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Yポイント完成

 先日より製作していました両開き分岐器が完成しました。参考になるか分かりませんが、テクスチャの製作過程を解説してみます。 ファイル 43-1.jpg  前回掲載したのはレールだけの状態でしたが、道床を作り、レールにテクスチャを貼りました。道床を含め頂点は、Illustrator上で作図したものから頂点座標を読み取り、それを適宜四捨五入してテキストエディタで打ち込みます。レールは全長25mですので、長手方向は分かりやすく2.5m刻みで。ただし直線部やカーブの緩いところは間引いて、作業時間と頂点数を軽減しています。  中央に一列並んだ8つの頂点は一見不必要に思えますが、テクスチャの貼り付け位置を微調整するのに便利なのです。 ファイル 43-2.jpg  前回も書きましたように、現在の飯田線内では木枕木の両開き分岐が撮影できませんでしたので、関西本線で撮影した写真からテクスチャを起こします。  撮影は走行中の車内から。要求解像度・レンズによる歪み・合焦範囲を考えると写真1枚でテクスチャを作るのは難しく、数枚に分割して撮影し、あとで合成します。高速シャッターで連写できるカメラなら1つのポイントで材料を揃えることが出来そうですが、生憎ウチのエントリー機ではデータ書き込みのタイムラグで追いつきません。数カ所で撮影した素材の中から影の方向や開通方向、色味などを吟味して、使いやすそうな写真を3枚選びました。 ファイル 43-3.jpg  それぞれ切り接ぎしても目立たないところで切り出して並べ、大雑把に遠近の歪みを修整したところです。直線レールが含まれていれば、レールを平行にすれば全体の遠近も自ずと適正になるのですが、両開きの場合は基準になる場所がありませんので、まずは勘で適当に・・・。レール踏面は最終的に錆色で塗りつぶしますが、この段階では位置合わせの基準にするため、銀色のまま残しておきます。 ファイル 43-4.jpg  ゴチャゴチャして見難くなっていますが、先述のIllustratorで書き起こした略図を画像上にペーストし、図上のレールを基準に画像の位置合わせを行います。画像全体を変形させただけでは完全に合致しませんので、部分的に選択しては変形させ、少しずつ近付けて行きます。  画像データは何度も変形を繰り返すと確実に画質が劣化しますので、車両テクスチャの製作と同様、できるだけ高い解像度で作業し、最後に適正サイズに縮小するようにしましょう。 ファイル 43-5.jpg  テクスチャの調整が完了したら、モデリングデータに貼り付けます。3Dモデルもテクスチャも同じ図を元に作っていますから、この時点で大きな誤差は出ないはずです。  しかし、それでも画像のようにレールの位置が微妙にズレていたりしますね。頂点に対してのテクスチャ貼り付け位置を微調整して近付けますが、どうしても調整できない場所が出てきます。例えば開通側(左)手前のレール周辺を見ると、左のレールに対してテクスチャが外側に寄っていますので、もう少し内に入れたいところですが、そうすると既にズレている右側レールのテクスチャが更に大きくズレることになってしまいます。アチラを立てればコチラが立たず・・・。 ファイル 43-6.jpg  これ以上csvデータ上で貼り付け位置を調整するのは無理ですので、次はテクスチャ画像を弄っていきます。コピー&ペーストや変形ツールを使い、レールの位置を微妙に移動させ、少し動かしてはviewerで変化を確認・・・を繰り返し、ジワジワと現物合わせ。  同時にレール下部と犬釘の表現を描き込んだり、日光の向きを考えつつ影を描き込んだり、諸々のディテールを加えます。時々路線データに組み込んだ状態でもチェックし、周囲のレールやcrackと比較して、画像の明度・彩度・コントラストも調整しておきましょう。地味な部分ですが、影の濃さが周囲と違うだけでも違和感が発生し、トーンカーブをちょびっと動かすだけでも印象が変わるのは怖いですね。 ファイル 43-7.jpg  数時間の作業を経てようやく完成。色調、立体感ともに破綻無く纏まっていると思います。  ガードレールの間にあるつっかえ棒の様なものは、ゲージストラット。列車通過時の横圧により軌間が狂うのを防止する、まぁ突っ張り棒のようなものです。分岐角の大きな急曲線の分岐器によく装備されており、飯田線ではかなりの確率で見ることが出来ます。前作の片開き分岐器ではこれを立体化していましたが、目立たないので今回はテクスチャの表現に留めました。  私個人の問題ですが、ストラクチャ単体を睨むようにして作り込んでいると、「木を見て森を見ず」というか、むしろ葉っぱの葉脈すら探すように気にしてしまうきらいがありますので、時々路線に組み込んで全体を眺め、目立つところ・目立たないところの妥協ポイントを探るよう心掛けなくてはなりません。 ファイル 43-8.jpg  製作のきっかけとなった伊那大島駅の辰野方に配置しました。周辺との馴染み具合も良好で、前作片開きより良い出来になったかな、と思います。  ツッコミを入れられないうちに注釈しておきますと、前方左側にポツンと置いた転轍機は、脱線器(安全側線を配置するスペースが無い場合に代用とする設備)を動かすためのモノ。脱線器本体は資料を集め損なったので後日製作します。もうひとつ、25‰の勾配標が立っていますが、本来は腕が外側(右側)に向いていなくてはいけません。今まで本線左側の標識ばかりでしたので、まだストラクチャを作っていないのです。  次の上片桐も伊那大島によく似た配線で、この分岐器が活躍してくれそうです。ただしこちらは近年になって駅舎が建て替えられてしまい、更に駅前のアサノセメントのサイロ群も解体されてしまいましたので、七久保の油槽所と同様、限られた資料で風景を再現するのに時間がかかりそうです。駅間は距離はあるものの、ほとんどが林の中ですので、駅周辺さえ完成すれば開通も早いのでは?と思っているのですが、どうなりますことやら・・・。

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