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2010年の記事は以下のとおりです。

今季の現地取材完了

ファイル 22-1.jpg  予定通り7/29~8/1までの4日間を伊那谷で過ごし、七久保~伊那市の現地取材が完了しました。駅数にして13駅、距離約25km。線路沿いに道路の無い一部の区間は車でワープしていますが、それ以外は徒歩で往復しましたので、1日あたり10km以上は歩いたことになるでしょうか? 動画で言ってました自転車の輪行は体力的に無理でしたが、これはこれで良いリハビリになりました(とはいえ帰ったとたんに疲労のせいか夏風邪にやられまして、忙しさもあって更新が1週間ほど遅れたワケですが・・・)。  後半2日間は駒ヶ根~伊那市を順不同に撮り歩きました。左の画像は赤木~沢渡間を行く119系ですが、実はワタクシ鉄道写真はほとんど撮らないんですよね。学生の頃まではよく車両メインで撮りに行ったものでしたが、以後模型鉄と乗り鉄がメインになると車両そのものよりも、列車から見える風景とか、鉄道を中心とした一帯の風景に興味を持つようになったため、駅の待ち時間にポチッと撮る程度しかしなくなりました。なので鉄道写真のお作法とかは全然わからないのですが、何となくソレっぽいのが撮れたので掲載してみました。方向幕がチョット残念ですが・・・。  ひとつ資料として注目したいのは、今までは無かったはずの真新しい制限標が立てられていること。ATS-Pの導入に合わせてのことと思いますが、今後数を増やしていくのかもしれませんね。95年前後を再現する当BVEデータでは配置しませんが、気になるのはその制限値。基準ではR400は制限75のはずですが、この標識では制限70となっています。やはり線路規格の低さが影響しているのでしょうか? ファイル 22-2.jpg ■JR最急勾配  碓氷峠ほどのインパクトが無いためマイナーですが、横軽無き今となっては赤木~沢渡間の40‰がJRの最急勾配となっています。ほんの数百メートルの区間ですし、私鉄にはもっと急な勾配がいくらでもありますから、わざわざココを見るために現地を訪れる人も少ないとは思いますが、ただでさえ五月蠅い MT55Aを唸らせて駆け上る119系はなかなかの迫力です。  それはそうと、今回の取材で強く認識したことは、線路からの風景だけではなく、周囲から見た線路の写真も重要だということ。例えば左の画像、線路は築堤になっていて左右の宅地や田畑は一段低いところにあるのですが、高いところから低いところを見た高低差というのは非常に認識が難しいのです。まぁ「低いんだろうなぁ」程度には分かりますが、それが何メートルくらいの差になるのかは全く読めません。 ファイル 22-3.jpg  そこで同じ地点を少し離れたところから撮ったものが左の画像です。見下ろしただけではわかりませんでしたが、かなりの高さの築堤上を走っていることが分かりますね。レール面からトロリ線までの高さを約5mとすれば、それと比較して道路からレールまでの高さも4~5mほどありそうです。  このように、低いところから高いところを見ると、その高低差は一目瞭然です。ですから線路が周囲よりも低い谷の部分を走っているなら、前面展望ビデオや列車からのかぶりつき撮影で地形を捉えることが出来ますが、逆に線路が周囲よりも高い位置にある場合は、離れたところから客観的に線路を撮影しないと、地形を再現したBVEデータの製作には資料として片手落ちということになります。  地形、という点では現状のデータに大きな不満がありまして・・・。北部の飯田線は天竜川右岸の段丘に沿って走っていますが、ということは傾斜地の等高線に沿って走っているということになります。ですから下り列車だと線路の左側が中央アルプスの山麓で高くなり、右側は天竜川ですから低くなっています。例外もありますが、平均すると常に右肩下がりの地平線の中を走っている感じですね。  現在使用している地面や田畑、線路を横断する道路のストラクチャは全て水平に作っていますので、この“ナナメ感”が表現できていないんです。なので傾斜地用のストラクチャを新たに数種類作るか、もしくは現状の横長データを細分化し、高低差を付けて配置するなどの改良が必要です。いずれにしても根本的な部分であり、ほぼ全ての区間で大幅な変更が必要になるので攻めあぐねている状態です。 ■いろいろ食べたよ ファイル 22-4.jpg  まずは、またもやソースカツ丼。前回の「みや川」さんはいかにも大衆食堂といった体裁でしたが、今度は小洒落た喫茶店のようなレストラン「シャトレ」さんでいただきました。相変わらず3cm以上はありそうな厚切りロースのカツが、お店の謳い文句によると200g以上というボリューム満点で盛りつけられています。  特製の甘口ソースは他店より少し辛みの効いた、一般的なウスターソース寄りの味付け。もちろんウスターそのものではご飯の味と喧嘩してしまうので「わずか」な違いなのですが、これが絶妙に食欲を掻き立てるスパイスとなってアッという間に完食。お値段1,000円。  余談ですが伊那のソースが並べて甘口なのは材料に林檎を多用しているからで、調味料ひとつとっても少し調べてみるとご当地色が出てくるのは面白いですね。 ファイル 22-5.jpg  次はこの地域独特の“ローメン”というもの。ラーメンなんだか焼きそばなんだか、少し太めの蒸し麺に肉やキャベツなどを放り込んでソースやスープで味付けしたもの。カツ丼同様に甘口ソース味なんですが、具体的にどんな味?と言われると説明できないもので、気になる方は実際に食べてみて下さい。以前の取材時にも2軒で食していますが、今回は先述の「みや川」さんで。  画像では分かりにくいのですが、定評通りのボリュームで「並」サイズでも1.5人前はありそうな量でした。このお店は全体的に薄味に仕立てられていますが、大盛りなので卓上の調味料で味付けを変えながら完食するという配慮(らしい)。並が620円で大が790円だったか。ちなみに大は男性3人でも腹一杯になりそうなボリューム(一人でモリモリ完食してる強者を目撃しましたが・・・)。 ファイル 22-6.jpg  最後にご紹介するのは伊那名物というよりも、「みや川」名物の“からあげ定食”です。鶏の唐揚げが3つにスパゲティやサラダ、味噌汁にご飯が付いて 680円。まぁ普通というかお買い得というか、そんな感じに思えますが、ツッコミどころは唐揚げのサイズ。分かりにくいので左上に同行者のゲンコツを置きましたが、一般男性の拳と同じくらいのサイズがあるのです。私は男性にしては手が小さい方なので、自分の握り拳の方が唐揚げよりも小さくてちょっとショック・・・。  手前のご飯が茶碗ではなく丼なので、そのあたりからも全体のボリュームを察していただけるかと思いますが、私は唐揚げ1個で腹一杯になりましたので、残りは袋(店に常備!)に入れて持ち帰りました。ちなみに5個盛りで950円というのもありまして、だいたい唐揚げだけで1kgくらいになるそうです。  当然ながら毎回こんなのを食べていたのでは財布も腹も大変なことになってしまうので、コンビニパンとか牛丼250円とか、そういうのを間に挟みながら適当にやっています。 ■取材道具 ファイル 22-7.jpg  以前の動画で「デジカメの容量が足らないんじゃ?」といったコメントをいただきましたが、車で取材する場合はアレコレ荷物を持っていけますのでノートパソコンを携行しています。1日で撮影する枚数が500~1000枚くらいですので、晩になったら泊まり先でパソコンに移し、記憶がハッキリしているうちに駅間毎にデータを区分けして整理しておきます。大容量のSDカードをたんまり買い込んでおけば良いだけの話でもありますが、一応紙メディア以外の資料も入ってるし、ネット環境さえあれば連絡用にもなるし、何かと便利なので携行しています。  カメラはペンタックスのK100D。デジ一眼としてはエントリー機ですが、電源に単三乾電池を使用できるため、予備のエネループを持ち歩けば多い日も安心。それでも足らない場合はコンビニでアルカリ電池を買えばそこそこ撮影できるのが強みです。オートフォーカスがアホな上にペンタミラーでファインダー像が小さいため、マニュアルでのピント合わせに苦労するのが難点で、ペンタプリズムの上位機種に買い換えたい思いもあるのですが、上位機種は電源が専用リチウムバッテリーなので旅先での万一を考えると躊躇します。ペンタプリズムで乾電池OK、ダイナミックレンジ拡大機能の三点が揃った新型が出たら飛びつくかも。 ファイル 22-8.jpg  レンズは2本。周辺全体のイメージを把握する時はシグマの広角ズームで10~20mm、テクスチャの材料を撮る時はタムロンの安物望遠ズームで 28~200mm。2本の間がちょっと足りてませんが、そこは自分が動けば良いだけの話。用途に求められる画質とフットワークを考えればコンデジでも良さそうなんですが、どの製品も広角側が圧倒的に足りないんですよね。あと使いにくかろうがイザという時にマニュアルで撮れるのは心強い。  携行する地図はYahoo!地図を線路に沿って画像化し、駅間毎に繋ぎ合わせてプリントアウトしたもの。別に他の地図でも良いのですが、飯田線沿線に関しては地図データが2001年前後と古く、データが想定している時代設定に近いので重宝しています。今回は持って行きませんでしたが航空写真モードも同じ時期に撮影されたものでしたので、今はなくなってしまった建物が多く写っており貴重な資料になっています。よ~く見れば架線柱も判別できる解像度なのが嬉しいですね。いつ最新の写真データに更新されてしまうかわかりませんので、地図同様に画像化して保存しておきました。 ファイル 22-9.jpg クリーム色のファイルは運転関係線路要図。平成18年に発行されたものなのでデータが想定している時期とは変わっているところもありますが、そのへんは別資料で補うしかありません。貴重なものなのでまず全ページをコピーして・・・と思っていたのですが、面倒になってそのまま持ち歩いています。まぁコレクターじゃないので、いいか。  勾配や曲線はもちろん、信号機の配置や踏切名なども記載されているので路線データを作る際には重宝しています。ただし、基本的に100m単位で描かれた図ですから、これだけで路線データを作るのは難しいでしょう。現地で得た資料と線路図、地図などを組み合わせて25m単位、そして更に細かなデータを作っていきます。 ■その他雑感  図書館へ寄る時間が取れるか微妙だったのですが、皮肉なことに最終日の炎天下に負けまして、撮影を中断して飯島町の図書館へ避難しました。こぢんまりとした規模で蔵書も多くはありませんが、さすがに郷土史は充実していたので楽しませていただきました。  直接資料になるような記事・写真はほとんど無かったのですが、伊那電が開通した当初の写真を多数見ることが出来、また建築様式と地場産業の関連についての記述も興味深かったですね。ネット全盛の現代ですが、それでも紙メディアの持つ説得力も捨てがたいもので、今まで知らなかったことを知る機会であるのはもちろん、「こうなんじゃないかな?」という推論の裏付けを得る機会にもなります。  今回は飯島町だけでしたが、また次の機会に駒ヶ根市、伊那市の図書館も訪れてみようと思います。  取材期間中は毎晩温泉に入っていたのですが、伊那市の三セクが運営する「みはらしの湯」がそこそこお気に入り。循環させているので塩素臭があるのは残念ですが、ヌルヌル感のある泉質は温泉らしさも十分で、湯上後も気持ちよく過ごせました。  特筆すべきは露天風呂。湯船は小さいものの眺望は良好で、駒ヶ岳山麓に位置するため手前に伊那谷、遥か前方には南アルプスを望むという好立地。露天風呂が好きであちこち入りにいってるんですが、周囲の塀や目隠しのせいで折角の開放感が台無しになっているところが多い中、ここは高台にあるので目隠しも低く、半身浴したまま景色を眺められるのが良いですね。また先述の塩素臭も風がさらってくれるので気になりません。  スケジュールを合わせたわけではなく偶然だったのですが、7/31は『みのわ祭り』の花火大会が行われ、露天風呂に入りながら暮れゆく空と打ち上げ花火を眺めるという、最高に贅沢なシチュエーションを堪能させていただきました。会場は伊那市のお隣の箕輪町、駅で言えば伊那松島のあたりですので距離が8kmほどあり、眼前に広がる大迫力・・・とはいきませんが、人混みに押されることもなくゆったりと、なんとも風情あふれる一時でした。  ちょうど帰阪した頃から100歳以上の高齢者が多数行方不明・・・という悲しいニュースが流れていますが、伊那谷では人々の距離が都市部よりも少し近く、ほっこりさせられました。  人口密度は都市部と比べて圧倒的に低いわけですが、それでも撮影していると農作業をされている方や散歩中の方、結構な数の人と顔を合わせるので、目が合っちゃうとお邪魔している立場のこちらとしてはそのまま逸らすのも気不味いですし、不審者扱いされても困りますので軽く会釈しておいたのですが、そうするとほとんどの方が「こんにちは」と声をかけて返して下さるんですよね。すれ違う子供達なんて向こうから「おはようございまーす!」なんて元気に挨拶してくれて、つい唖然として挨拶を返し損ねそうになったりも。  最初はビックリしましたし、私よりもっと若い方だと「面倒くさい」と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、4日も現地に密着しているとだんだん自然に挨拶ができるようになるもので、「あ~、こういうのもいいなぁ」なんて思ってしまいました。まぁ防犯の意味もあるかもしれませんが、少なくとも不快に感じることはありませんから、こういう習慣は素晴らしいですね。

七久保~駒ヶ根 取材完了

ファイル 21-1.jpg  日付が変わってしまいましたが…、30日は朝から駒ヶ根を基点に南下し、小町屋・伊那福岡へと線路沿いを歩けるところは往復し、左右両側の風景をくまなく撮影しました。既存部分も資料が不足していた与田切の集落をはじめ、飯島・七久保周辺も再現度を上げるべく再取材を行いました。  画像は与田切川で偶然捉えた119系電車。旧国を追いやったこの電車も遠くないうちに見納め。313系は地元の方にも乗り鉄にも好評のようですが、VVVF車で旅情を感じることが出来ない私はどうしましょう。 ファイル 21-2.jpg  古くからの飯田線ファンにとって聖地といえば田切や伊那松島でしょうか。でも私はBVEから飯田線に入ったようなものですから、聖地といえば七久保と言っても良いくらい、非常に思い入れのある駅です。新長野色の115系が発車していきましたので、「いつもの場所」から写真を撮ってみましたが、こうして “ホンモノ”と比較してしまうと、まだまだ作り込みたい欲が出てきますね。変圧柱がカッコイイなぁ…、作ろうかな。  ちなみにホーム上のミラーはワンマン化に合わせて設置されたものですから、95年前後をイメージして製作している当路線データでは再現していません。 ファイル 21-3.jpg  せっかく飯島町まで足を伸ばしたので、夕食は動画でも紹介しました天龍軒さんで「さくら丼」。実はもう4回目なのですが、相変わらず美味しくいただいております。そういえば動画の中で980円と言ってましたが、今日確認したところ950円でした。お安くなったのか私が覚え違いをしていたのか謎ですが、いずれにせよ更にお求め安い価格設定にご満悦です。  お料理の画像は動画に掲載しましたので、今回はお店の写真をポチッと。ノボリのキャッチフレーズに突っ込んじゃイケマセン。この天龍軒さんを含め、飯島駅前の再開発で商店街がガラッと姿を変えておりまして、15年前の姿を知りたい私を困らせてくれます。時間が取れたら飯島町の図書館にでも行ってみたいところですが…今回はチョット無理かな? 明日(というか今日なのですが)は駒ヶ根から北上し、できれば沢渡あたりまで行きたいと思っています。

伊那谷滞在中

 少々更新が滞っておりますが、どうにも資料不足の部分が気になって製作が進みません。このまま騙し騙し作るのもストレスになりますので、現地取材のため伊那谷にやってきました。  大阪から車で約10時間(日程的に週末1000円割が使えないので往路は下道で)、やっと着いたと思ったら雨に降られて本日はほとんど活動できず、わずかな晴れ間に伊那市駅周辺を撮り歩いて終わりました。余った時間は山麓の温泉でマッタリと…。とりあえず日曜いっぱいまで滞在しようと思っていますので、明日から本格的に活動します。  以前の取材では飯田~辰野までの主だった施設・風景を撮りましたが、今回は範囲を当面の作業区間になる伊那福岡~伊那市に限定し、線路に沿ってすべての建物を詳細に撮り歩くレベルで行います。もちろん、プライバシーの関係で撮影できない一般の民家などは遠景のみにとどめますが、それでもどんな雰囲気の建物かが分かれば、汎用品に置き換えるにしてもリアリティのある仕上がりになるはずです。 ■伊那市のソースカツ丼 ファイル 20-1.jpg  本日のご当地B級グルメは伊那市の「ソースカツ丼」。我々関西の人間にとってカツ丼とは“卵とじ”なのですが、こってりしすぎて実はあまり好きではありません。対して駒ヶ根や伊那市でカツ丼といえば甘口ソースで味付けしたもので、こちらのほうがカツの衣がサクサクして好きですね。  今回は伊那市の「みや川」さんでいただきましたが、厚さ3cmはありそうなカツがドッサリ乗って670円也。実はこのお店は大盛りで有名なんですが、カツ丼はこれでも伊那谷では特別多い量ではありません。ただ他店が軒並み1000円前後~1500円くらいの価格設定ですので、相対的にリーズナブルで満足感は大きいですね。他にも気になるメニューがありますので、滞在中にまた2~3度来ることになりそうです。

DT33完成しました

ファイル 19-1.jpg  細部の調整に手間取りましたが、ようやくDT33が完成しました。前回のスクリーンショットを自分で見直しながら「なんだかDT33というよりDT21 に見えるような・・・?」と悩んでいたのですが、どうやら枕バネがひとまわり大きかったようで、そのせいで全体が寸足らずに見えていたようです。大きいと言ってもほんの数センチの誤差なのですが、それが与える印象の違いにビックリしつつ修正しました。車輪、車軸、歯車箱も新たに作り込みましたが、ほとんど見えないであろうモーターは省略しました。 ファイル 19-2.jpg  端梁の無い台車は前から見ると少し間が抜けて見えるので好きではなかったのですが、車輪の踏面にもテクスチャを貼りましたので、少しは引き締まって見えますね。さらに排障器やジャンパ栓を作り込めば、より精悍に見えるでしょうか。  台車以外は相変わらずRON'S BVEさん製作のストラクチャをベースに、テクスチャを貼り替えて使用させていただいております。お陰様で楽をさせていただき、そのぶん路線データの製作に専念できていたのですが、実車への思い入れが強くなってきたことと、車両ストラクチャで技術的に試してみたいことが色々出てきましたので、いずれ自作に置き換えてみようと思います。  良い気分転換になったので、しばらくは路線データの製作に戻ろうと思いますが、合間をみてクハ用のDT21T、それから169系用にDT32/TR69 を作る予定です。精密化のノウハウはある程度蓄積されましたので、次回はより少ない頂点数で再現できるよう探ってみます。  DT33台車はフリーストラクチャとしてアップしています。以前アップしたタキ45000と一緒に、別コーナーとして独立させましたので、上部タイトルバナー下のメニューからどうぞ。添付のreadmeを最後までお読みになり、用法・用量を守って正しくお使いください?

DT33を本気で作ってみた

ファイル 18-1.jpg  鬱陶しい天気が続いていますが、梅雨の合間の曇り日こそ写真撮影に出掛けましょう。「天気が悪いのに写真?」と思われるかもしれませんが、テクスチャ素材を撮るには日光による影が出来にくい曇天日が最適です。特にフィルムカメラに比べてダイナミックレンジの狭いデジタルカメラは「白飛び・黒潰れ」が発生しやすいので、コントラストが低くなる曇天時の方がディテールを欠くことなく撮影できます。  退院して間もないため飯田方面への遠征取材は体力的にできませんが、近場で調達できるモノもありますから、できる範囲で撮り歩いています。先日は119 系電車と装備が近しい105系を撮影するため和歌山線へ行ってきました。メインは台車と床下機器の資料集めだったのですが、晴れの日なら影で真っ黒に潰れてしまう床下も、曇天のおかげで鮮明に撮影できました。  車体には見向きもせずに足回りばかり撮っている私が不審だったのでしょう、待機中の運転士さんが「何撮ってはりますのん?」と話しかけてこられました。幸い気さくな方でしばし国鉄車談義にお付き合いいただきましたが、「和歌山はゴミ箱みたいなモンですわ」とのお言葉には笑ってしまいました。しかし「私らにはアナログで運転しやすいですよ、まだまだ使えます」とも。日常的に利用する立場なら綺麗な新車も嬉しいのですが、味のある国鉄車も末永く頑張ってもらいたいものですね。  停車中の電車は片側の床下がホームで隠れて見えませんので、一駅だけでは素材が集まらず、和歌山、橋本、五条と渡り歩いて約500枚。台車と床下機器ばかり、角度を変え露出を変えこれでもかと撮りましたが、それでも帰宅して整理していると「なんでココが鮮明に写ってる画像が一枚も無いの!?」なんてことも多々あります。 ファイル 18-2.jpg  精密な車両ストラクチャを作る上で一番のネックはやはり台車まわりでしょう。横から見ての形状が複雑なので、1枚~数枚の透過テクスチャを用いて表現するのが一般的ですが、交換列車として自線の隣に配置してみると、ほぼ前方から、少しナナメ横から見おろすようなアングルになり、台車の厚みや丸みを表現していないと違和感を感じてしまいます。ですから台車を細かく立体化してみることにしました。手間がかかりすぎるので以前から避けてきた部分ですが、ようやく重い腰を上げての製作開始です。  正直なところ、手間と効果のバランス考えると「何が何でも立体化したい!」というわけでも無かったのですが、“丸みのあるモノを限られた頂点数で立体化する”練習をしなくては・・・と常々思っていましたので、ちょうど良い題材でもあったのです。 ファイル 18-3.jpg  例えば、車輪でも何でも構いませんが丸い物を表現する場合、比較的解像度の高い透過テクスチャを使用すれば滑らかな曲線の表現が可能ですが、厚みの表現ができません。また、環境によっては黒縁や透過不良といった問題も未解決です。これを頂点組みの立体オブジェクトに置き換えるわけですが、例えば円形を作る時に頂点数4、つまり四角形のオブジェクトでは当然ながら円には見えません。少し増やして6角形でも、まだまだ円とは程遠い。しかし8角形、10角形にもなれば(オブジェクトのサイズにもよりますが)だんだん円に見えてきます。20角形ともなれば、余程アップにして見ない限り完全な円に見えることでしょう。つまり3DCG上の円というのは頂点数の多い多角形ということになります。  とはいえ作る手間、動作時の負荷を考えると、どこまでも頂点数を増やして良いものではありませんから、如何に少ない頂点数で曲線・曲面に見せるか、というバランス取りが重要になります。  また、以前の記事でデッキガーダー橋の枕木部分について、立体化するよりもテクスチャに描き込んだ方がリアルに見える場合もあることを書きました。ですから製作時は「どこまでテクスチャで表現してどこから立体化するか、立体化する場合は曲面の分割数をどれくらいにするか」・・・、映像作品用の3DCGと違い、リアルタイムレンダリングによるゲーム用3DCGは、常にそういった妥協点の探り合いが必要になるわけです。 ファイル 18-4.jpg  作り方は簡単なオブジェクトと全く同様、地道に頂点を打ってはテクスチャを貼る・・・という作業が延々と続くだけですので、詳しい製作過程は割愛しますが、試行錯誤しながら3日間かけて台車の片面がやっとこさ完成しました。とりあえず“横から見ても前から見てもナナメから見ても立体に見える”という目標は達成したと思います。  しかし、妥協点、バランスの取り方を探るという点においては大失敗かな・・・。製作前は漠然と頂点数500くらいで台車ひとつ作れたら・・・なんて思っていたのですが、片面が完成した現時点での頂点数が553、これから反対側を作り、更に内側のブレーキ装置や車輪、車軸や歯車箱などを作り込んでいけば台車一つで1300~1500くらいの頂点数になってしまいそうです。ポリゴン数=面の数=AddFaceの数と解釈して間違いなければ、片面で230ポリゴンになるので、最終的には台車ひとつで500~600ポリゴンになるでしょう。この数字はオブジェクトひとつで数千~数万ポリゴンと言われる昨今の3D ゲーム情勢から考えれば屁でもない数ですが、BVEという枠の中で考えると、もう少し何とかならんかったのか・・・とも思います。 ファイル 18-5.jpg  動画のコメントなどで「作り込みが細かい」といったお褒めをいただいて悪い気はしませんし、細かく作り込むよう心がけている面もあります。ただ、その細かさが本当に必要な部分なのか、もしくはもっと簡略化しても同程度の見た目を維持できるのではないか?という疑念が常にあります。正直に言ってしまうと、私はそうした適度な省略や妥協といったものが極めて下手、というよりセンスが無いんだろうなぁ・・・と、これはBVEに限らず昔から痛感させられていることです。  省略するセンスがないからリアルに見せようと思うと時間をかけて作り込むしかないわけで、その重いデータを海外製ゲーム基準のPCスペックでぶん回しているだけ・・・、こうして書くと何とも芸のないことです。もちろん表面上の仕上がりについては自身で満足できるモノが出来るようになってきましたので、あまり自分で卑下するようなことも無いのですが、人それぞれ常に悩みながら作っているということです。 ファイル 18-6.jpg  実物のDT33は103系や119系をはじめ、兄貴分であるDT21ファミリーも含めると国鉄通勤・近郊型電車、気動車、果ては一部の私鉄でも採用され、全国どこへ行っても見ることができる(できた)標準的な台車です。子供の頃は優等列車至上主義でコイルバネの台車に興味は持てず、その次は懐古主義で旧国・旧客の大柄な台車に惹かれたため、これまで真面目に観察する機会も無かったのですが、なかなかどうして格好良い台車ではありませんか。斜め上から見おろした時に見える枕バネのふくよかな出っ張りなんてタマリマセンね。 ファイル 18-7.jpg  それなりのPCスペックでないと負荷がかかりすぎると思うので需要があるかはわかりませんが、完成したら台車単体で素材として配布する予定です。最初からひとつのパーツであることを意識して作りましたので、CreateMeshBuilderは一つだけ。Translate構文ひとつで全体が移動するので、車体に合わせて位置を調整するのが楽チンです。デメリットはパーツ単位で削除しての軽量化や改造ががほぼ不可能なこと。  他形式が欲しい方はご自身で作っていただくしかありませんが、データ内に実物のパーツ名を(正確じゃないかもしれませんが)コメントアウトで記入していますので、「この部分はどうやって作ってるんだろう?」といった感じで参考にしていただけると良いのではないかと思います。  テクスチャは各パーツの画像を集合体にしたものが1枚だけです。まだ空白部がありますが、車輪やブレーキ装置などの画像を放り込みます。上の119系に組み込んだ画像では、車体の明度と合わせるためにSetcolorで少し暗めにしていますが、元のテクスチャは応用が利くように明るく・彩度も高めに設定しています。載せる車体の色あいに合わせて調整して下さい。  データ配布時のガイドラインはまだ考えていませんが、こういうのが一番メンドクサイですね。飯田線のデータも一時的であれ永続的であれ、複数の方のデータをお借りして成り立っているからには、こちらもそれにお応えして「好きなように使って下さい」と言いたいところなんですが、昨今のBVE界を見ていると、時間をかけて作った愛着のあるデータを「どんな使い方をされても」黙っていられるほど私の心も広くないわけで、何らかの制限は必要だろうと思います。  個人々々で組み込んで遊んでいただく分には何の問題も無いわけですが、例えば自作の車体に組み込んでストラクチャを配布する場合などの二次配布の可否、条件とか、そのあたりが悩みどころです。

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