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飯島駅周辺の精密化作業

 やはりクオリティというのは、全体を通して安定していないと落ち着かないもので、力を入れた七久保を先に見てしまうと、次々駅の飯島が簡素に見えてしまうという、恐怖のループに陥っています。  飯島駅はこのあたりの地方行政を司る飯島町(いいじままち)の中心部にあり、商業的にも七久保よりは栄えています。そういった背景があることや、馬刺しが美味かったなぁ・・・と愛着も出てきたところで、駅周辺のグレードアップを図りました。 ■飯島公民館 ファイル 30-1.jpg  まずは駅の右側(東側)に見える飯島公民館を製作。以前は大型倉庫のような汎用ストラクチャを置いて誤魔化していましたが、非常に特徴のある建物ですから、ちゃんと再現できていないことが引っかかっていたものです。  地方の公民館にしては分不相応なほど立派な施設ですが、何層にも重ねられた屋根を破綻無く纏め上げた秀逸なデザインで、どなたが設計されたのか興味が湧きます。右手の屋外階段だけはもう少し何とかならなかったのか?とも思いますが、法令の問題でしょうか。  線路際すぐではなく、少し奥まったところに建っていますので、建物の規模の割にはテクスチャサイズは控えめ、頂点数も汎用住宅に比べると大人しい作りになっています。ですので、実際の製作作業は比較的短時間で終わったのですが、壁と屋根、相互の位置関係を写真から読み取るのに時間がかかりました。 ファイル 30-2.jpg  実際に配置してみると、この程度の解像度ではかなり小さくなってしまいますね。運転台から見ると、線路際の樹木や小屋の間から、見えたり見えなかったりといった具合で、チラチラもどかしく見えてくれます。静止画だと1枚で全体を把握できる絵が作りにくいので、少し右手に振ってスクリーンショットを撮っています。  この画像ではわかりにくいですが、公民館のストラクチャがちゃんとしたことで、中央の倉庫(現在は何かの工場?)との高低差を含めた位置関係、手前の駐車場も再現することができ、現地をご存じの方でも違和感のない仕上がりになっていると思います。 ■JA上伊那飯島 ファイル 30-3.jpg  地方の中核駅の前には必ずと言って良いほど存在するのが農協。飯島駅前にも二棟の農協関連施設が建っています。画像は飯島駅の辰野側、旧貨物ホームから西側を見たところです。  左手奥のレンガ色の建物は、農協のスーパーであるA・コープ、中央奥に見えるのは旧館の転用でしょうか、JAバンクとなっています。まずA・コープの方は、駅舎や信通機器室に隠れてチラチラとしか見えませんので、板オブジェクトに毛の生えた程度の立体造形で済ませました。むしろメインは屋上の広告塔で、こういうオブジェクトの存在が生活感というか、独特のリアリティを演出してくれます。 ファイル 30-4.jpg  JAバンクの方は典型的な戦後の公共建築。手すりや欄干を設けたバルコニー(なんて洒落た言い方は似合いませんね)をぐるりと巻いたコンクリート建築は、役所をはじめとした公共施設や、鉄道の詰所など、全国何処へ行っても嫌と言うほど見られましたが、このところ急激に数を減らしているように思います。  こちらは運転台から見てもA・コープより見える時間が長く、また板ストラクチャでは手すり部分を自然に再現することが出来ませんでしたので、簡単にではありますが立体化率が高くなっています。  透過テクスチャを併用すれば楽なのですが、IM0.5版では多くのビデオカードにて縁の処理に不具合があります。これが解決するまでは透過テクスチャを極力使わない方向で行きたいと思います。 ■ホームをグニャグニャさせてみる  二つ前の画像でお気付きの方がいらっしゃるかもしれませんが、旧貨物ホーム、およびそれに付属するストラクチャも新規に作り直しました。ホーム高さは旅客ホームと同一ですが、電機機関車の乗降に合わせてか、前方部が一段高くなっているのが特徴です。  この部分の再リニューアルでは、テクスチャ品質の向上と小物類の設置を行いましたが、もうひとつ実験的に、ホームの寸法狂いを再現してみました。 ファイル 30-5.jpg  近代的なコンクリートや鉄骨で組まれたプラットホームは、まるでCGのように一直線に見える物も少なくありませんが、古い石積みのホームを実際に見てみると、思った以上にグニャグニャ曲がっているのです。  データ上での狂いは、長さ5mあたりの高さ誤差が3~5cmといったところで、注意して見ないと、または左の画像のように、視点を近付けなくては分からない程度です。しかし、この「分かるような、分からないような」が重要で、パッと見でグニャグニャしているようではやり過ぎ、わざとらしくて不自然になります。  以前からホームを作る時にテクスチャやら小物やら、色々工夫をしてみるものの、何かリアリティが足りない・・・と悩んでいたのですが、どうやらスパーンと一直線に見えるオブジェクトが原因だったようです。以前から「手すりや柵はグニャグニャ曲げた方が・・・」と自分で繰り返し書いておきながら、それをホームにも適用するように思いつかなかったのは、チョット呆れますね。  まぁ気を取り直して、今後製作するホームは可能な限り、グニャグニャさせて行こうと思います。ただし頂点数が25mのオブジェクトなら約5倍、私の場合はホームの端から端まで一つのオブジェクトで作りますので、4両用ホームでは約15倍になってしまい、万人にオススメできる技法ではありませんね。  最初から重量級路線として割り切り、ロースペックPCユーザーを切り捨ててしまえるのであれば、こうした作り込みもアリだと思います。 ■地元の方、いらっしゃいます?  JAバンクの更に先、現在は八十二銀行が建っているところですが、再開発前の景色をご存じの方、写真をお持ちの方、いらっしゃいませんでしょうか? 飯島図書館で郷土史を読んだり、周囲で少し聞き込みをしてみたのですが、これと言った資料が得られませんでした。  現在の限られた資料から判断するに、現八十二銀行とよく似た、切妻二階建て・平入りの蔵っぽい造りの建物があったように思えるのですが、もし詳しい資料・証言がございましたらコメント、メールでご提供下さいませ。  特にお礼はできませんが・・・、配布の際にはよりリアルなデータをお渡しできる、ということでお願いします。

ブログ化しました

 書き始めた当初は頻繁に更新する気も無く、縦長の1ページに無理矢理収めてきましたが、だんだんボリュームが増えて見難くくなってきましたので、本日よりブログに移行することにしました。記事のカテゴリ分け、過去記事の検索もできますので、以前より見やすく、使いやすくなったのではないかと思います。  元々ブログってあまり好きじゃなかったんですよね。広告だらけで見にくかったり、(疎い私にとっては)よく分からない機能がいっぱい付いていたり、閲覧者に評価を求めるボタンがあったり・・・、必要以上に横の繋がりを要求する雰囲気も苦手で、「面倒臭そうだなぁ」というのが正直なところでした。  なので、折衷案としてフリーのcgiをカスタムして設置。おかげでスッキリ、機能も必要最低限しかありません。本当はコメント欄やトラックバックも要らないかな? とも思ったのですが、まぁしばらくは様子見で。データ製作の時間すら割かれるようでは本末転倒ですので、「管理しきれない」と思ったらカットしちゃいます。  まったくの余談ですが、アナログ人間を標榜する身なので、最近のネット関連技術には付いていけませんね。ブログもそうですが、mixiとかtwitterとか? そもそも携帯電話すら持ってない私には、縁の無い世界の話です。  画像編集なども含めて、私のデジタル技術は基本的に10年くらい前から進歩しておらず、WEBページに至ってはタグ手打ちでフレームとテーブルを組み合わせ、無理矢理レイアウトしていた時代の人間です。従来公開してきたページも、恥ずかしながらその延長にあったわけですが、当ブログより完全なcssレイアウトに移行できた“はず”で、コレに関しては良い機会だったと思います。  しかし、BVEのように上位互換であったり、コンバーターがあったりすれば有り難いのですが、「廃止タグ」なんて話が出てくると、たまったもんじゃありませんね。いつまでぶら下がって行けることやら・・・。  まだ体裁を決められていなので、現在オブジェクトのダウンロードは休止中です。折を見て復活させますので、しばしのお待ちを。  また、実際に稼働してみないと発見できないトラブルや、ブラウズ環境の違いによる不具合、その他諸々の問題が発生する可能性もありますので、発見された方はコメント欄にでも書いていただけると、(私のできる範囲で)改善いたします。

169系を作ってみる

ファイル 28-1.jpg  さて、せっかく素材を撮り集めてきましたので、急ぐものではありませんが169系の製作に取りかかってみます。テクスチャの製作で一番手間のかかりそうなところは窓まわりですが、まず169系と115系の窓をよく観察してみましょう。  左が169系、右が115系、一見して似て非なるモノであることが分かりますね。一番目立つところはサッシの奥行きで、これは急行型が上段下降/下段上昇窓を採用しているのに対し、近郊型では上段上昇/下段上昇窓となっているからです。近郊型の窓は上昇させた時に幕板の中に収まりますから、サッシは車体外板(と、その補強部材)より引っ込んでなくてはならないわけですね。対して急行型の場合、上段が下降するので窓サッシがどの位置にあろうとユニット窓枠の内側で完結しており、車体外板とサッシをほぼツライチに配置することができるのです。  見た目は急行型の上段下降・下段上昇窓の方が凹凸が少なくて綺麗ですし、製造工程も車体側に穴を設ける必要がないので簡単そうに思いますが、その構造上、窓は目一杯開けても半開が限度です。対して通勤・近郊型の上下上昇窓は全開にすることが出来、優等列車以外では当たり前だった非冷房車には重宝されたわけですね。  ちなみに通勤型・近郊型でも幕板部に空間の取れない方向幕の直下にある窓は、上段下降・下段上昇窓が使用されていますが、デザインを統一するために奥行きのある窓枠構造になっています。このあたり、よ~く観察してみると当時の設計思想や妥協点が読み取れてナカナカ面白いですね。 ファイル 28-2.jpg  さて、115系の窓まわりを改変して169系に化かすには、奥行きを減らす・上段窓用の窓受けを削除し、下降用のレールを付ける・窓枠の四方にR装飾を付ける・サッシの取っ手削除と太さ調整・・・、まぁだいたいこんなものかな? と予定していました。ところが、実際にしなの鉄道で撮ってきた169系の写真を見ていると、単色無彩色の窓まわりですから、色調を調整するだけでそのまま使えるんじゃないか? と思いつき、さっそく範囲選択をかけてトーンカーブを弄ってみました。  本番用の画像ではありませんが、分かりやすいので先ほどの画像をWEB用に編集しています。169系の画像と115系の画像はレイヤーで分けていますので、115系の色に近づけるように169系の色を調整してみます。するとアラマァ、いとも簡単に同じ色になってくれるではありませんか。ディテールをアレコレ弄るより、よほど楽な作業ができそうです。 ファイル 28-3.jpg  では本番、とりあえず楽そうなモハから作っていきましょうか。1両分の窓と車体に必要な画像をそれぞれ数枚ずつ、適当(そこそこ適切にの意、いい加減じゃなくて)に切り出して、遠近/縦横比を変形調整して並べたところです。全体の色調調整や繋ぎ目の処理はまだこれからですが、まぁなんとかなりそうな感じですね。この画像では縮小表示して全体を収めるようにしていますが、先日の記事にも書きました様に、編集中は画像解像度を高く保ったまま作業しており横幅は窓画像が約3000ピクセル、車体の方は約6000ピクセルとなっています。作業開始時に特定の画像サイズを決めているわけではなく、撮影した画像を原寸のまま繋げていったらこうなった・・・というだけのこと。  全ての条件を満たす画像を都合良く切り出せるわけではありませんので、札受けやドアエンジンのハッチ、形式番号などの細かいディテールが要らぬところに散らばったままですが、後から画像処理で消せるので気にせず使います。 ファイル 28-4.jpg  窓・車体の画像はそれぞれ違う写真から切り出した数枚の画像を並べていますので明度/彩度がバラバラ。そのあたりを調整してからレイヤーを結合し、更に継ぎ目をスタンプツールなどで馴染ませて一体感を出します。ついでにこの時サボ受けなどの不要なディテールも消し、また車体裾の絞りによりナナメになった腰板部分の歪みも修正。  窓・車体それぞれが1枚の画像として見られるレベルに完成すれば、最後に車体画像の上に窓画像をレイヤーとして載せ、サイズを調整、ふたつ前の画像と同様に窓まわりを範囲選択し、トーンカーブをいじって塗色を合わせます。 ファイル 28-5.jpg  さて、窓まわりが一段落しましたので、次はドアを作りましょう。しなの鉄道色と新長野色はドアの塗り分けが全然違いますので、115系新長野色の画像をベースに作ることにします。  まずは115系からちょうど良いドア画像を切り出し、遠近による歪み、車体裾の絞りによる歪みを補正します。次にドア中央部を削除し、前後を繋ぎ合わせて1枚物のドアにします。細部を見ていきますが、車体側に設けられたローラーが接触するステンレス製のガイドが窓下に貼り付けられていますから、ローラーと一緒に169系の画像から切り出して移植合成、色調や影などを調整します。ドア窓ですが、115系だと中に乗客が立っていたりポール類が見えていたりとゴチャゴチャしていますが、デッキ付きの169系はドア部の室内がスッキリしていないとおかしいので、窓部をHゴムごと169系の画像から移植して調整、これでようやく完成です。ただし、開閉方向が逆のドアは見た目も変わりますので、もう一種類用意しておく必要があります。 ファイル 28-6.jpg  完成したドアをはじめ、戸袋窓やトイレ窓、その他諸々の細かいディテールを配置し、色調を整えればとりあえずは完成です。ちなみにサボ受けなど一部のパーツは、先日帰路に北陸本線で撮影した457系の画像からも転用しました。案の定、帯以外はアイボリー一色なので色調整が簡単でした。各パーツの位置は目分量で結構適当。模型や図面のように真正面から厳密に見るようなモノではありませんから、そんなに気を遣う必要はないでしょう。  レイヤーを結合し、所定の解像度で保存(とりあえず1024x512ピクセルにしました)、あとはモデリングデータに作成したテクスチャを貼り付け、実際に路線データ上に配置してみて周囲との明るさ、色のバランスを整えれば最終完成です。今回はまだモデリングデータを作っていませんので、車輌ストラクチャで有名な「RON'S BVE」さんの115系データをお借りし(いつもお世話になっております!)、試験的にテクスチャを貼り替えてみました。 ファイル 28-7.jpg  テクスチャはモハしか出来ていませんのでポツンと寂しい絵になってしまいますが、駒ヶ根駅に置いてみました。モデリングデータは115系のままですから床下・屋上機器の姿が違うわけですが、あくまで雰囲気テストということで・・・。  各パーツの位置や寸法に要調整な部分も散見されるものの、概ねソレっぽくは出来ましたね。車体の明るさも日陰方向なのでこんなものでしょう。例外なくナナメ方向から撮影した写真をベースにしているので、凹凸部の立体感もそれなりに表現できています。OpenBVEで色んな方向から見たい・・・という場合は違和感を感じる角度も発生してしまいますが、基本は本家BVEで交換列車などに使用するモノですから、運転台から見てリアルに見えることを第一優先にしたいものです。  今回は珍しく作成手順を追って解説してみましたが、「現物が無い物を工夫して写真化する」ご提案?というか、まぁこんな作り方もアリますよ、ということで、テクスチャ素材が手に入らず困っている方のご参考になればと書き綴ってみました。建物は見た目が多種多様で、まったくそのものを合成で作るのはナカナカ難しいと思いますが、車輌に関してはかなりの割合ででっち上げることが可能です。とっくの昔に引退したアノ列車を再現したい! という方。似たような配色、似たような構造の車輌を探し出し、あの手この手で切り貼りしてみてはいかがでしょうか?  さて、残りのクハ・クモハとモハの裏側はまた気が向いた時に作ります。モデリングもイチからやりたいと考えていますが、今は線路周りの建物を優先して製作したいので、車輌オブジェクトを完成させて配布できるようになるのは随分先になります。ま、例によって気長~に(以下略)

169系に乗る・撮る!

ファイル 27-1.jpg  先日信州から帰ったばかりですが、またもや上田市@長野県に滞在中です。9/7の朝に大阪を出発し、豊橋からは先日と同じく飯田線の519M列車に乗車。主な目的は、飯田線臭とでもいいましょうか、飯田線ならではの空気感のようなものを身に染み込ませること。それから119系について先日は撮れなかった側の床下機器他、いくつかの補足資料を撮影することにしました。  飯田からは1本遅らせて115系東日本車に乗り換え。こいつは119系と違ってまだ窓を開けることができるんです。もちろん冷房が入っているため、他の方への迷惑を最小限に抑えるよう車両後部のボックスに陣取り、車掌に断りを入れ、要所要所で窓を開けて沿線風景を撮影しました。7月末に車/徒歩で撮影した際は、道路の併走していない部分は撮れませんでしたので、これでようやく網羅できたのではないかと思います。画像は田切のΩカーブにて。  辰野からは大八廻りで塩尻へ抜け、篠ノ井線からしなの鉄道線に乗り換え、夜になってようやく上田に到着。ここを拠点にしなの鉄道の169系を取材することにしました。 ファイル 27-2.jpg  ところが皆様ご存知のように翌8日は台風が信越地域を直撃しまして、朝から晩まで雨、雨、雨。しかもお目当ての169系は3連4本のうち3本が検査入場で不在という運の無さ(うち1本は湘南色に塗り替え中)で、運用激減。そして残る1本も戸倉の電留線で寝ているところを撮ろうと行ってみると、代走の 189系が手前に留置されていて、169系は顔しか見えない状態という・・・。  そんなこんなで8日の撮影はあきらめて温泉で浮いてました(不貞寝ともいう)。「もしやこのまま手ぶらで帰ることになるのか?」と憂鬱になりましたが、翌9日は朝から3連並結、堂々の9両編成が快速「しなのサンライズ」として姿を現し、胸を撫で下ろすことができました。 ファイル 27-3.jpg  ところで皆様は165/169系といえばどのような記憶が蘇るでしょうか? 私より上の世代の方ですと急行列車華やかりし頃の本来の姿をご存知の方も多いでしょうか。逆に下の世代ともなると、169系に乗ったことがない方も少なくないでしょう。で、私の世代(阪急6300系世代)としては、中央西線や紀勢線の長距離鈍行列車のイメージが強いですね。たいして利用客もいないのに長大編成で、ボックスひとつ貸切どころか、車輌1両独り占め・・・なんてこともよくありました。旅情たっぷりでしたが・・・マァ良くも悪くも国鉄が色濃く残る時代でありました。  もっとも、しなの鉄道所属の169系は飯田線の快速「みすず」に使用されていた車両そのもので、座席は0系新幹線発生品のリクライニングシートに換装されています。ただ残念なことに私は169系時代のみすずに乗ったことが無く、どちらかというと「ムーンライトえちご」のイメージがしっくり来るでしょうか。隙間風は入ったけど、今の183系より快適だったと記憶しています。まぁそんな思い出もよぎらせながら、MT54の爆音を楽しみつつ長野へ向かいます。「サンライズ」は上田から長野はノンストップで30分強、嗚呼、急行列車ここに健在なり。 ファイル 27-4.jpg  さて、ようやく本題ですが、なんでわざわざ169系を追いかけて長野くんだりまでやって来たかと言いますと、先日撮り集めた115系長野色の写真を加工して169系をオブジェクト化すると書きましたが、その下半身となる材料を撮るためです。115系と169系じゃ床下機器がぜんぜん違うのはもちろん、北陸の交直車で代用しようかなどとも思ったのですが、正確性に疑問があると完成してからもモヤモヤしそうでしたので、時間と金はかかってしまいますが現物を撮りにやって来たわけです。  床下の画像も車体と同様、まず全体の配列を確認するため1両の端から端までを収めて数カット撮影します。次に機器を個別に斜め前から・真横から・斜め後ろから・・・といった具合に撮影し、これを3両分、さらに左右両面を撮る必要があります。だいたい片面3両分を撮るのに20分くらい欲しいのですが、問題なのはそれだけの長時間停車があるかどうか、更に片側は必ずホームで見えないので複数の駅で撮り分ける必要があることです。  今回は時刻表と行路表、各駅で調べた発着番線のメモ、そして各駅の構内配置図を照らし合わせて検討し、「しなのサンライズ」始発駅の小諸で送り込み回送~発車の間に山側を、長野駅の折り返し待ち30分は山側の予備時間、最後に車両区のある戸倉で編成分割・引き上げ準備の間に川側をみっちり撮影、朝の3時間だけで満足の行く資料が揃いました。各駅とも余った時間は屋上機器や窓まわりなどのディテールも適宜撮影し、また乗車中は停車時に運転台まわりの写真を撮りまくります。 ■長野電鉄特急「ゆけむり」に乗る ファイル 27-5.jpg  愛しの169系ですが、戸倉に入区すると189系に隠れて見えなくなってしまいますので、夕方までは長野電鉄の「ゆけむり」号に乗るなど、時間を潰すことにしました。  「ゆけむり」って何ぞや? って、要は小田急HiSE車なわけですが、実はワタクシ小田急ロマンスカーって一度も乗ったことが無いんですよ。箱根に行ったのは小田原まで箱根登山鉄道が来てた時代でしたし、そういえば大井川でSE車を見た記憶がありますが、既に千頭の留置線で錆にまみれておりました。そんなわけで初ロマンスカーとなる「ゆけむり」号。長野から湯田中まで約40分程度の行程ですが、もう楽しみで楽しみで。乗車券の他にたった100円の特急券を購入し、大人気なく発車の40分くらい前から改札前に並んで乗車を待ちました。だって展望席も自由席なんですもの。 ファイル 27-6.jpg  地方私鉄にしては頑張り過ぎな、昭和の香り漂う地下長野駅を出てしばらく、地下区間を抜けると、これは・・・、ヤバイ! 何がヤバイって、まるで気分はBVE!(いやそれは本末転倒だ)  アホほど並んだ甲斐あって好きな座席を選べたのですが、当然運転席を意識して左の通路側に座りました。車掌側からかぶりつける列車は多くありますが、この位置に座ることはなかなかできません。しかも視界に運転士が存在しませんので、まさに運転士気分。コレで他に誰もいなかったら指差喚呼とかしてしまいそうな勢いですよ。もちろん小田急式で(横文字っぽい発音で叫ぶように)。  いやはや、4連に短縮されたとはいえイイ車両ですね、HiSE。恐れ入りました。次は成田のアレが入線するんでしたっけ、観光路線にはどうかな~? ■木造駅舎めぐり ファイル 27-7.jpg  湯田中という駅名からもお分かりのように、終点は温泉地です。駅の横の入浴施設「楓の湯」でひとっ風呂浴びた後は、復路も長野まで「ゆけむり」号を堪能しました。まだ時間に余裕があるのでまた須坂まで逆戻りして、今度は屋代線を訪問。この沿線には古い木造駅舎がいくつか残っていますので、テクスチャ材料として撮影しておきます。写真は大本営で有名な松代駅。非常にオーソドックスなスタイルの駅舎ですから、素材としての汎用性も高くなりますね。  ファイル 27-8.jpg  飯田線でもここ数年で木造駅舎が取り壊され、コンクリの待合室に変わった駅がいくつもありますが、木造時代の駅舎を再現するためにはある程度材料が必要になります。  車両ストラクチャの話と被りますが、現物の鮮明なカラー写真があればそれに越したことはありませんが、なかなか思うような角度のものは無いものです。ですから現物の写真をベースに足りないディテールを他から持ってきて補うとか、それすら無理ならイチから描き起こすとか、いろいろ手をかけなくてはいけません。  しかし描き起こすといってもホントにイチからではあまりに大変&難易度が高すぎます。ですから、柱・扉・窓枠・白壁・板壁などといったパーツ単位の素材を沢山ストックしておくと、それらを切り貼りして調整するだけで実写さながらのテクスチャを作ることも可能なわけです。たとえば窓枠。このガラスに反射した風景を自力で描ける人はなかなかの画家ですよ。これも撮影する角度を少しずつ変えると、建物の中が透けて見えたり、鏡のように反対側の景色が映りこんだり、空が映るように工夫すればガラス部分を白く飛ばすこともできます。素材は質も重要ですが、とにかく量! いろんなパターンを集めておいて損はありません。 ■戸倉国民温泉 ファイル 27-9.jpg  屋代からはしなの鉄道線に乗り換え、車両区のある戸倉駅へ。長野市をぐるっと一周してくると、ちょうど夕方の大量輸送に備えて借りモノの189系が出区し、後ろの165系が見えるタイミング・・・という按排です。朝にさんざん撮ってはいますが、遠方まで来て撮り残しがあったでは洒落になりませんから、もう一通り軽く流して撮っておきます。朝夕の薄暗い時間帯に床下を撮るとシャッタースピードが遅くなってブレてしまいますが、こういう時は一脚が便利です。ホームに人は少ないですが、構内での三脚使用はマナー的によろしくありませんので・・・。  で、撮影後は信州に来る前から気になっていた「戸倉国民温泉」へ。戸倉駅から歩いて15分ほど、大層な名前ですが、いわゆる大衆浴場の類です。戸倉は昔から有名な温泉地ですが、メインは川向こうの「戸倉上山田温泉」で、ホテル・旅館が温泉街を形成しています。対して川の手前の住宅地にある国民温泉はいかにも地元の人のための温泉で、一回300円とリーズナブル。ただしシャンプーや石鹸、タオルなどは持参する必要があります。  で、安いだけが取り柄なのか?というとトンデモナイ。お湯は豊富な湯量の源泉からの掛け流しで、湯船からは常にお湯が溢れています。またシャワーやカランから出るお湯もすべて温泉そのままで、加水や消毒などは一切されていない、本当に純粋な温泉なのです。適度にトロミのあるお湯は肌の弱い私にもピッタリで、湯上り後もシットリ、かつサッパリ。もうすぐ湘南色の169系も走りますし、しなの鉄道の撮影に行かれて「どこかで風呂にでも・・・」という方、オススメノ温泉です。  さて、本日10日が青春18きっぷの最終日ですので、この日のうちに帰阪します。直江津経由で北陸線に乗り、一応補足資料として急行型の交直車を撮っておこうかと思います。車体が白ベースなので、新長野色に化かすのも楽そうですし。あとは・・・金沢でチャンピオンカレーでも食べるか。

碓井峠 鉄道文化むら

ファイル 26-1.jpg  29日は横軽周辺にて取材活動。その日のうちに甲府まで移動して宿泊、30日は朝から中央西線経由でひたすら西進して帰阪しました。  レンタカーを軽井沢で返却ついでに、旧軽井沢駅記念館にて旧しなの鉄道のマルタイをみっちり撮影し、その後はバスで横川へ。主ミッションは「碓氷峠鉄道文化むら」でEF58の資料収集です。BVEストラクチャのテクスチャ素材として、いつか作ろうと詰んである1/50スケールのプラモデルの資料として・・・、ありとあらゆる角度で撮影しておきました。後ろに繋げて10系客車が並べられているのはニクイ演出ですね。20系や24系ほどの華はありませんが、「夜行急行」なんて哀愁漂う雰囲気が大好きな車両です。当時としては慣れない軽量設計ゆえに耐久性が乏しく、今となっては現物を見られる機会がほとんど無いのが残念です。 ファイル 26-2.jpg  昼食はおぎのやの「峠の釜飯」、基本中の基本ですね。園内に保存されているお座敷客車「くつろぎ」の車内でいただきました。微妙~に冷房が効いているので、山中とはいえ猛暑と評判の群馬県ですから助かります。  食後は思うところあってクハ189の運転台を撮影したり採寸したり。外装は国鉄特急色にお色直しされていますが、運転台まわりはかなりくたびれています。後から思えば、故障中のシミュレータ(実車運転台を使用したモノ)を見せてもらうよう頼んだ方が良かったかも・・・。お子様達に混じって部品の写真を撮ったりメモを取ったり、客観的に見れば珍妙な光景だったことでしょう。 ファイル 26-3.jpg しかしこの鉄道文化むら、展示車両の多くは客室内や運転室に入れるように整備されているため、じっくり見て回るとまる一日かかりそうですね。大宮に行くよりも濃い一日が楽しめるように思えます。しかし今回は取材メインであり、かつ碓井第三橋梁の見学もしたかったので、他の車両はまたの機会にして切り上げ、信越旧々線を遊歩道化した「アプトの道」を歩きました。往復10kmのハイキングですが、炎天下の下を延々と続く66.7‰の急勾配は徒歩でもキツく、ホントにこんな坂を列車が走っていたの?と疑ってしまうほど。歩きには自信がある方だったのですが、第三橋梁、通称めがね橋に到着する頃にはヘロヘロに。  撮影時はグロッキー状態でしたが、帰路は下りなので割と楽チン。途中の温泉施設「峠の湯」でひとっ風呂浴び、涼しくなる夕方まで時間をつぶしてから横川へ戻りました。横川からの帰路は「時刻表を見ずにどこまで行けるか」的なお遊びで、高崎から八高線経由で中央本線へ、23:30に甲府へ到着しました。最終の小淵沢行きがありましたが、宿も無いところで立ち往生する可能性大でしたので、甲府で一泊することにしました。 ■テクスチャ素材としての写真撮影 ファイル 26-4.jpg ▼ 画像をドラッグすると移動、クリックで拡大表示を終了します。 翌日は塩尻経由で中央西線へ、名古屋から東海道本線で帰阪しました。中央東線の普通列車はほとんどが新長野色の115系で運用されていますが、特急待避の長時間停車が何度かありましたので、テクスチャ用の写真を山ほど撮っておきました。個人的には信州らしく爽やかなこの塗色が気に入っているのですが、好き嫌いが分かれるようですね。  製作中のBVE飯田線は169系で快速「みすず」が運用されていた時代ですので115系は不要なのですが、169系の鮮明な写真が手持ちにありませんので、115系をベースに作ることにします。165/169系と115系、兄弟車ではありますが側面はもちろん、前面もよく見ると細かな差異がありまして、そのあたりは画像処理で何とかしなくてはなりませんね。  何を作る場合でも、現物の鮮明かつ理想的な角度で撮られた写真が残っているのなら、それに超したことはないのですが、そうでなければ現物とはいえ不鮮明なものや立体感ない写真を使うよりも、類似する何かを理想的な条件で撮影し、それをベースに工夫して作った方が結果的には高品質な物を作ることができます。  今回は旅日記状態でBVE的話題がほとんどありませんので、最後にテクスチャ素材の撮影について少し書いてみます。  鉄道写真を沢山ストックしているからといってBVEのテクスチャ素材に困らないかというとそうではなく、むしろそのまま使える写真というのはほとんどありません。光線や陰影の具合や時代設定についてはこれまでも書きましたが、一番重要なのは写真を撮る角度。できるだけ運転台から見た角度に近い角度で撮影しないと、意図した立体感が出せません。列車の場合はナナメ方向から撮影した写真も少なくないと思いますが、遠近で像が小さくなる後半部がテクスチャとして使用に耐える解像度を持っているかというと、まぁだいたいダメでしょう。テクスチャ画像は、テクスチャ画像用に撮影することが望ましいわけです。  上の画像は分解写真・・・ではなく、車輌1両分のテクスチャ素材です。当然ここでは縮小していますが、元画像の解像度は1枚あたり3008x2000ドットで、単にこれは私のカメラの上限値です。メモリも安くなりましたから、こんなところでケチっても仕方ありません。  車体が白いのでディテールを飛ばさないようアンダー気味で撮影。逆に床下を撮る場合はオーバー気味でないとディテールが潰れます。肉眼より遥かにダイナミックレンジの狭いデジタルカメラで車体と床下を同時に撮るのは自殺行為なので、手間はかかりますが別々に撮りましょう。もっとも今回は169系への転用を前提とした撮影ですので、115系の床下は不要。撮影はしていません。  立体感を出すコツは、常に列車に対してナナメにカメラを向け、そのまま列車と並行に移動するように撮影します。まぁ何分割するかは要求される解像度次第で、BVE程度ならここまで細分化する必要な無いとも思うのですが、レンズの歪みによる寸法の狂いを最小限にするためや、遠近による歪みを補正して繋ぎ合わせる際の画質の劣化を最小限に抑えるため、このような撮り方になっています。実際に編集作業をしてみると半分くらいしか使わなかった、なんてこともありますが、まぁ残りは保険というか、精神衛生上の問題ですね。  あとはPhotoshopなど、それぞれ使い慣れたツールで合体させ、色合いを整え、最後の最後に画像サイズを縮小して完成です。「窓やドアを毎回撮影せずに、形は同じなんだから使い回せばいいのでは?」と思われるかもしれませんが、微妙な反射やブラインド、車内の様子がそれぞれ微妙に違います。ひとつの画像を使い回すと「繰り返し感」が出てしまいますので、できるだけ車輌の端から端までを撮影して一枚に繋げるようにします。  駅舎などの横に長い建物も基本的には同じ。差し掛け屋根の柱や吊り下げ看板の類が壁面の前にあって邪魔になる場合は、微妙に位置をずらせて数枚撮影し、「写らないところが無いように」カバーします。小さな建物ですと数枚に分割して撮ることはありませんが、運転台からの位置を意識してナナメから撮影するのは同じです。  こういうのは動画で作業しながら解説した方が分かりやすそうですが、はてさて次の動画はいつになりますことやら? 小町屋周辺の空き地がまだまだ目立ちます。

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