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タグ「住宅」の記事は以下のとおりです。

住宅の建築様式2

 前回に引き続き、今回もまた建物と地域性のお話です。「おいおい、鉄道の話は無いのかよ?」というお声もあろうとは思いますが、まぁそう言わずにお付き合い下さいませ。

ファイル 13-1.jpg  今回新たに追加したのは「本棟造」という様式の大柄な民家です。南信地方独自の建築様式ですので他の地域にお住いの方は見慣れないことと思いますが、信州をイメージさせる建築のため蕎麦屋の大型チェーン店などでこの様式、またはそれを模した造りをご覧になっているかもしれませんね。
 おおまかな特徴としては左の画像のように平屋+屋根裏部屋、妻入り(妻側に入り口がある)で勾配の緩やかな切妻屋根、平側と妻側の長さが同じくらいか、むしろ妻側の方が長いなど。専門家や地元の方に言わせれば他にも細かい定義付けが諸説あるようですが、生憎こちらは余所者かつド素人。先に挙げた程度の特徴を持っているモノは亜流や末裔も含めて本棟造りにカテゴライズしてしまいましょう。
 前回の記事で建築様式における格式の話をしましたが、この地域では例外的に本棟造りが最上級とされていたようです。中でも立派なものには“雀おどし”と呼ばれる棟飾りが設けられていますが、今回のストラクチャでは汎用性の高い、「ちょっと立派な農家」クラスに仕立てたかったので省略しています。屋根は建築当初は石を載せて押さえた板葺きだったものを、後から新建材で葺き替えたという設定で、それ以外は原型をよく保ったスタイルに仕上げました。

ファイル 13-2.jpg  もう1点、こちらは形状こそ似ているものの年代が下り、格式の点からも本棟造りに分類するのはチト無理があるような外観ですが、本棟造りの流れを汲んだ近代住宅と解釈して良いでしょうか。外壁は安っぽいトタンの腰板で、屋根周りの装飾を一切廃した実用重視の造り。窓配置から察するに、近代住宅とさほど相違ない間取り。屋根の角度が上のモノと比べて少し深いのは、最初から瓦葺きとした屋根重量を逃がすためと、屋根裏部屋の有効スペースを大きく取るためでしょう。元々屋根裏部屋は養蚕(絹糸の原料ね)産業に使用することが多かったのですが、それが衰退した後は部屋として、物置として使われるよう時代とともに変化しています。
 ちなみに軒下に収納されている材木は、収穫した稲を干すときに組んで柱にする“ハザ木”。農村部で見かけた方も多いと思いますが、コレがあるということは稲作農家ということになります。

ファイル 13-3.jpg  七久保~伊那本郷間に配置していたストラクチャのうちいくつかを新作に置き換えました。種類が増えたことでより自然に、そして地域独自の建築様式を取り入れたことで、より伊那谷らしい風景に近付けたかな? と思います。
 冒頭にもおことわりを書きましたが、運転シミュレータでは添え物にすぎない建物に大きな労力を割いているのは、ひとえにご当地感を演出するため。実際の路線に乗ったことが無い方がプレイされたとしても、「あぁ、いま自分は飯田線を運転しているんだな~」という気分が自然に湧いてくるような、そんな路線データに仕上げるための重要な要素の一つが建築様式なのです。
 以前にも単線で列車密度が低い地方路線は風景無しで面白味を出すのが難しいと書きましたが、かといって何でもいいからと適当にあり合わせの風景を付けただけでは、どこの路線をプレイしても同じような感想しか抱けません。九州には九州の、北海道には北海道の、そして信州には信州の景色を付けてこそ、製作時間の増加やデータの重量化というデメリットを抱えてまで風景を付ける価値が出てくるのではないでしょうか。
 また実在路線に限らず、BVE界の中で度々その是非が問われる架空路線にしても、そうした地域性の表現などができれば「いかにもありそうな」架空鉄道として、ある程度リアル派にも受け入れられるモノが出来るんじゃないかと思いますが、どうでしょうか?

住宅の建築様式

 これまでの区間に比べると住宅の多い小町屋~駒ヶ根間に風景を付けていると、やはり圧倒的にストラクチャが不足していることを痛感させられます。動画「その4」で紹介した数+そのバリエーション違いだけで自然な街並みを表現するのは不可能ですね。そもそも種類はあっても似通った色合いの物が数点あったり、バリエーション違いと言えば聞こえは良いものの、屋根の色が違うだけとか差し掛け屋根の有無だけとか、実のところ手を抜いて数だけ揃えたようなストラクチャも結構ありましたので、根本的に種類を増やす必要があると判断しました。

ファイル 12-1.jpg  切妻、入母屋造りのストラクチャはこれまでいくつか作ってきましたが、寄棟造りのモノは一棟もありませんでしたので新規に製作しました。この寄棟造りの住宅、実際に伊那谷へ行ってみると結構な比率で建っているのですが、これまでストラクチャを作っていなかったのは、産れも育ちも関西の私には普段から目にすることの少ない、馴染みの薄い様式だったからです。

ファイル 12-2.jpg

 和建築の様式としては入母屋>切妻>寄棟の順で格式が高いとされていますが、機能的な違いとして、破風を持たない寄棟は通気性に劣るため、湿気の多い関西には適さないのかもしれません。逆に寒暖の差が激しい伊那谷には適していると言え、格式云々よりも適材適所といったところでしょうか。まぁ、関西は京都や奈良といった古都があるため格式を重んじるというか、見栄を張っている側面もあるとは思いますが? 真相はどうでしょう。

 伊那谷は大田切を境に関東文化圏と関西文化圏に分かれるなんて言われますが、そう明白な境界線があるわけでは無いので周辺の建築様式にしても東西チャンポン、関西とほぼ同じ様式の入母屋、切妻の建物も多く、見られないのは虫籠窓や紅殻格子を持った町屋造りくらいでしょうか。というわけで、切妻の民家も新規に二種類製作しました。


ファイル 12-3.jpg 以前より使っていた切妻民家のストラクチャとは少しスタイルを変え、一階、二階の妻壁を面イチにして、間に差し掛け屋根を挟まない形態にしましたが、むしろこちらの方が一般的かもしれません。
 純木造のイメージで作った過去作との差別化を図るため、外装にモルタルやトタンを使った、少し年代の下るモノに仕立ててみました。テクスチャのクオリティも過去作が新作ストラクチャに比べて陳腐化してきましたので、より写実的にしています。これまで使い回してばかりだった瓦のテクスチャも今回より一新し、全体的な質感の向上に概ね満足しています。

ファイル 12-4.jpg

 既にお気付きのこととは思いますが、寄棟二点、切妻二点、それぞれcsvファイルの基本構造は同一で、テクスチャと小物類の配置、一部の寸法を変えて違いを出しているだけです。さすがに隣に並べて配置すればバレバレでしょうが、間に他の建物を挟むだけで同一形状とは分からなくなるくらい異なるイメージに仕上がっています。同じ形の建物が山ほどあるのは考えものですが、棟瓦や鬼瓦といった屋根周りの立体化に手間のかかる日本家屋は、ある程度csvデータの使い回しをしないと勿体ないですね。時には手抜きも必要です。
 あとはもう少し複雑な形状の入母屋の民家数点と、90年代半ばとなれば輸入建材の近代住宅も建ち始めていますから、そういったモノもいくつか用意したいところですね。


■リレーボックスの作り分け
ファイル 12-5.jpg  話は変わりまして、踏切や信号機の近くに配置されているリレーボックス、いわゆる器具箱を数種類に作り分けました。これまでは「それっぽいもの」を汎用として配置していましたが、周辺ストラクチャの作り込みレベルやテクスチャ解像度が上がってくると、相対して違和感を感じるようになってきたので、キチンと作り分ける必要が出てきたのです。
 飯田線に使用されているボックスはほとんどが遮熱板の付いたタイプですが、これは直射日光による庫内の温度上昇を避けるためと、積雪時の結露防止でしょうか。この構造は見る度に戦艦大和の副砲塔を連想してしまいます。それはそうと、この二重構造を実際に再現するか迷いましたが、結局タダの箱組みに隙間を黒く表現したテクスチャで簡単に仕上げました。あと2~3点、形状の違う物が必要なのですが、そのあたりは追々・・・。

 リレーボックスにしろ先ほどの住宅にしろ、3DCGに限った話ではありませんが、こういった現実をベースにした創作物におけるリアリティは、全体のバランスがとても重要。一カ所だけを突出してリアルに再現すると逆に他の部分が安っぽく見えてしまい、結果的に全体の見栄えを低下させてしまうのです。また、リアルにすればするほど誤魔化しが効かなくなり、どこまでも細分化、作り込みをしなくてはならないスパイラルに陥ります。

 例えば、ストラクチャが簡単な箱状のオブジェクトに解像度の低いテクスチャを貼り付けた「建物のようなモノ」であれば、住宅にも倉庫にも工場にも使うことが出来るわけですが、その箱ストラクチャに「明らかに住宅に見える」鮮明なテクスチャを貼ることで、それは住宅にしか使えなくなってしまい、更にその住宅が木造であると判別できるなら、木造の住宅としてしか使えなくなります。ということは、住宅、商店、工場といった建物の種類の違い、そしてそれぞれに木造、土壁、モルタル、コンクリートなど建材の違い、更にそれぞれ色や建てられた年代の違いなど、各々数パターンを用意するとなれば、必要なストラクチャの数はネズミ算式に増えてしまうわけですね。
 現実的に考えて沿線風景の全てをそのままリアルに作るのは不可能ですが、少なくとも「嘘を嘘と感じさせない」程度のリアリティを持たせるなら、画面一瞬の中に同じ建物が二つと無いくらい豊富な種類のストラクチャを用意する、それくらいの勢いで製作に挑む必要がありそうです。


■駒ヶ根駅周辺
ファイル 12-6.jpg  最後に駒ヶ根の進捗状況をご報告。前回の画像と比較すれば、旧伊那電支社ビルやアンテナ鉄塔から位置関係がお分かりいただけると思いますが、駒ヶ根駅へのアプローチがそれらしくなってきました。これまでほとんど見られなかったビル建築がチラホラと出現して、一気に賑やかな感じになりました。
 ストラクチャは専用品と汎用品が五分五分といったところで、駅に近付くほど専用品の割合が増えています。先述の踏切器具箱も早速配置してみましたが、やはり専用品を作ると説得力が増しますね。ちなみに右手のカマボコ屋根の建物は建て替えられて現存せず、今はJAの「虹のホール」という立派な施設になっています。地方の農協は強いなぁ・・・。
 細々ながらも日々ストラクチャを増産したおかげで遠目にはなんとか市街地らしくなってきましたが、それでも汎用品を用いた前方左側の商店街が実際のイメージと違いすぎていることや、駅前ロータリーの再現は未着手であるなど、完成と言えるまでには程遠い状態です。今月末には詳細な画像をお見せできるくらいになっていれば・・・と思っていますが、テクスチャの材料が根本的に不足しているところもあるので微妙ですね。作り込めば作り込むほど伊那谷へ再取材に行きたくなりますが、万年金欠病の私としては18きっぷシーズンを待たざるを得ないのが悲しいところです。

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