田切駅をリニューアル
延伸作業が滞っているので動画の更新が出来ていませんが、実はBVE5の動向をにらみつつ既存部分のクオリティアップに努めています。データに変更を加える度にコンバーターでBVE5仕様に変換して試運転をしているのですが、これまでと違ってGPUへの依存が高まったため頂点処理はいくら多くても問題なし。ただし全データをメモリ上に展開するため、テクスチャ容量には気を遣う必要がありそうです。タスクマネージャ上でのメモリ使用量とにらめっこしつつ、できるだけ高品位かつ効率の良いデータになるよう、既存データも試行錯誤して改良しています。 田切駅のストラクチャは従来より割と細かく作り込んでいましたが、データが重い割には見栄えの面で不満もあり、上記のような流れの一環で新規に作り直すことにしました。 踏切のストラクチャの時に「曲がったもの」や影を取り入れると自然で良いと書きましたが、今回も同様にテクスチャ、頂点とも歪みや影の表現に注力しています。右の画像はワイヤフレーム表示にしたストラクチャとテクスチャの一部ですが、よく似たプラットホームの画像が2点ありますよね。上の1枚は連続して使うもので、柵による影をアスファルト部に描き込んでいます。この影もまっすぐではなく微妙にグニャグニャさせているのがポイント。一方、下の画像は待合室による影を付けたものです。影を表現する手法としては半透明のオブジェクトを重ね置きするのがメジャーですが(線路部にできたホームによる影はこの手法です)、より自然な影を表現するならばテクスチャに直接描き込むのが良いでしょう。 その左の小さな画像は、柵の鉄骨柱に使うテクスチャです。説明が分かりにくいですが、端に使う影の無いものと、水平方向の鉄骨による影を描き込んだ中間用の2種類を横に並べて1枚にしています。ということは当然ながら鉄骨を全て頂点で打ち、それぞれにテクスチャを貼っていかなくてはいけないわけですが、これは技術よりむしろ気合いの領域。数百の頂点を地道に作っていきます。 水平方向の鉄骨については端から端まで一直線に引いてしまうとカッチリしすぎて嘘くさくなりますので、適宜分割して各々頂点の高さを微妙に狂わせています。といっても1~2センチの誤差ですから、パッと見には気付かないかもしれませんが、だからといってやりすぎるとかえって不自然になるので要注意です。左の画像は歪みを感じやすいよう望遠レンズのようにズームして柵を眺めたものです。わずかなゆがみですが、運転していても視界の端で何かが微妙に上下に揺れている感じがして、臨場感が豊かになります。 最終的に頂点数は890、CSVのファイル容量67.5KBとなりました。先日の踏切よりも軽量なのは、汎用性が皆無なので角度的に見えない部分は作っていないからです。とはいえ「少し表情を付けるだけのために頂点数増やして大丈夫なの?」といったご意見もあるとは思います。ところが結構これが大丈夫。 BVE5で試運転したところ、フレームレートの低下やカクつきなどの現象は一切見られず、また気になっていた消費メモリの点でも、テクスチャの効率が良くなったため従来のデータよりもかなり軽量になっています。 柵や手すりは透過テクスチャで作るのが一般的ではありますが、PC環境による透過不良や黒フチ等の問題がありますし、綺麗に見せようと思うとテクスチャがそれなりのファイルサイズになってしまいます。手はかかりますが頂点打ちしてテクスチャを貼ってやれば小さなテクスチャで処理できますし、なにより大きなモニタで見ても破綻しない確実な立体感が得られます。 ■BVE5の話とか このところOpenBVEとそのObjectViewerばかり使っているのでOpenBVE用の路線だと誤解されそうな雰囲気です(特に海外の方)。実のところはソフトの安定性が本家より高いため製作中のデータチェックに愛用させてもらっているだけでして、最終的にはBVE5専用路線として配布予定です。 冒頭にも書きましたように、頻繁にBVE5にコンバートしてチェックをしておりまして、今のところ変換による不具合は全て対処済みです。BVE5用の製作環境がまだ整っていませんので、BVE4用の構文で製作して変換するというスタイルが定着していますが、BVE5ネイティブで製作できるようになると大量のカーブレールやカーブ築堤が不要になるなど、データの軽量化が大幅に進みそうです。 オマケのように掲載した画像は、現在製作中のBVE5用119系運転台パネルです。このところPC用モニタも16:10や16:9のワイドスクリーンが主流になってきましたが、ほとんどの運転台パネルは4:3を前提に作られているため景色を見ると計器が見えず、計器を見れば景色が見えず・・・、といったジレンマに陥ることしばし。そんなわけでフルHD、ワイドスクリーン対応です。実際の視界はもう少し広く、4:3や視点移動を使えば窓上のサンバイザーあたりから計器パネル下部までをカバーできます。 BVE5からサポートされたPNG画像だとアルファチャンネル(半透明)が使えるのでパネル縁のジャギーをアンチエイリアスで緩和したり、窓ガラスに映り込んだスタフ立てを表現してみたり、いろいろ試行錯誤しています。わざとらしくならない程度にワイパーの拭き跡なんて付けても面白いかもしれませんね。