119系ストラクチャを作る2
- 2010/10/16 18:00
東海顔の急行型・近郊型電車は「これ以上手の入れようが無い」と思えるほど洗練されたデザインで、今見ても惚れ惚れしてしまいます。対して没個性な通勤電車は昔から興味が持てず、ドア・座席配置から区分けすると近郊型となる119系も、見た目は通勤電車そのものですから、いくら飯田線の主役と言えども特に好きな電車ではありませんでした。が、このところストラクチャを造り込んでいるうちに愛着が湧いたのか、気が付けば「119系ちょーカッコイイ」とか思えるくらいになってしまいました。新種の病気かもしれない・・・。
そんなこんなで前回からの続きです。あれからジャンパ栓の蓋やブレーキ管類を造り足して、フロント下部は一応の完成となりました。パイプ状のモノがたくさんあって、ちょっと骨の折れる部分ですが、これで床下の“スカスカ感”は解消できたと思います。あとは乗務員ステップの後ろにハンドスコッチを付けようか、どうしようか。良いアクセントにはなりそうでが、特にディテールが不足している部分でも無いため悩みます。
反対面から見ると3本並んだブレーキ管が印象的です。各種空気溜めから連結器に繋がるパイプですが、コックが操作しやすいように一度車端に引き出されています。黄・朱・白のコックはテクスチャで簡単に表現しただけですが、モノが小さいので雰囲気程度で十分でしょう。 パッと見でライトの描画がおかしいことに気付かれたと思いますが、これは自線の右側に配置する交換列車を前提として、斜め左から撮影した画像をテクスチャに使用しているからです。なので全周からの鑑賞に堪えるストラクチャにするには、ライトや幌枠、渡り板や手すり類も立体化する必要がありますね。 こちらは各パーツの厳密な位置合わせや、影の描き込みなどを並行して行わなければなりませんので、新しい車体テクスチャを作る時に合わせて作業する予定です。
あまりに煩雑になるので、台車を消してワイヤフレーム表示にしてみました。どういった面構成になっているか、だいたいお分かりいただけるかと思います。 ブレーキ管は見えるところだけ再現できていればOKなので、正確な引き回しにはなっていません。めっちゃ適当。細いパイプの割に断面が10角形になっているのは、構文を書く時に0~9の頂点をひと纏めにコピペし、十の位を書き換えるだけで次々伸ばしていけるから・・・という、要は「私が楽をしたかった」だけのことで、明らかなオーバークオリティ。太さを考えると5~6角形で十分かと思われます。 ジャンパ栓の蓋など細々したモノは、透過テクスチャて楽をすれば良いんじゃない?とも思うのですが、どうにも処理の不安定さが好きになれないので、結局いつも通りの頂点打ちです。
最後に、ストラクチャを立体化するにあたって、ここまでの精密化が必要なのか?ということについて書いておきます。今回の119系はOpenBVEも視野に入れたネタ作品的な面もありますので、まぁ過剰と言えば過剰なのですが、それでも立体化するならある程度の造り込みは必要と考えています。 この「立体化するなら」というのがミソでして、何でもかんでも精密にしなくてはいけない、とは思っていません。立体ストラクチャの対極にあるのが板ストラクチャですが、私はあまり使わないものの、板ストラクチャも使い方によっては非常にリアルな情景を再現することができます。むしろ、テクスチャの写真に写り込んだ全てのモノを立体化するなど不可能で、「精密さ」という点においては板ストラクチャに軍配が挙がるとさえも言えます。 では板ストラクチャのデメリットは?といえば、所詮は平面であることから感じる立体感の無さでしょう。つまり、手前にあるモノと奥にあるモノの座標が、少しずつズレることから感じられる奥行き、それを得るために立体化という手段に出るわけです。 しかし、先にも書いたように、写真にあるものを全て完璧に立体化するのは不可能で、丸いモノは多角形になり、細かいディテールは省略され、見た目はどんどん劣化していきます。そうした精密さとのトレードで立体感を得るわけですが、それでも余りに簡略化し過ぎてモノのイメージが損なわれるようであれば、板ストラクチャの方がリアルだった、という本末転倒な結果になりかねません。
ですから、少し乱暴な言葉になりますが、批判を恐れずに言いますと、「立体化するなら徹底的に! 中途半端にやるくらいなら、工夫された板ストラクチャの方がマシ」というのが持論です。