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16ノッチブレーキ弁

ファイル 64-1.jpg  液晶メーターユニットが完成したので次はブレーキ弁を・・・と、随分前から製作にかかっていたのですが、チョチョイと出来る予定が思いのほか難産に。本日ようやく試運転ができる状態になりました。マスコンの接点はまだ加工していませんので、イメージで置いてあるだけ。次の課題です。  ハンドルと、ブレーキ弁のお頭は実物廃部品ですが、ハンドル守(お椀型の銀色の部分)は、想定している119系のME49とは形状・抜き取り位置が異なりますので、レプリカを造らなくてはなりません。しかし砲金の塊であるハンドルを軽くぶつけても耐える程度の強度は欲しいので、材質や工法を検討中です。  ハンドル軸は真鍮丸棒からの削り出し。ホントは鉄で造りたかったのですが、ウチの小さい工作機械ではイロイロ厳しいので妥協。 ファイル 64-2.jpg  ブレーキ弁の箱部分はタダの木箱です。形状がシンプルなため間延びして見えますから、それなりのディテール表現を施しました。  グレーの部分がデコボコして汚いのは、溶きパテを点描のように筆で盛りつけて、鋳物そのままの肌を表現しているため。なんでブレーキ弁ってあんなに適当な仕上げなんでしょう?  鉄板プレスのカバー部はプラ板からの切り出しです。右側から差し込めるようになっているネジ穴部のディテールもそのまま再現。これだけ表面の質感に差が付いていると、同一色で塗装してもそれなりにメリハリのある仕上がりになるはずです。 ■以下詳細:興味のある方/造ろうと思う方向け ファイル 64-3.jpg  裏側から見るとまんま木箱です。ウチの家族など「鳥の巣箱でも造ってるのん?」とか、んなアホな。必要以上に補強を入れてゴテゴテになっていますが、後述します振動でビビリを発しないよう、かなり強固に組んでいます。  ハンドメイドもろ出しのビジュアルですが、見かけによらずチョコチョコとアイデアを仕込んでおります。機能を大まかに書き出しますと、上からハンドル軸への抵抗付与、接点ユニット、振動発生器となります。  もしかしたら「造ってみようかな」という方がいらっしゃるかもしれませんので、長文になりますが、それぞれの機能について解説します。何か一つでもヒントになれば・・・。 ▼ハンドルには適度な金属的抵抗が欲しい ファイル 64-4.jpg  ブレーキハンドルを動かすときに、“ゴゴッ”とか“ズズ~ッ”というと大袈裟すぎるのですが、弁装置ならではの金属質な抵抗を感じたい・・・というわけで組み込んだのが画像のコロ装置。ベアリングのように軽く転がると都合が悪いので、鉄芯に真鍮パイプを被せただけのモノです。  鉄芯のバネ性でわずかなテンションをかけていますので、少しハンドル操作が重くなります。ちなみに鉄芯は中心で僅かに“くの字”に曲げてありますので、固定ネジを緩めて回転させることでテンションの強弱を調整できます。  プラ製品では本体重量の軽さや、素材の粘り・しなりもあって再現が難しい感覚です。 ▼接点部試作一号(没)  以前も書いたと思いますが、私は電子工作とかプログラミングはからきしダメで、せいぜい簡単な電“気”工作が関の山です。となると、回路部分はどこからか既製品を拝借してくるのが適当なのですが、当初検討していた「電車でGo!コントローラ」は64bit版のWindows7で「DGotoBVE」が動作しないという、まさかの展開で頓挫。次に目を付けたのがUSBキーボードの回路でした。 ファイル 64-5.jpg  作業中に撮影した動画から切り出した画像ですので不鮮明ですが、キーボードの回路から必要なキーのみ配線を引き出して使うことにしました。  扇形に配した接点はタダの銅板に見えますが、プリント基板用の両面生基盤から切り出したモノ。つまり、無垢の銅板に見えて、実は間に絶縁体がサンドイッチされており、裏と表は電気的に別体となっているわけです。この接点ををノコギリ状に傾斜させて並べ、表面同士を繋いで“.”キーへ、裏面同士を繋いで“,”キーの端子に接続し、ハンドル軸に設けた接点は共通のGNDに接続。これで反時計回りに廻せば“.......”、時計回りに廻せば“,,,,,,,”と入力され、ブレーキ動作を再現することができる・・・はずなのでした。  結果的には、まぁ理論上の間違いは無く、一応思った通りの動きはしてくれました。しかし、接点のバネ性に頼った構造のため、チャタリングを起こさないためには調整が非常にシビアであること、更にキーボード基盤の処理速度が追いついていないため、速く動かすとキーの取りこぼしが発生する(例えば、常用最大→一気に緩解で8回接点を叩いているはずなのに、B3あたりで止まってしまう・・・など)という根本的な問題が発生し、この案も没となってしまいました。 ▼というわけで、今度はゲームパッドだ  キーボードがダメなら、より高速な処理が要求されるはずのジョイスティックはどうだろうか? 処理速度云々の話になると、音ゲーや格闘ゲー、弾幕シューティングなどをプレイされる方の意見が参考になりそう・・・ということでアレコレ検索。 ファイル 64-6.jpg  そしてたどり着いたのが、バッファローの「どっかで見たことあるよなぁ・・・」というデザインの“レトロ調”ゲームパッド「BSGP801」。ネタ製品かと思いきや、取りこぼし無し、レスポンス良し、しかも安価であると非常に好評の様子。ボタン回路のGNDが共通になっているのも、流用しやすそうで好印象です。  横断歩道のペイントのように接点を並べたテスト板を作り、ブレーキ操作のスピードを想定して連打性能のテストをしたところ、8接点くらいなら問題なく反応してくれました。ここで欲が出て「これほどレスポンスが良いのなら、倍の16接点はどうだろう?」と試してみましたが、さすがに高速で連打すると取りこぼしが発生しました(BVE5ではブレーキ段数を自由に設定できます)。  そもそも大抵のゲームコントローラーは60fpsで描画されるゲームに合わせ、秒間60回の処理を前提に造られている物が多く、信号のON・OFF合わせて60回=秒間30連打が限界となります。計算しやすくするため15ノッチの回路と仮定すると、常用最大→一気に緩解で所要0.5秒より速く動かすと、取りこぼしが発生するわけですね。  で、8ノッチなら問題ないが16ノッチはチト怪しい。「ならばコントローラを2つ使えばいいじゃないか!」という安直な結論に至りました。 ファイル 64-7.jpg  接点構造は大幅に変更しました。試作一号は工法の公開を前提に「一般の中学・高校で習うレベルの工作で誰でも作れる」モノを目指し、極力簡単、シンプルに作りましたが、信頼性を得るには至りませんでした。新作はそれなりの設備や技術、精度追求の必要な部分が出来てしまったのが残念です。  接点はチャタリング防止のため、極力段差の無いプリント基板としました。ゲームパッドの基盤ごとに内外周2系統の接点群を設け、交互にそれぞれ8ノッチ、合わせて16ノッチです。  込め・緩めの回路切り替えは、接点ユニット内のスライドスイッチ(2つのコントローラを同時に切り替えるため2回路2接点)で行います。それまでと逆向きにハンドルを操作すると、初動数ミリでスイッチを切り替えてから、遅れて接点が動き出すという案配。つまり同じ接点を踏んでいるのに、右に回すとAボタン、左に回すとBボタン、となります。  ベースに貼り付けた扇形の黒い部分はマグネットシートで、接点ユニットは裏面に接着した鉄ワッシャーが磁力に引かれて貼り付くようになっています。これは接点の電気的密着性UP、後述する振動によるチャタリング・接点の微移動を防止する、スライドスイッチの切り替えに必要なフリクションを接点ユニットに与える、一石三鳥のスグレモノなのです。  非常ブレーキは別系統でボタンを直接押すように配置、また緩解側には万一入力を取りこぼした際にリセットできるよう、救済ボタン(,を3連打する設定)を設けています。  IM0.8の段階ではジョイスティック入力・キーアサインには対応していませんので、「JoyToKey」という、ジョイスティック入力をキー入力に変換するソフトを使わせて頂きました。MTCやTSマスコンのように、ソフト本体、またはドライバやOSの仕様に左右されず、キーボード互換で使えるのが良いところです。  逆説的に、片側の回路をオフにして8ノッチにしておけば、TSや電Goでも使用可能というわけですね(やらないけど)。図らずもPC版2ハンドルMTCの誕生です。  ※文中では便宜上「ノッチ」と表記していますが、「電車でGoコントローラ」のようなクリック感はありませんので、微調整が可能になった16段制御とあわせると、電磁直通ブレーキの操作感覚に近付いたと思います。  私の知る限り市販のコントローラーでは8段より細かな刻みのブレーキを有するモノはありませんので、試行錯誤した甲斐は十分にありました。 ▼振動発生器 ファイル 64-8.jpg  ドライブシムやフライトシムではFFBと連動して油圧で動く座席なんかも開発されているのですが、そこまでは無理としても、せめて振動くらいは感じたい・・・というわけで、用意したのはONKYOの加振器「DU2506E」。  スピーカの一種で、振動を発生させることに特化したモノです。主に映画館の振動する座席とか、ゲームセンターの筐体などに使われている物ですが、何年も前にドライブシム用のコクピットを造る際にまとめ買いした物が残っていましたので、引っ張り出してきました。当時どこかのサイトで1個数百円で買えたと記憶していますが、残念ながら今はメーカー卸のみ、法人向けにしか販売されていないようです。  今どうしても手に入れるなら、類似する物でゲーム用や車載用としてシステム化された製品がありますが、ビックリするほど高価なのがチョット・・・。  使い方はスピーカと同じですので、PCのサウンド出力のうち、センタースピーカのケーブルを分岐させ、ジャンクで買ってきたウーファーアンプで駆動させます。調整可能なローパスフィルタの付いているモノがオススメ。  油圧システムのように車体の動揺やGを体感することはできませんが、加減速時の電動機をはじめとした機器の呻りや、ジョイント音に同調した振動くらいなら感じることができます。同じモノをマスコンの取り付け基部、将来的には座席の座面にも組み込む予定です。 ■今のところ快調  まだ2時間くらいしか試運転できていませんが、駅間が短く曲線だらけの飯田線でも、今のところ問題なく動いています。次はマスコンを弄る予定ですが、こちらは段数も少なく、明確なノッチ刻み位置があるので比較的簡単・・・なはず。  ちゃっちゃと完成させないと、作業スペースや資材のおかげで、カニ歩きしないと部屋を横切ることが出来ない状態が続いています。全部組み付けて一体化してしまえば、押し入れにでも放り込んでおけるのですが・・・さて、どうなりますことやら。

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