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カテゴリー「運転会・オフ会」の記事は以下のとおりです。

2大運転イベント終了しました

“駒ヶ根市の鉄道100年”記念事業における飯田線シミュレーター運転体験イベントは無事終了いたしました。 ファイル 95-1.jpg 北部飯田線の飯田~辰野間のほぼ中間、北から大田切・駒ヶ根・小町屋・伊那福岡の駒ヶ根市内4駅が伊那電気鉄道の駅として開業した1914年10月からちょうど100年。なんと赤レンガの東京駅とほぼ同時期の開業なんですね。鉄道の日至近の連休である10月12~13両日に駒ヶ根駅前ビル「アルパ」にて、拙作の119系型運転台を持ち込んでの開催となりました。路線データも制作がほぼ一段落している区間が使えたため好都合、市内の皆様には馴染みの深いところを運転していただけたと思います。 ファイル 95-2.jpg  機材は基本的には昨年春に行われた伊那市創造館での運転体験時を踏襲していますが、運転台の前面3画面化、メーター用モニタの高解像度・広視野角化、情報表示のサブモニタ設置、音響機材の総入れ替え…などなど、各部の改良を行っています。更に大きな目玉として、ブレーキ弁のアナログ化もプラグイン・プログラム類を担当するRock_onさんの多大な協力により完了。アナログと言ってもPCで処理している限りデジタルなのは当然ですが、セルフラップ帯を160段にまで分割して認識しているため操作の感覚は完全にアナログ。私が製作するハード側の作業が遅れ気味だったため試運転=イベント本番のような状態になってしまいましたが、どれだけ素早く払ったりしても取りこぼしなどのエラーは起こさず、極めて安定した動作をしておりました。博物館施設でもここまで高精度なものは中々無いと思いますので、電直ブレーキファンの皆様は次回の運転会等を楽しみにしてくださいね。 ファイル 95-16.jpg  情報モニタはそもそも運転画面内に非リアルを持ち込みたくない、しかしイベントともなるとビギナー向けの補助表示はあったほうが望ましい…ということで別モニタに表示してみたのですが、結果的にはみなさん運転操作に必死でそこまで見る余裕があったかどうか…。実車の後付TIMSのように運転台の見やすいところに設置するほうが良いかもしれませんが、119系というモチーフを考えると悩むところです。 ファイル 95-4.jpg  音響の品質も以前から気になっていたのですが、従来使用していたコンパクトなPC用サラウンドセットでは広い会場の見学席まで音を飛ばすほどの音圧が無いこと、また安価なスピーカーでは高音域の音質が貧弱なため、せっかく高音質で録音されたサウンドデータを活かし切れていないことから、思い切った投資をして機材を入れ替え、それなりのスピーカーをAVアンプで駆動させるようにしました。 ファイル 95-7.jpg  運転体験そのものは伊那市の時と同じく事前募集制で両日合わせて31名、お一人あたり約20分の運転時間としました。運転区間を短くしてより多くの人に楽しんでもらう選択肢もありますが、操作の感覚が掴めず何が何だか分からないうちに終了してしまうのでは面白くありませんし、博物館施設とは違う楽しみを提供したいというのもあります。結果としては地方都市のキャパシティでは30名程度というのが程良い募集人数で、偶然ですがピッタリ過不足なく応募いただきご来場下さいました。多くは駒ヶ根市を中心とした沿線の方、一部遠方からいらしてくださる方もいらっしゃいました。 ファイル 95-5.jpg  お客は小学生から大人の方まで老若男女様々ですが、いちばん厚いのは小学生の層で、これは鉄道イベントの常ですね。しかし驚いたのは女の子の比率が結構多いこと。親御さんに勧められて嫌々…というわけではなく、待っている間も熱心に運転マニュアルを読んでくれている子、ビックリするくらいスジの良い子もいて驚かされました。 ファイル 95-6.jpg  もちろん男の子も負けていません。最初はおっかなびっくり言われるがままにハンドルを動かすのが精一杯だったみなさんも、最後の方では自分なりの操作でしっかり運転できていました。これからの将来、鉄道に関係する仕事に就くか、鉄道の趣味を続けていくか、それは誰にもわかりませんが、この日が少しでもみなさんの思い出に残ってくれたら嬉しいですね~。 ファイル 95-10.jpg  子供ばかりに任せちゃおられんと、マイマスコンキー&ブレーキハンドル、手書き線路図持参で登場するツワモノも! 実はこの方、去年の伊那市創造館でのイベントにもいらした常連さん。  ソフト・ハードの両面でシミュレータ独自の癖は今回の改修で潰しているため、基本的な扱いをご存知の方なら違和感なく運転できるよう仕上がっています。私は特に口を挟むこともなく、難なく運転される様子をボケ~っと眺めておりました。視認性の悪い小町屋駅に高速区間から一気に停めるところも、回復運転のため物凄い突っ込み気味で見事停車。作ってばかりで運転が下手な私からすると驚愕のハンドル捌きでした。 ファイル 95-9.jpg  夢中で楽しんでくださる皆さんを見ていると2日間はあっという間で、もっと長期に渡って開催したくなりますが、実際には自分の喉も体力も2日が限界。もっと頻繁にできないかとの声もありますが、輸送手段や準備撤収を含め数日間仕事を休む段取り、会場の融通や各種経費を考えると、やはり沿線自治体のお声が掛からないと難しいかな、というのが実情です。  今のところこちら側から何らかの働きかけをすることは考えていませんが、いつお声がかかっても良いように機材・データのグレードアップは欠かさぬよう継続していきます。 ファイル 95-11.jpg ファイル 95-12.jpg ファイル 95-13.jpg ファイル 95-15.jpg ファイル 95-3.jpg ファイル 95-8.jpg ファイル 95-22.jpg  運転イベントといえばもうひとつ、もはや恒例となりました「大阪運転オフ会」も6月に開催しました。  第1・2回は大阪市内でビル内の貸部屋にて行いましたが、部屋のキャパと機材の移動に限界を感じたため、3回目の今回は自宅近くで50畳の和室を借りることとなりました。 ファイル 95-24.jpg  場所の余裕が出来たのでHey氏のJR西タイプコントローラーは40インチの大画面とセットで登場、拙作の119系型運転台はいつも通りですが、さらに新たな汎用運転環境のご提案としてウルトラワイドモニタ(シネマスクリーン比)をメーター表示に使用した運転環境を出展しました。これで3台同時に遊べるようになり、プレイ待ちの中だるみ感は無かったのではないかと思います。   ファイル 95-25.jpg  およそ50人の参加者はブッチギリで過去最多。全員が同時に会場内に居ることはありませんし、多客時は常連さんが乗り鉄に出かけるなどお気遣いをいただいているため特別混雑している印象はありませんが、受付事務や食事の段取り、トラブル対応など細かいソフト面のサービスを考えるとこのあたりが限界かな、と思います。  第1・2回は「仲間内の集まり」色が強く、テキトーにやってても誰かが上手いことやってくれる感じがあったのですが、お初にお目にかかる方が大勢いらっしゃるとそういう訳にもいかず、また夜間を含む二日間まるまるの開催ですから寝る時間も考慮すると、どう転んでも個人で運営する限界が見えてきました。 ファイル 95-23.jpg  そうしたキャパシティの事情に、私個人の「イベント直前の気分がノッている時期に制作を進めたい」というワガママも加えた結果、来年以降は運営委員会を組織してもらい、私はあくまでも機材とデータを提供する立場へと一歩退かせていただこうと考えております。   ファイル 95-21.jpg そもそも運転会とは、いつものオフ会(飲み会)で作者陣とプレイヤーが話題上で分離気味…というよりプレイヤーが孤立しがちで、これを何とか打破できないか、同じ場で一緒になって楽しむことができないかと始めたもので、オフ会の上位ではなく、あくまでオフ会の入り口に位置するものであってほしいと思います。今後の細かな運営方針は委員会の皆様に決めていただくことになりますので従来とは異なる部分も出てくると思いますが、この原則は維持していただきたいと願っています。 ファイル 95-18.jpg ファイル 95-19.jpg ファイル 95-20.jpg    ファイル 95-17.jpg

駒ヶ根駅開業100周年記念イベント

ファイル 94-1.jpg  「運転会のレポートは~?」なんて一部の声をスルーして、次のイベント告知です。  一昨年の伊那市駅に続いて2014年は駒ヶ根市内4駅(大田切・駒ヶ根・小町屋・伊那福岡)の開業100周年です。既に市内では様々な記念イベントが開催されていますが、来る10/12~13に駒ヶ根駅前ビルにて運転体験会を催すことになりました。日々制作中の飯田線データと119系運転台型コントローラーを沿線駅前までお持ちしますので、よろしければお越しくださいませ。  開催日は「鉄道の日」至近ですので3日間全国JR普通列車が乗り放題の"秋の乗り放題パス"有効期間中でもあります。3連休をゆったり飯田線乗りつぶしの旅などいかがでしょうか?  詳細・お申し込みは駒ヶ根市、駒ヶ根市の鉄道100年地域活性化事業委員会のページを御覧ください。  ※BVE飯田保線区では受付しておりません お申し込みはこちら→駒ヶ根市の鉄道100年

大阪運転会レポート

ファイル 92-1.jpg  このところ文章力が急激に衰えている上に身辺が非常に慌ただしく、なかなか思うように更新が出来ておりせん。6月1日~2日に開催した大阪運転会ですが、なんと3ヶ月遅れてのレポートです。  今年も大阪市内の貸部屋にて開催となりましたが、地元関西はもちろん西は九州、東は関東といった遠方からも、合計25名以上の方にお越しいただき、運転三昧の2日間を過ごしました。参加いただきました皆様、お疲れ様でした! ファイル 92-2.jpg  Hey氏制作のJR西風横軸2ハンドルコントローラーと、拙作の119系型運転台を持ち込んだのは昨年同様ですが、今年は2台を横並びに配置し、間に(申し訳程度の)ツイタテを立てて音の干渉を防ぐようにしました。運転席の後方は見学&雑談スペースとし、両運転台の様子を同時に見ることが出来るような配置になっています。 ファイル 92-3.jpg  今年からHey氏の運転環境も32v型液晶テレビの導入でパワーアップ。新型というか現行車両での運転はこちらの機材が担当になります。BVE4対応ですので対向列車は走りませんが、ランダム機能など構文の小細工を多用しているため、ほぼグリーンマットの路線にも関わらず飽きの来ない阪和線データはひとつの理想型ですね。 ファイル 92-4.jpg  119系型コントローラーでは飯田線の運転はもちろんですが、急遽BVE5版に変換・修正した阪和線も運転できるように整えました。そんな案が浮上したのは運転会の10日ほど前の話で、Hey氏が路線データの変換と手直しを、Rock_On氏はBVE5版の103/113系車両データを新規に制作、Bantetsu氏は制作途中の225車両ストラクチャを鑑賞に堪えるレベルまで引き上げ、私は各種対向列車ストラクチャの実写テクスチャ化を担当。飯田線そっちのけで撮影から貼り替えまで、連日連夜チャットで意見交換と進捗状況の調整をしつつ突貫工事、学園祭前夜のようなテンションで何とか間に合わせました。 ファイル 92-5.jpg  さすがに列車密度の高い阪和線、次から次へとやってくる対向列車に大盛り上がり。各停で運転しているとすれ違いあり、追い越されありと、単調になりがちなグリーンマット路線の長時間運転でもまるで飽きを感じさせない、非常に満足度の高いデータに仕上がっていました。あくまで急ごしらえの運転会用データですので配布されることは無いと思いますが、これを機にHey氏もBVE4での制作を終了し、BVE5へ完全移行するとのことですので今後が楽しみですね。  作りたくて作っただけの運転台で皆さんが楽しく遊んでくだされば…と始めた運転会というスタイルのオフ会ですが、自然といくつかの役割が出来ています。  ひとつは作者とプレイヤーの擦り合わせ。ディスカッションするだけのオフ会ではプレイオンリーのユーザーが話題に取り残されがちですので、プレイ環境があればそういった方でも時間を持て余すことなく気の合う方同士で楽しんでいただけるのではないかと思います。理想は作者のグループとプレイヤーのグループの融合ですが完全に溶け合うのも難しいと思いますので、時々ふとした話題をきっかけに互いが混ざるくらいにでもなれば良いかな~と思っています。  次にmackoyさんへ提案するBVE本体への要望の吸い上げとまとめ。作者・ユーザー諸々の要望を事前に集めて議論し、メリットデメリット、技術的な課題の有無、纏められる類似の機能などを整理し、時には優先順位を付けて私から、またはよりmackoyさんに近しい方から要望集を伝えてもらうようにしています。あくまでBVEはmackoyさん個人の作品ですから実装されるかどうかはご本人の判断によることを忘れてはなりませんが、BVE5を自分好みの方向へ誘導したいなら要望をしっかりと整理して、かつ多くの賛同者を得たほうが可能性は高くなるということです。   ファイル 92-6.jpg  技術的な意見交換や、大人数を前にした技法のレクチャーが容易であるのも、PC一式と大きな画面が揃っている環境ならでは。この日も製作中画像のお披露目や、現場の環境に合わせて急遽パネルデータの修正をする風景などが見られました。データというものは完成品は皆似たように見えて、その製作過程は人それぞれ。見ているだけでも興味深いものですし、お互いにヒントやアドバイスが得られることもあります。  プレイオンリーの方でも実際に制作風景を目にすると、完成品しか知らなかったそれまでとはデータの見方が変わったり、データ作りへの興味が湧いてきたりするかもしれません。 ファイル 92-7.jpg  制作中のコントローラーのパーツをお披露目される方もいらっしゃいました。実物が入手できないためほとんど自作で頑張っていらっしゃいます。何か物を作ろうという時、一番楽なのはお金がたくさんあれば良いのですが、それが無ければ技術で補う。技術も苦しければアイデアで補う。アイデアも限界ならば時間をかけて何とかする。物づくりの試行錯誤には無限の選択肢があるわけですが、思いもよらない技法が飛び出すのがこういう場の楽しさでもあります。 ファイル 92-8.jpg  そうした話をしているうちに自然と参加者同士の会話も盛り上がるようになり、お楽しみの食事タイムです。食事を主催側で手配した前回とは異なり、今回は各々好きなものを買い出しに行ったり出前を取ったりしてもらうことにしました。皆さんの好き嫌いや飲む派食べる派、予算の違い等を気にしなくてよいので、学生さんでも参加しやすかったのではないかと思います。来年もこのスタイルで行きましょう。  BVEどころか最早鉄道すら関係ないバカ話に興じながらの食事はとても楽しいひとときでした。残念ながらここではお見せできませんがボカシの入っていない写真を見ていると、皆さん本当に楽しそうに盛り上がって下さっていて、主催者としてはちょっと目頭が熱くなってしまいます。  データにしろ運転台にしろ作りたいものを作るということを目的にこれまで活動を続けてきましたが、こうしたイベントの開催を経験して、制作活動が目的ではなく皆様と交流するための手段に変化してきていることを実感しています。 ファイル 92-9.jpg  そうそう、お土産をいくつもいただきました。遠方からいらして下さった上にお気遣いいただきありがとうございます。こちらでお菓子等は用意できませんでしたので、参加者全員で美味しくいただきました。(決して催促ではありませんので(笑)みなさん次回も手ぶらで気軽にいらして下さいね)  最後になりましたが、未だ詳細な会計報告ができていませんで申し訳ございません。食事前にもざっくりと報告しましたが、おひとりでもキャンセルされていれば赤字…というか、実は経費で出すべき掃除道具等をかなり寄付していただきましたので(ありがとうございます!)実質はちょい赤字といった具合です。  来年に向けて会場・輸送費を中心に見直しを図っておりますが、なかなか条件が合わず難しいのが実情です。しかし今後も安定して開催できるよう、そして出来るだけ気軽に参加していただけるよう調整していきますので、ぜひ次回もご参加くださいませ。

伊那市出張運転会(後編)

ファイル 90-1.jpg  さて伊那市運転会ですが、まずは時系列を少し遡って準備段階の裏話。大阪の拙宅から伊那市へ運転台を輸送するにあたっては、当初伊那市から大手運送業者を手配してもらう算段でしたが、大型かつ一品物のため混載便でははく専用便での扱いになり、想定を遙かに上回る見積もり(往復で片手!)ということで頓挫。  そこで登場したのが伊那市所有のハイエース。大阪運転会の輸送では5ナンバーのコンパクトミニバンにギリギリ詰め込んでいますから、それに比べると余裕の容積で、緩衝材をたっぷり挟める余裕に安心しました。しかも車椅子用のリフト付きで超便利。とはいえまず解体して2階から降ろす必要があり、職員の皆様にお手伝いいただき2時間程で搬出・積み込みが完了しました。  交代とはいえ長野~大阪を1日で往復するハードスケジュール、安全運転で運んでいただきありがとうございました。 ファイル 90-2.jpg  運転会前日、大阪発の特急しなので信州入り、車両データ・プラグイン関係の製作を全面的にお願いしているRock_On氏さんと岡谷で合流して飯田線に乗り継ぎ、伊那市へは昼過ぎに到着しました。さっそく駅前でソースカツ丼を頬張り、気合いを入れて準備に掛かります。  運転会の会場は展示室隣の会議室が割り当てられました。椅子を並べると20~30人のキャパシティといったところで、運転台の後ろは椅子を並べて待合い・見学スペースとしました。自室にあると場所食いな運転台も会議室だとちんまりした感じになってしまいますね。将来的には前面3画面で堂々とやりたいものです。  組み立て・配線、また今回に備えて全面改修したブレーキ弁と対応プラグインの擦り合わせを夜まで行い、翌日の本番に備えました。 ■無事に始まりました ファイル 90-3.jpg   運転会は1時間あたり3名様、一人の持ち時間が20分の計算で行いました。運転区間は飯島~駒ヶ根の4駅間、定時運転で約15分強といったところです。この運転時間は運転体験の類ではかなり長い方で、大手博物館等では人数を捌くため数分で終わってしまうものがほとんどです。このため事前予約制・かつ抽選となりましたが、路線データや運転台を造っている時から“博物館にできないことをやりたい”という思いもありましたので、一人一人の方にできるだけ楽しんでいただけるような配分としました。当然副作用として人数枠は小さくなってしまい、できるだけ増枠の調整はしたものの数名の方が抽選漏れとなってしました。せっかくご応募いただいたのにお応えできず申し訳ございません。 ファイル 90-5.jpg   年齢層は半分くらいが小学生、残りの半分が適度にばらけている感じでしたが、ご高齢の方はいらっしゃいませんでした。地域は伊那市・駒ヶ根市といった南信の沿線を主体に、愛知・新潟・東京といった遠方からいらした方も。  小学生が主体になるのはある程度予測していましたので、「お子様運転士とそれをカメラに収めるママさんの図」みたいな構図を期待して国鉄の帽子なども持ち込んでいたのですが、想像したまんまの光景が展開されていてホッコリしました。  また1995年前後という路線の時代設定も良い方向へ転んだようで、沿線のお母様方にとっては少し懐かしい、今のお子さんにとっては生まれる前の、ちょっと新鮮な景色が親子の会話に弾みをつけていたように思います。   ファイル 90-4.jpg   今回は内輪のマニアな集まりとは違うため操作を簡略化すべきかどうか迷いましたが、ありのままの飯田線を沿線の皆様に知ってもらう方が良いだろうと、ほぼそのままのデータをお持ちしました。実際と違う点はドア扱いが運転士ではなく車掌であること(これはBVE5のシステムに因る)、停車位置の精度を駅ホーム内に2両全てのドアが入っていたら開扉するように甘くしたことだけです。  またBVE2時代のデータで予習してこられた一部の方以外にとっては初見の線形ですので、曲線における制限速度や適切なノッチ位置などは指導運転士よろしく横から指示させていただきました。おかげで曲線・勾配だらけの飯田線を運転することがどれほど忙しく難しいか、日頃何気なく乗っている飯田線の運転士の大変さがおわかり頂けたのではないかと思います。もっとも、中には大変お上手な方もいらして、慣れた手つきで指差喚呼される方、本職顔負けの電直ブレーキ捌きを披露する女性の方も登場して驚きました。 ファイル 90-6.jpg   一般の方には馴染みのない各機器の名称や信号システムなどを前説だけで理解していただくのは時間的に不可能なため、運転に必要な最低限の内容を盛り込んだ運転マニュアルを作成して、創造館から運転される皆様へ事前に郵送していただきました。  1回きりの体験運転でやるには本格的すぎるだろうか? もっと気軽に“遊んで”もらうほうが良いのではないか?といった葛藤もありましたが、煩雑な手順があってこそ「なりきれる」面もありますし、鉄道の安全に対する人・設備両面の取り組みも理解してもらいたい。まぁゲームセンターや広報を目的とした鉄道イベントの体験コーナーなら「あー、面白かった!」で終わるのも良いかと思うのですが、そもそも伊那市創造館が教育委員会の学習施設であるため、何らかの学習要素を持たせたいという思いも当初からあり、できるだけ実物に忠実な運転をしていただくことにしました。 ファイル 90-7.jpg そんなわけで楽しんでいただけるか不安もありましたが、小学生たちも予想以上に上手に運転していて安心しました。あまりに飲み込みが早いので普段から運転ゲームなどしてるのかな?と思って聞いてみるとそうでもないらしい。普段電車に乗った時から運転席の後ろで観察しているんでしょう、見よう見まねで指差喚呼してみたりと大したものです。  また最初は戸惑って上手く扱えなかった電直ブレーキの操作も、みなさん後半では随分スムーズになっていまして、これについては運転区間を4駅間と長めに取ったことが功を奏したと思います。  “一番好きな電車は169系”という重度のマニアな小学生は、「今まであちこちのシミュレータをやったけど、今回が一番楽しかった!」と言ってくれました。休憩時間にはRock_Onさんのサービスで車両データを115系に切り替えてブロアの起動音に大興奮、ブレーキハンドルの脱着までして大はしゃぎ。困ったもんだと溜息混じりの表情ながらも微笑ましく見守るお母さんが印象的でしたが、これらも博物館ではなかなか出来ない体験ですので良い経験になったのではないかと思います。 ファイル 90-8.jpg 初日の午前中にはNHK松本局や地元伊那ケーブルテレビのカメラが入り、新聞社の方もチラホラと。この時間帯に運転された方は若干緊張されたかもしれません。  荒唐無稽な動画が乱発する動画サイトなどを見る限り、やみくもにBVEの知名度を上げユーザー数を増やすのが得策とは思えませんが、例えば模型鉄の中でも車載カメラによる運転に限界を感じている方など、純粋にリアルな運転を楽しみたい方、将来的に作者となり得るような方々へのアピールは必要だなぁ・・・と、仲間内で集まるたびに話しております。そうした意図もあってブログを書いたり動画を投稿したりしているわけですが、ローカルとはいえ電波や紙面と言った既存メディアへの露出も効果的なのではないかと思います。  ただBVEのコミュニティもマニュアル整備や各種ガイドラインの取り決めなど、人を呼び込む前にやることが山積みなんですが、みんなそれぞれ1人のユーザーであり作者ですから、自分の作品を形にするので精一杯。それ以外のところまで手が回らないのが現状です。wikiの整備など少しずつ進んでいますので、ゆっくり時間をかけて熟成するしかありませんね。 ファイル 90-10.jpg   恥ずかしながらトークショーという催しもありました。得体の知れない大阪人が1時間しゃべるだけのイベントですから、誰も来てくれなかったらどうしよう・・・なんて思いましたが、約30名の来場者に予備の椅子まで持ち込んで対応する盛況ぶりで、恐縮するやら照れくさいやら。しかし何を話すか事前に考える時間がなかったのでぶっつけ本番。ほとんど製作秘話みたいなので終わってしまいました。一応BVEの詳細をご存じない方にも理解できるよう気をつけたつもりですが、あんなのでトークショーの体を成していたでしょうか・・・???  運転会のみならず企画展全体の視点から、飯田線の今後についてなどお話ししたいコトは色々あったのですが、気がつけば時間も押し押しになっていました。せめて内容を箇条書きにして時計見ながらしゃべるとか気を遣うべきだったんでしょうけど、未熟というか、それ以前に普通に考えてあり得ない機会のため完全に力不足でございました。 ファイル 90-9.jpg 2日目の夕方、運転会の締めくくりに運転されたこちらの女性ですが、なんと記念すべき企画展1000人目の有料入場者の方でした(入場券を持っていれば2回目以降は後日であっても無料で入場できるシステムだったので、延べ入場者はもっと多いそうです)。  実はこの方、自主製作映画の世界では有名な女優さんである傍ら、ローカル鉄道の振興に携わるお仕事をされているとのことで「飯田線マニアックス」の企画初期段階から相談に乗ってもらっていたと、創造館の館長よりお聞きしました。まるで仕込みのようですが、本当に偶然に偶然が重なってキリ番とトリの運転士を務めていただき大盛り上がり、最後は少し華やか雰囲気で出張運転会は終了いたしました。  なお当日の様子は“伊那谷ブロードキャスターズ”さんによりUSTREAMでの動画中継が行われ、後日YOUTUBEにもアップロードされていますので興味のある方はご覧下さい。(動画一覧)          ※         ※         ※  前編にも書きましたように準備に奔走した2ヶ月間で、十分なクオリティを維持して間に合わせることが出来るのか、突発的なトラブルなどで取りやめになるような事態が発生しないか、あくまで個人活動ですから機材や経済的なバックアップ体制が不十分で不安の種も盛り沢山でしたが、なんとか無事に終えることが出来ました。  実は運転会の打診があった時点でのデータや機材の状況、自分のキャパシティからお受けして良いものか少し悩みました。しかしフィールドワークで外へ出かけることが多い反面、分野外の人との交流といった面では内に籠もる傾向のある鉄道趣味の分野で、一般の方々のご理解をいただき、また楽しんでいただける機会がある。しかもそれが自分の活動している飯田線沿線の皆様とあっては是が非でも参加しなくては! と、無理を押しての出展でありました。  色々大変だったのは先述の通りで、夜を通して普通に寝られた日が何度あったか・・・誇張抜きにそんなレベルでしたが、はしゃぎつつも真剣な表情で運転する子供達や、「そうそう、昔こんな感じだった」と懐かしんでくれるお母様方、BVEはやっていたけど運転台で存分にやってみたかったという方など、皆様の反応を見聞きしていると疲れも吹き飛びます。  直接利益を生むような活動ではありませんが、打算的なところでは今回の件がひとつの身分証明書になりますから、今後の取材活動、交渉ごとが少しはやり易くなるのでは? などと勝手な期待をしています。  私の名前ばかり表に出て恐縮ですが、今回の運転会は多くの方の尽力によって実現しています。最後になりましたが車両データとプラグインを極めて高い完成度で仕上げて下さったRock_Onさん、BVE本体の描画を改良して下さったmackoyさん、専用のスタフを作成して下さった所属指名どーぞーのHeyさん。企画展の企画運営にあたられた館長以下伊那市創造館の皆様、監修の田切ネットワークの皆様、USTREAMでの動画配信を担当された伊那谷ブロードキャスターズさん。東西から応援に駆けつけて下さったBVE作者陣の皆様、そして何よりも運転会に参加いただきました沿線・遠方の皆様、この度は貴重な体験をさせていただき本当にありがとうございました。  さて、なんとかやり遂げられたおかげで段取り、必要な準備時間やコストなど、だいたいのノウハウが得られました。同様の機会がありましたら喜んで馳せ参じますので、沿線自治体、各種団体、企業の皆様、ご要望がありましたら遠慮無くお声をかけて下さい。余裕のある生活をしているわけではありませんので輸送費・滞在費等のご面倒は見ていただく必要がありますが、スケジュールの調整が利く限りは全力で対応させていただきます。  さしあたっては自前のイベントである大阪運転会が6/1~2に迫っておりますが、告知が遅れてスミマセン。近日中に詳細を書きますので今しばらくお待ち下さいませ。

伊那市出張運転会(前編)

ファイル 89-1.jpg  ものすごく今更といいますか報告が遅くなりましたが、3/30~31に「伊那市創造館」にて開催しました出張運転会は無事終了しました。年単位でコツコツ作ってきた路線をその沿線でお披露目できるとは光栄の極み。ご来場いただきました皆様、伊那市創造館をはじめスタッフの皆様、この度は本当にありがとうございました。  告知でも書きましたように、今回のイベントは伊那市駅開業100周年を記念しての企画展「飯田線マニアックス」の出し物のひとつとして開催されました。確か去年の年末あたりに「こんな企画展をやるので何か協力を~」といったお話はいただいていたのですが、まさか運転台ごと出張という話になるとは思ってもおらず、後日"伊那市の本気"にビックリしたものです。  もっとも正式な打診が1月末だったため大慌て。路線データは旧いストラクチャの置き換えを前提に色々取り払って全区間が歯抜けだらけの状態でしたし、運転台も去年の教訓から各部改良すべくバラバラの状態。なんとか2ヶ月後の会期に間に合わせるべく使える時間を総動員して準備にあたりました。 ファイル 89-2.jpg  予期せぬトラブルも何度かあり、運転台を伊那市へ輸送する前日にモニタケーブルを買いに走るというギリギリっぷりでしたが、なんとか間に合わせて、最終的な設営と調整は運転会前日に現地で行いました。  伊那市駅を降りると商店街のあちこちに「飯田線マニアックス」のポスターが掲げられ、街を挙げてのお祭りムードにただならぬプレッシャーを感じました。というのも今回は私が主催ではありませんし(=他の誰かが責任を取る立場にある)、既に多くの方が関わって動いていらっしゃいます。生々しい話をすると結構なお金も動いていることでしょう。これまでの内輪の運転会とはまるで話が違うわけで、今更「間に合わなかった」「動かなかった」では済まされません。万一があっては関係者やご来場の皆様にご迷惑をおかけするのは勿論、BVEそのもの、ひいてはmackoyさんの評判にも影を落としかねないわけで、コトの重大さに若干腰が退けつつも何とか気合いを入れて創造館へ向かいました。 ■まずは「飯田線マニアックス」 ファイル 89-3.jpg  企画展の会期は2/8~3/31でしたので、運転会はそのトリのイベントということになります。日を追うごとに展示物が増えていったという展示は既にクライマックスですので、設営前と運転会の終了後に駆け足で拝見させていただきました。  まず創造館のエントランスでは伊那電気鉄道1号電車の2/3スケール前半部レプリカがお出迎え。なんとコレ、材木の骨に段ボールで化粧をしたもの! 屋根のルーバーなんて泣かせるディテールじゃないですか。足回りは山車になっていて、去年のお祭りで曳いて歩いたそうです。街の有志による製作だったと思いますが、ナカナカ堂々とした作品です。 ファイル 85-4.jpg  企画展の入場券は硬券になっており、ボランティアスタッフの居る週末には入鋏や日付入れの体験も行われました。私も日付入れは初体験で、年季の入ったダッチングマシン(日付印字機)の内部を興味深く見せていただきました。  私が子供の頃にはスーパーマーケットの玩具コーナーに必ずといってよいほどオモチャの"硬券・改札鋏・笛"のセットがありました。いわゆる「こども銀行券」のノリですね。母親にねだった挙げ句買って貰えなかったような気がしますが(笑)私らの世代には憧れのアイテムでした。今のお子様たちはどうでしょう? 硬券はもちろん、改札鋏すら知らない世代では憧れや懐かしさなんてカケラも無いと思いますが、それでもこういった道具には自然とワクワクするものでしょうか。   ファイル 89-5.jpg  これは是非とも見たかった展示物。モハ80系の風洞実験用木製モデルです。登場時は湘南型の名の通り東海道本線で活躍しましたが、晩年は飯田線を終の棲家とした縁の深い車両です。  ちょっと不思議なのは窓枠や方向幕といった細かいディテールまで彫られているのにヘッドライトが無いんですよね。そのあたりを検証する意味もあったのでしょうか? また設計段階から全面窓がHゴムで保持する前提のデザインになっていたのが意外でした。3枚窓からの過渡期である2次車の最初期は木製窓枠でしたから、後に設計変更したものとばかり思っていました。どの時期に何の目的で製作されたモノなのか、詳細が気になるところです。 (補足:解説文は所蔵元で一緒に展示されている0系新幹線のものじゃないかなーと文面から想像。もしかしたら新幹線車両の設計用として80系登場以降の年代に製作された可能性もあり?) ファイル 89-6.jpg  こうした展示の定番といえばやはり鉄道模型のジオラマ。伊那市~伊那北駅を模したレイアウトを飯田線に縁のある車両の数々が入れ替わり走っており、ゲタ電が来たと思ったら313系が現れるパラレルワールドは模型ならではです。  伊那市・伊那北の両駅は線形もそのままに再現されており、特に伊那北の面倒くさい配線はBVEデータの製作でも手のかかった部分ですので、まんまの仕上がりにニヤニヤしてしまいます。  さすがに風景は実物通りとはいきませんが、これには「街の人に自分の家や好きな建物を作ってもらって持ち込んでもらおう」という伏線があったのです。ただ興味はあっても技術的ハードルが高く数を集めるのは難しかったようで、市販キットなどを織り交ぜて間を持たせています。  準備期間に余裕があれば市内小中学校の図工・美術などの授業に組み込んでもらうとかどうだろう?なんて思いましたが(創造館は教育委員会の施設です)、それも年度末とあっては難しい話。いずれにせよ参加型コンテンツを十分なボリュームを持たせて成功させるのはなかなか難しいものです。年齢相応の技術・仕上がりで構わないので、子どもたちの作った建物で埋め尽くされたジオラマも見てみたかったですね。 ファイル 89-7.jpg  模型を取り囲むようにぐるりと配置されたガラスケースやパネルには、やはり飯田線に関わるモノばかりが集められています。割とスペースに余裕を持たせており、佐久間レールパークの密度感を期待された方は肩透かしを食らうかもしれませんが、聞くところによると他にも表に出さなかった展示品がバックヤードに沢山あるとのこと。そうした中で飯田線に縁の深いモノに限定して見やすく綺麗にレイアウトされているのは、それはそれで展示のあり方のひとつではないでしょうか。 ファイル 89-8.jpg  今密かなブームとなっている「秘境駅」に関するパネル展示もありました。過去の貴重な資料も重要ですが、こちらは飯田線の「今」の姿をそのまま伝えており、興味を持てば誰でも行くことが出来る→飯田線の利用に直結するので同じくらい重要な展示です。ちゃんと足を使って取材して一次ソースを提供する姿勢は素晴らしいですね。  「飯田線秘境号」なんて臨時列車も走っていますが、観光客でごった返した秘境駅ってのも変な話ですので、時間に余裕のある方は是非普通列車で普段の閑散とした秘境駅を訪れてみてください。(おっと、それはでは急行券が売れないじゃないか!) ファイル 89-9.jpg  会場の写真は最終日の撤収前に文字通り駆け足で撮影したものですが、既に撤去の始まっているコーナーや人だかりの出来ている部分は撮れませんでしたので、これが展示の全てではありません。「こんなの何処から持ってきたの!?」と思うような貴重な資料も数多くあり、もっとゆっくりじっくり見学したかったのですが、運転会に張り付きっぱなしだったのが悔やまれるところ。こんな雑いレポートになってしまって、せっかく時間をかけて準備運営してこられたスタッフの皆様にも申し訳が立ちません。 ファイル 89-10.jpg  最後、屋外には「飯田線人間スゴロク」なるものが登場! サイコロを振りながら自分がマス目を歩いて進めていくこのスゴロクですが、マス目のひとつひとつが飯田線の駅になっており、豊橋~辰野の全駅に中央線の岡谷までを加え、実に96駅を網羅している特大サイズなのです。  当然それぞれのマス・・・というか駅には「1回休み」とか「3マス戻る」などと書かれているわけですが、その理由付けには各駅に沿ったネタが挿入されており、あの下山村から伊那上郷を先回りする「下山ダッシュ」まで再現されています。これを遊ぶだけで飯田線についてぐっと詳しくなれそうですね。ちなみに辰野駅でぴったりゴール出来なかったら岡谷まで行って戻ってこないといけない鬼畜ルール。  これも遊ぶ時間は無いにしても、せめて全駅見て歩きたかったなぁ~。なんせ運転会が終わる時間だと既に暗いし寒いしお腹空いたで、伊那谷の春は1日が少し短いのです。          ※         ※         ※  そんなこんなで企画展本体の「飯田線マニアックス」、ざっくり駆け足の紹介になってしまいましたが、色々知らなかったことや初めて見る資料もあり楽しめる内容でした。  客観的かつ公平に見た場合、そもそものハコの大きさやゆとりを持たせた展示方法から物足りなさを感じた方もいらっしゃるかもしれませんが、物は考えよう。例えば大手鉄道会社の博物館とは比較の対象にもならないわけですが(良し悪しの話ではなく規模と立ち位置の違いによる、念のため)、そういった大型の施設を訪問したときは余りの広大さに限られた時間で全てを見て回るのは不可能であり、ついつい自分の興味のある分野ばかりを見学してしまいがちです。それはそれで楽しいですし、BVE作者のような資料を求めて訪問する人種にとっては非常に有難い存在なのは疑いようもありません。  しかし一方で今回のような小規模(失礼!)な展示の場合、自分の興味の有無にとらわらず「とりあえず端から端まで見てやろう」という気にさせられるのが良いところ。興味のあるところだけザッと見れば10分で終わる内容でも、自分から積極的に興味を持とうと飛び込んでいけば、1時間、2時間は潰せる程の展示品が凝縮されています。それで新たな発見があったり、新分野への興味が沸いて趣味の幅が広がれば万々歳ではないですか。  全く課題を感じなかったわけでもありませんので失礼ながら書いておきますと、主に鉄道部品など一部の展示で説明不足が目立ったように思いました。マニアではない沿線一般の方には何が何だかわからない物もあるでしょうし、マニアの方から見てもその出自がわからなければ全国で見られる同様の品と区別が付かず、あえて飯田線に限定したせっかくの展示物も色褪せてしまいます。  これは先述の余裕を持たせ見やすさを重視した展示手法の副作用と思われますが、そのあたりはボランティアスタッフによる解説で補われておりました。ただほとんどが週末に限定されるため平日に来られた方にとってはやはり説明不足であり、またスタッフに付き従われるのが苦手な方もいらっしゃると思われます。  展示内で見やすさと情報量を両立するのが困難であれば、モノクロコピー物でも構わないので展示品目録のような解説書が欲しかったところです。「誰が作るんだ!?」というスタッフの悲鳴が聞こえてきそうですが、少なくとも知識量・情報量は十分に持ち合わせていらっしゃるとお見受けしましたので、今後の機会には無理を押して是非とも。問題は準備時間だろうなぁ・・・と、これは自分も当日の朝まで準備に追われていたので大きな声では言えませぬ。  好き放題書きましたが、だいたいの内情というか運営規模を知る者から見れば「よくぞここまで!」と唸らされる企画展でした。人口7万人の地方都市が期間限定の企画展でここまでの物を創り上げられたのはまさに御の字。伊那市創造館の皆様、監修の田切ネットワークの皆様、本当にお疲れ様でした。  ではここでいったん締めまして、後編でBVE運転会をレポートします。

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