私の地元、大阪と京都の中間に位置する高槻市は城下町かつ宿場町ということで古い町並みが多く残っていたのですが、住みにくさや耐震性の問題を抱えて随分と数を減らしてしまいました。そんな中、阪急高槻市駅徒歩圏に元酒屋の町家を改装したシェアアトリエ「福寿舎」が誕生しました。京都では古民家カフェ、アトリエなどよく聞く話ですが、地元でこういった試みが始まったのは嬉しい限りです。
着物、アクセサリー、陶芸、刺繍etc…、手作り系のアトリエ(小店舗)が複数入居する母屋とは別に、かつての蔵を改装したイベントスペースもあり音楽や朗読会など定期的な催しも行われているのですが、他にも何か人を集めるネタは無いだろうか?とご相談をいただき、ちょっとした鉄道イベントを開催することになりました。
会期は10月28~29日の2日間、10月上旬の毎年恒例「大阪運転オフ会」と同月開催ということで準備時間が限られ、なんとかギリギリ間に合わせる形になったのですが…、あいにく当日は季節遅れの台風が直撃。搬入時から空を見てはヒヤヒヤする展開となりました。
開店休業だったらどうしようか…と心配しましたが、当日は悪天候にもかかわらずご近所の老若男女をはじめ、関東地方など遠方からのお客様も複数いらっしゃいました。ちょうどJR吹田工場の一般公開日と重なっていたのが奏功したようですね、午後になると工場見学を済ませた方が多数流れてきてくれました。
会場となった蔵にいつもの119系型運転室と阪急風汎用ワンハンドル運転台を持ち込みまして、音の干渉を防ぐため間隔を開けて設置。会場諸経費と人員整理のため入口の受付で時間毎の整理券を200円で購入してそれぞれ運転していただくシステムになりました。
考えてみれば明確に運転1回につき幾ら、という有料システムは初めてで(伊那市のイベントでは企画展の入場料という扱いでした)、それもまた集客にどう影響するか気になっていたのですが、ありがたいことに悪天候の中で人が絶えなかったのを見ると杞憂だったようです。
今回は鉄道系に限らず何かしらイベントの度に福寿舎にリピートして場を賑やかしてくれる方を優先して募集するべきかな…、という考えのもと、情報の伝達範囲が広くなる当ブログでは告知していませんでした。「知っていたら行きたかったのに!」という方には大変申し訳ありません。大阪運転オフ会や自宅で不定期開催している"ぷち運転会"など、マニア向け運転会でお待ちしていますので是非ご参加下さいませ。
そんなこんなでどう見ても鉄じゃない人、女性グループ、ご近所さんといった方も多くいらして福寿舎の「人の集まる場を作る」ことに少しは貢献できたかな?と思います。せっかく地元高槻市にこうした場が出来たのですから、末永く盛り上がって欲しいと願っています。
皆様ご存知のようにBVEを基本とした当シミュレータはゲーム機のように誰でも簡単に操作できるような親切設計ではありません。今回のように一般の方を対象とした運転体験会では私が付きっきりで解説しないといけないわけですが、今回はなんと国鉄・JRで指導運転士をしていらしたOBの方が教官を買って出て下さいまして、楽ができる上に適切な指導と貴重なお話を生で聞かせていただき大変良い機会となりました。
後日談で「訓練所のシミュレータより正確に再現されている」とのお言葉をいただきました。これはBVE本体制作のmackoyさん、車両データ制作のRock_Onさんお二方の技術と情熱の賜物ですが、BVE作者の皆様もこのプラットフォームに自信を持って制作に励んでいきましょう!
ワンハンドル運転台はL53さん原作、すずはるさん他改修のBVE5版、阪急京都線の使用・改造を許可いただきまして、長岡京~高槻市の線路周りのストラクチャを自作のものに更新して体験運転用データとしました。
改修版阪急のデータは他列車や保安装置といった「シカケ」の追加がメインでしたが、今回は私も来場者もよく知る地元沿線ですので、主に見た目の部分で改修させていただきました。こちらの運転指導には関東から遠路はるばるハンドルネーム「電磁直通ブレーキ」さんが参戦してくれまして、前日には実際に京都線に乗車して実地研修して来てくれる熱の入れようでした。
さらにもう一つ。今回は私と同じく高槻市在住でHOゲージ(16番…念のため)の移動レイアウトを製作してイベント出展をされている「じゃりちゃん鉄道」さんにもご参加いただきまして、シミュレータと模型の運転コラボが実現しました。
こちらは母屋の広間を会場としましたが、百貨店等のイベントに比べスペースが限られるため、今回用にギリギリまでプランを縮小して持ち込んでいただきました。会場下見では十分広い広間に見えたのですが…、改めて1/80編成モノのデカさを認識させられました。
擬似的に中から見るシミュレータと外から客観的に見る模型は全く考え方の違う趣味ですが、そこは同じ鉄道という土台があってのもの。双方の趣味人が行ったり来たりで異文化交流したり、順番待ちで間の持たないお子さん方は時間まで模型を眺めに行ったりしていました。
特に個人の趣味としてのシミュレータ制作はまだまだ歴の浅い遊びですから、比較的年齢層の高い模型派の方には新鮮に映ったことでしょうし、意外と楽しんでいただけたと思います。逆に若年層はHOゲージの走行を手の届く距離で見る機会は限られていますし、Nゲージとは違った迫力を楽しんでいただけたことと思います。
そんなこんなで、ちょっと面白いことをやって高槻市を盛り上げよう!というイベントは無事に終了しました。福寿舎の社長さんも楽しんでくださいまして、もしかしたらまた1年後にでも開催されるかもしれません。その時はこちらでも告知しますね。
最後にこれまでご協力頂きました皆様をご紹介いたします。
HOゲージレイアウト出展
飯田線シミュレーター
- 119系車両データ製作:Rock_On
- 各種プラグイン製作:Rock_On
- 筐体製作:BVE飯田保線区
- 路線データ製作:BVE飯田保線区
阪急線シミュレーター
- 路線データ製作:L53/すずはる/ゆにこん/BVE飯田保線区
- 阪急7000系車両データ製作:J9
- メーター画面表示用パネル製作:BnTk
- 500系新幹線3Dデータ製作:BVE 東海道・山陽新幹線
- 各種プラグイン製作:Rock_On
- 筐体製作:BVE飯田保線区
総本山
以上、敬称略。
皆様のご協力、誠にありがとうございます。今後ともお付き合いの程よろしくお願い致します。