのお話。そこで登場するのは「エレキット」の“明るさセンサユニット”です。ハンダ付け不要の完成基盤で2,000円弱。コレは何かと言いますと、周囲の明るさに応じて回路をオン・オフさせるリレーで、よくある例では夜になったら自動で点灯するライトなどに使われるものです。  明るくなったらオン/明るくなったらオフ、切り替えでどちらの用途にも使えますので、これを用いて画面上の輝点を読み取ろうというわけです。 ファイル 57-3.jpg  センサ(フォトレジスタ)は基盤に直付けされているため、ハンダを溶かして分離。画面上の戸閉め灯まで配線を引いて延長します。モニタと筐体の間には隙間や厚みを作りたくないので、モニタ上の配線は0.1mm厚の真鍮板を裏面絶縁して使用しました。  メーター隅にセンサを配置したのは、最終的にメーターの風防を取り付けると、センサの厚みを隠すことが出来るからです。 ファイル 57-4.jpg  動画ではないため点灯・消灯のイメージをお見せできませんが、とりあえず点灯状態で撮影しておきました。光量が少し足らないので、リフレクタを付けた方が良さそうですね。100円ショップでペンライトでも探してきましょう。  筐体のディテールは、ほぼプラ板です。ただし、戸閉め灯の円筒側面と時計置き側面は水道管の塩ビ部品から、ランプのレンズ部はバイクの反射板から切り出しています。  デベソ形状のランプと厚みのあるヒサシが特徴的な119系の戸閉め灯ですが、登場した1983年当時は他車同様、金属のリングが付いた戸閉め灯に薄板のヒサシが付いていました。LED化の工事でこうなったのかな?と想像していますが、それが何年だったのか記録が無いため不明です。路線データの95年当時はどうだったのかわかりませんが、現行形状の方が「119系っぽい」のでこちらを再現しました。 ファイル 57-5.jpg  大まかなパーツは完成し、かなり雰囲気が出てきました。一部ネジ類やツマミなどのディテールは、内側に液晶モニタを仕込んでいる都合そのまま植えることができず、塗装後に頭だけを接着して再現することになります。  モニタを仕込む制約と言えば、本来はメーターパネルと表示灯パネルの間に段差があるのですが、これも1面で構成する必要があるため再現できません。表示灯パネルは当初左右どちらかにオフセットしようと考えていましたが、戸閉め灯と同じ要領で中央部の2灯を駆動させることが可能ですので、実車通りセンターに持ってきました。ただし、実物同様の窓間隔ではBVE5のウィンドウ右上の残距離表示が窓内に被ってしまうため、少し間隔を広げて作り直す必要がありそうです。  細部の調整が済めば塗装して仕上げ作業に入れるのですが、灰緑色の調合、塗装作業が面倒なので、他の部品も仕上がってからまとめて塗ってしまおうと思います。

マルチモニタのススメ

 今回より「運転台」という記事カテゴリを追加しました。こちらではPCハードウェアやコントローラーの話題について書いてきます。 ファイル 56-1.jpg  唐突ですが、グラフィックカードをRadeon HD5850に交換しました。これまで使用していたHD4870もスペック的には何ら不満のない物でしたが、5000番台以降の製品は一部を除き、カード1枚でモニタ3台まで同時出力できるのが魅力です。  注意すべくは、3系統同時出力をさせるには、DisplayPort(以下DP)を必ず使用しなくてはならず、DVI/DVI/HDMIといった組み合わせでは使用できません。DPを装備していないモニタを接続する場合はDP→DVI、またはDP→D-sub変換アダプタを使用しますが、結線を変換するだけの安価なアダプタは不可。タイミングクロックジェネレータを内蔵するアクティブ型のアダプタでなければいけません。詳しく解説すると長くなりますので、「Radeon 3画面」などで検索してみてください。  フライトシムやドライブシムでは既に浸透しつつあるマルチモニタ環境ですが、たいていは大画面を横に3つ並べて視野を広く確保しようというものです。しかし元々視界が限られており、またレールから外れる心配のない鉄道運転シムでは、横に広い視野は余り必要ではありません。  いつぞやも書きましたが、風景と計器類の両方が見えてほしいBVEとしては、縦解像度の方が重要で、今時主流のワイドモニタより旧来の4:3比の方が使いやすいくらいなのです。そこで、今回はマルチモニタ環境を応用して、メーターパネルを再現してみることにしました。 ファイル 56-2.jpg  用意したのはBenQの15.6インチ液晶モニタ(16:9)「G610HDPL」を2台です。理由は後述しますが、15.6インチワイドというサイズは絶対指定で、普及価格帯の物となると他に選択肢がありませんでした。  接続がD-subのみというのが不安でしたが、使ってみると映りもシャープでゴーストも出ず。縦方向の視野角が極端に狭いのが難点ですが、1台9000円前後という価格を考えると妥協せざるを得ないところでしょうか。 ファイル 56-3.jpg  メインが24インチ(1920x1200)、サブが15.6インチ(1366x768)×2となりますが、双方の縦解像度が違いすぎるため、そのまま横に並べるとイビツになってしまいます。  色々なパターンでBVEを起動し、FPSを計測してみると、どうやら表示されない領域も内部では「あるものとして」処理されているようなので、できるだけ無駄のない、つまり綺麗な長方形に近くなるよう並べた方が良さそうです。  最終的にサブモニタを90度回転させて縦向きに配置しました。ウィンドウのタイトルバーの位置関係で、モニタ2は右回転、モニタ3は左回転させています(全て特殊なツール類は使用せず、Windows7の基本機能のみです)。 ファイル 56-4.jpg  運転台パネルはモニタ3台を合計した、3456x1200ドットという変則サイズになりました。メインモニタ内には何も置かず、全てを風景の表示に割り当てています。サブ2台は、設定画面で回転させた向きに従ってメーター画像を配置。ちなみに個々のメーター画像は実物を分解して撮影し、風防の反射・映り込みを完全に排除しています。 ファイル 56-5.jpg  所定の位置に各モニタを置き、実際に表示させてみました。3台の画面解像度が不揃いですのでラージデスクトップ(1台の大型モニタとして認識させる方法)の設定は出来ません。よってBVEはウィンドウモードの最大表示で動作させることになります。  ウィンドウタイトルバーのダブルクリックで最大化させることも出来ませんが、「Sizer」という、ウィンドウサイズを任意に設定した解像度にワンタッチで変更するフリーソフトを使用すると、サイズ・位置合わせの手間が省けます。 ファイル 56-6.jpg  今回は15.6インチという半端なサイズのモニタを使用しましたが、これは画像中に水色の線で示したように、実物大のメーターパネルに収めるためです。外側の線が金属プレスのベゼル外寸、内側の線が表示領域。表示灯パネルを含めた天地寸法、時計入れを作るための逃がしを考えるとこのサイズ・組み合わせしか考えられず、よってサブモニタ2台→HD5000番台以降のグラフィックカード必須という流れになったわけです。 ファイル 56-7.jpg  今はまだ液晶パネルだけの状態ですが、最終的にはメーターユニットを模した筐体をかぶせ、1/1スケールの運転台を再現するのが目標です。  とりあえず雰囲気だけでも・・・と、メーターの風防をセロハンテープで貼り付けてみました。光で構成されるモニタの画像と実体のある部品が、どの程度違和感なく融合してくれるかが不安でしたが、モニタの輝度・コントラスト、メーター画像の明るさ・コントラストを程良く調整してやると、驚くほど自然に混ざってくれました。  実物より少し奥目になってしまうことや、風防の湾曲部がレンズの役割をしてRGBが分解されて見えることがあるなどのデメリットもありますが、気にするほどのレベルではありませんでした。このままでは戸締め灯が無い状態ですが、技術的には既に再現方法を考えてあるので問題なし。次は筐体の製作に移ろうと思います。

配水塔萌え

 近年多様化する“萌え”の文化ですが、「配水塔萌え」という勢力が、地味ながら勢力を拡げつつあります。配水塔という言葉はあまり馴染みが無いかもしれませんが、一般に給水塔、水タンクなどと呼ばれている物です。厳密には機関区や団地などの給水塔と違い、広範囲に水を届ける施設を配水塔と呼び、主に公共上水道の水源に設置されています。  有名どころでは、王冠のような意匠と連絡橋が印象的な駒沢配水塔(大正13 東京)、ドーム屋根とアーチ型の採光窓が優美な野方配水塔(昭和5年 東京)、ギリシャ神殿のような列柱が見事な船橋高架水槽(昭和10年代? 千葉)などなど・・・、巨大建造物としての魅力はもとより、歴史的価値からも一見の価値アリです。他にも全国に散在していますので、興味のある方は検索して訪ねてみてください。 ファイル 55-1.jpg  さて前置きが長くなりました。先日アップした駒ヶ根駅構内の画像ですが、まだまだ足りない「駒ヶ根臭」。もっと駒ヶ根らしさを演出する何かがあるはず・・・と探したところ、ありました。構内ではなく、駅の北外れにある配水塔です。  とりあえず駒ヶ根まで運転できるように風景を付ける・・・ということは、駒ヶ根駅の停止位置から見える範囲も含めて再現しなくてはなりません。車窓から見てもホームから見ても、圧倒的な存在感を放っているこの施設を作らないわけにはいきません。 ファイル 55-2.jpg  「赤穂上水道駅北配水場」は、昭和50年代の建造とあって、先の例にあげたような歴史的価値が付加されるほどの年月は経ていませんが、なんとも味のある昭和建築。カッコイイと言えなくもないけれど、どこか間抜けな三枚目。強いて言えばダサカッコイイ。個人的な印象はなぜか「ハクション大魔王」。形状が壺モード、配色が魔王モード。呼ばれて飛び出る水道水? ファイル 55-3.jpg  テクスチャを貼る前の状態だとこんなにカッコイイのに・・・。野暮ったく見える原因は配色と窓配置なのかな。とはいえ、あの「味」は捨てがたい。  水源は導水ではなく直下70mの深井戸からポンプで汲み上げとのこと。意匠はともかく構造的には全国よくあるタイプで、外観から察するに下部が主水槽、上部が遠方・高地用の副水槽。タンクを高所に設けた方が高い水圧が得られるため、遠くまで配水できるわけですね。  ちなみに現代の上水道ではポンプで加圧して配水する方式が主流になっているため、こうした配水塔は順次解体され、数を減らしています。 ファイル 55-4.jpg ▼ 画像をドラッグすると移動、クリックで拡大表示を終了します。 所定の位置にポンと置きまして、ようやく駒ヶ根らしさが出てきました。実際には小町屋のあたりから既に見えているのですが、BVE上では描画距離を相当伸ばさなくてはなりません。BVE5では数キロ先(最大10キロ)まで描画できますが、今度はPCの処理が追いつきそうにありません。まぁ、将来的には・・・ですね。

駒ヶ根駅ディテーリング

ファイル 54-1.jpg  構内の配置が落ち着いたので、駒ヶ根駅ホーム周辺の作り込みを進めています。既に完成していたホームの造形やテクスチャも数カ所変更し、満足できる再現度になりました。  駅名標は国鉄スタイルの簡素なタイプを建てていますが、これは個人的な好みによるもの。実際はJR化後の早いうちに現在の東海スタイルに置き換えられています。(データのリリースにあたって、万が一JR東海と揉めた場合、国鉄飯田線として修正するのも楽・・・という利点もあります) ファイル 54-2.jpg  立体化したところと平面のままのところ、それぞれが分かりやすい角度で画像を撮ってみました。自販機、ベンチ、ゴミ箱、また屋根から吊ってある蛍光灯、停目(裏・表)、出発反応標識、移動禁止合図器などが立体物になっています。  テクスチャワークが主体で、補助的に立体化する程度のローポリゴンCGでは、立体物を背景のテクスチャに馴染ませることが肝要。作り手としては、時間をかけて立体化したオブジェクトほど目立たせたくなるものですが、そこは理性をフル動員して極力目立たないよう調整します。「目立つ」ということは、周囲と比較して浮いている、あるいは沈んでいるわけですから、イコール調整し切れていない・・・ということになりますね。  走行中の運転台から見ると、前後するオブジェクトの座標が、前進に伴って微妙にズレることによる、ホンのわずかな自己主張から、「ん?今何かあったっけ?」という程度。そのくらいがちょうど良いのです。 ファイル 54-3.jpg  2灯の四角い箱が移動禁止合図器。分割併合の作業時にホーム上での操作により赤・白の標識灯が点灯し、作業の安全を図るもの。作業時以外は2灯とも消灯していますので、形だけの再現です。  改札口は今のところ駅舎壁面と一体のテクスチャだけですが、運転台から見ると意外と気にならないものです。ただ、周囲の作り込みとのバランスが悪いかな・・・ということで、ラッチ(駅員の入るハコ)と奥の壁面だけでも別途立体化を検討中。ただし使えそうなラッチ外の写真が見当たらなかったので、改良作業は次回の取材以降になりそうです。  ホーム先端が曲線を描いているのは他の駅と同様、分岐器による建築限界の膨らみに対応させるためで、これも再現出来ていなかったため修正しました。当初は前方の一段低くなった旧貨物ホームで、車体裾を逃がしているのかな? と判断していたのですが、湾曲するホームの写真が出てきたのでやり直しです。 ファイル 54-4.jpg  曲がったものは曲者(くせもの)です。鋼管を曲げて溶接したホーム端の転落防止柵は、縦棒・横棒が連続して一体となっているため、伊那大島駅のホーム柵などで解説した、「柵・手すり類の支柱面を視点に対向するように打ち、比較的楽に立体感を得る」という手法が使えません。  場合によっては、実物同様に円柱を曲げて立体的に作った方が「手間はかかるが難しく考えなくて良い」ということもあり、今回は8角断面の柱を用いて作りました。ホーム下の太い柵についても、視点との高低差があることと、少しナナメに配置されていることから平板では少し違和感がり、同様にフル立体化しています。陰影はディテクショナルライトが勝手に付けてくれますが、それだけでは立体感に乏しいので、テクスチャ上でも補助的に影を描き込んでいます。 ファイル 54-5.jpg  現在では大きく姿を変えている上りホームは、資料が乏しく難航しているものの、なんとかそれらしい雰囲気になってきました。古い写真を見ていると、ホーム飯田寄りに水飲台のようなもの(蒸気機関車は走ったことがないので洗面台では無いと思われる)、また辰野寄りの花壇の中には、観光客向けの歓迎看板(オブジェ)のようなものが見られるのですが、ディテールは読み取れず。いずれも既に撤去されているため再現できていません。  旅客ホーム周辺はかなり充実してきましたので、次は電留線周辺の作り込みに移ります。上りホームの向こう側ということもあって、さほど作り込む必要は無いと思いますが、架線周りで苦労しそうな予感がヒシヒシとしています。いよいよ25m、50m以外の架線も用意する必要が出てきましたので、重い腰を上げて単純作業に精を出さなくてはなりません。

駒ヶ根駅構内配線

ファイル 52-1.jpg  まずは2010年4月の記事に掲載した画像です。両開き分岐器のストラクチャが無いため片開きで代用、そのせいで構内の配線、島式ホームの形状が異なってしまっていました。  あの記事では端折りましたが、実は4両分の島式ホームが入る複線間隔を作るため、構内全体が本来の長さより25m長くなっているという大きな問題もありました。つまり、凝った風景を付けたところで、基準となる線路に誤りがあれば、実際の景色とはまったく違うものになってしまう可能性がある・・・というお話です。 ファイル 52-2.jpg  伊那大島での必要に迫られて制作した両開き分岐器を流用し、ようやく駒ヶ根構内の配線が現実に即したものになりました。島式ホームの2・3番線を分ける分岐器と、更に奥の電留線を分ける分岐器の2カ所が両開きとなっており、限られたスペースで最大限の有効長、複線間隔を確保しています。  手前方向に伸びる旧貨物側線は、線路図には書き込まれていませんでしたので、もう機能していないのかな?とも思いましたが、現地で撮影した写真をよく見てみると、電動転轍機が確認できましたので、安全側線として機能しているものと思われます。  手持ちの線路図は100m単位の大雑把なもので、分岐器の種別や側線の配線までは記されていません。ですので現地取材と航空写真が主な資料となりますが、完璧・・・とは言えないまでも、現地に詳しい方が運転して、違和感を感じない程度には再現できたと思います。  細かいところをつつけば、BVE本体が25m刻みである制約や、汎用のレールストラクチャを並べている限界で、レールの繋ぎに無理があるところもありますが、運転台からの視点だと気にならないレベルなので、ヨシとしましょう。 ファイル 52-3.jpg  弓状というか・・・、「柿の種」のようなホームですが、データを作ってみると「よくぞこのスペースに4両分を確保したものだ」と感心します。ホント無理矢理。  飯田線の駅はシンプルな配線が多く、その点では楽をさせてもらっていますが、駒ヶ根は辰野、飯田に次いで複雑な配線を持つ駅です(機関区を含めれば伊那松島も難題ですが、駅自体は極めてシンプル)。  25m単位だけでは変則的な配線を再現しきれませんので、自線以外のほとんどは“freeobj”でレールを並べていますが、それらしく見えるまでは数日の試行錯誤が必要でした。この程度の規模でそれだけの時間を要しているのだから、幹線のターミナル駅を再現されている作者の方は、どれだけの手間暇をかけていらっしゃるのか・・・、考えると頭が下がる思いです。  配線と大まかなストラクチャの配置は完了しましたので、ここから雰囲気を盛り上げるための小物の製作に取りかかります。ベンチやゴミ箱などの備品も必要ですが、基幹駅だけに標識や設備類がやたらと多く、仕上げにはまだまだ時間がかかりそうです。

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