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“tilt”値による鉛直配置

 従来のBVEでは、勾配中にストラクチャを水平(鉛直)配置するには、線路インデックス「-1」に対して配置するか、逆勾配を設定した他線に対して配置する必要があり、前者についてはheight値を相殺した「高さ」を設定するのが面倒、後者に至っては、そもそも他線を引くのが面倒・・・と、何かと手間のかかる仕様でした。  BVE5の構文では、ストラクチャを配置する際の引数が大幅に強化され、項目が増えたため一見複雑化したように見えますが、イレギュラーな配置に対しても簡単に、柔軟に対応できるようになりました。 ファイル 67-1.jpg  以前製作し、既に動画や画像にも度々登場している電信柱ですが、ご覧のように柱と電線を一体化させていますので、これまでは電柱を鉛直に配置することができませんでした。しかし、急勾配の道路から直角に生える電柱は、やはり不自然。かつ「目で勾配を感じられる風景」を作るという、このところの目標からすると邪道・・・、というか手抜き感が拭えません。ですので、電柱と電線を分離し、電柱のみを鉛直に配置するよう改良していきます。 ファイル 67-2.jpg  先日の自動車の画像とほぼ同じ位置ですが、今回の主役は道路に並んだ電信柱。微妙に左右へ傾けたものを混在させてるため分かりにくくなっていますが、鉄道の架線柱と比べると、平均して仰け反り気味、つまり道路に対して直角に立っているのが分かると思います。 ファイル 67-3.jpg  とりあえず、電線とセットになったストラクチャはそのままで、配置だけ鉛直に直してみます。公式ページの解説で「tilt」と表記されている値を、1から0へ打ち換えるだけ。  修正前後で、柱の傾きそのものは微妙な違いですが、階段状になった電線から、どれだけの「嘘」があったか分かりますね。静止画ですと「この程度いいんじゃない?」と思ってしまいそうですが、動画になると違和感は顕著になります。 ファイル 67-4.jpg  電柱のストラクチャから電線を削除しました。電線は別ファイルにコピペして、新規のストラクチャとしますが、実はそのままでは使えません。  今回の例では、高さ約9~10mの位置に複数の電線を配置していますが、この電線が高さが約0mになるよう、Y値から10引いています。つまり、そのまま配置すれば地面スレスレのところに電線が這うような感じ。 ファイル 67-5.jpg  説明が難しいので図解しますと、システムは原点(Y=0)を基準にしてストラクチャを傾斜させますので、高さ方向の値が大きくなればなるほど、Z位置があるべき場所からズレてしまいます。  対処法として、ストラクチャでは電線の高さを原点(Y=0)とし、配置する際に有るべき高さまでY位置を上げてやると、電柱との位置関係は「ほぼ」適当なところに収まってくれます。当然、最上段と最下段の電線では微妙にZ位置が違うことになりますが、数センチの誤差ですので、運転していて気になることは無いでしょう。 ファイル 67-6.jpg 電柱と同位置に、ただしY位置だけは10mプラスして電線ストラクチャを併記して完成です。最初の画像とほとんど変わらないように見えますが、電信柱が鉛直を基準に立つようになったため、自線が上り勾配にあることが感じやすくなりました。 ■おさらい  “tilt”値について、デフォルトの「1」では、対応するrailに対して直角にストラクチャを配置します。つまり、従来のBVEと同様の配置法。  「0」にすると鉛直に配置し、従来のrailインデックス「-1」への配置と似た感じになりますが、height値の影響は受けません。自線が勾配であるとき、建物類を配置するのに適しています。  「-1」では、勾配だけではなくカントにも沿うように配置されますので、Repeater構文で線路のストラクチャを並べるのに好都合です。

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